絵本動画「ものさし 1話」おとなえほん(TAMAGO)
動画
おとなの絵本動画、おとなえほん。
「ものさし 1話」 TAMAGO 作(2分08秒)
コトバ
ボクのムネのあたりから
ものさしが
のびている
キミにむかって
のびている
ちかいかな?
このくらいかな?
キミがここちよいキョリって
どのくらいかな?
キミにきらわれないキョリって
どのくらいかな?
ちょっと、つかれるな
背景
いつも、胸からものさしを伸ばしている人がいる。
誰かと向き合う時、誰れかに向けて、ものさしを伸ばしている人がいる。
そういう人同士は、目が合うと、視線が絡むと、お互いにわかる。
「ああ、この人も、胸からものさしを伸ばしている」って。
そして、僕がそうだ。僕もそうだ。
僕はいつも、誰かに向けて、胸からものさしを伸ばしている。
僕の親は、怖い親だった。
幼少期から、怒られないように、怒らせないように、
顔色をみて、様子を伺って、過ごしてきた。
胸からものさしを伸ばして、キョリを測りながら、過ごしてきた。
生まれてから20歳くらいまで、こんなことを続けていれば、
このものさしは、自分の一部になる。
学生時代、社会人になってからも。
すごく社交的で、誰にも明るく陽気に打ち解けて、どこでも場を盛り上げる。
コミュニケーション能力が高めな人間だと、周りからみられていると思う。
でもこれは、ものさしが悪さをした末の、ヤケクソ対応だ。
人が怖い、キョリが読めずに怖い、だからこそ、キョリを吹き飛ばすくらいに、
いきなり懐に飛び込んでいく。
誰とでも、ゼロキョリ発射で関係を作ってしまう。
自分の中にそういうキャラを作り上げて、それを演じている。
人が好きなんじゃない。嫌いでもないけど。怖いのだ。
社交的なのも、明るく陽気なのも、場を盛り上げるのも、恐怖の裏返しだ。
いつでも、誰にでも、ものさしを伸ばす。
街を歩いていて、飲食店で食事をしていて、車を運転中にバックミラーをみて、
いつでも、いくつものものさしを伸ばしている。
病気だ。心の病だ。
そして、ひどく疲れる。
生きるのが窮屈で、疲れる。
辛くなる。
新型コロナウイルスが現れて。
人とのキョリ、ソーシャルディスタンスを意識するようになって。
みんなの胸にも、ものさしが生えてきたようだ。
でも、このものさし、碌なものではない。
生き辛さの元凶だ。
捨てられる人は、早く捨てられる日が来るといいですね。
作画
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