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演奏家の目から見る自然

自然と音楽は、様々なところでつながっている。
アメリカの国立公園では、レンジャー・プログラムで楽器を使うことがある。今までは、それはひとつの表現方法なのだと思っていた。

そんな中、対談で演奏家が自然についてお話しているのを聞いた。
そのお話は、自分が今までに感じたことのない感性で、心に衝撃を与えた。このお話を忘れたくないという気持ちがいっぱいになり、
一生懸命にメモをとった。

今まで、どこかで忘れてしまっていた大切な、
自然への価値観を思い出すきっかけになった。以下はメモ。
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最初の音楽

音楽というのは、最初に奏でたのは誰かを考えると、やっぱり自然なんだ。
風が吹けば音がする。
火山が噴火したら音が出る。
だから音楽というのは、私達がそれを楽しんでいるから音楽。
もともと存在していたもの、音楽。
それを私達がどうとらえるのかという話。

泥と自分

子どもの時に親に内緒で田んぼでザリガニを採った。
田んぼに入ったから、ドロドロ。
その時、自分は自然の一部なんだと肌感覚で感じた。
自分とドロには、ねっとりとした感じで、境界線がない。
その時、あ!シンフォニーだと思った。

語源を考えると、
シンは、シンパシー、シンクロニティとか。一緒とか、同じ。
フォニーは、フォン。テレフォン、マイクロフォンとか。音を発する。
だから、同時に音を発する。シンフォニー。
自然と一体になったという感じがした時、
自分もこの自然に、地球に活かされているだとすごく感じた。

自然の一部として、音を出しているという自覚があるから
音楽をやることが、すごく大事なことということを誇れる。

過去の作曲家は、
みんなその自然からインスピレーションを受けて
音楽をおこしている。

画家と自然

クールベの絵を見に行った。
彼は山に住んでいたけれど、海と出会い、海の絵を描く人になった。
絵は、止まっているもの。
だけど、荒々しい波のように海を描いている。
その海の絵は、山のように見える。
クールベの経験の中で、氷河が削れた様子を海に投影している。

地方の言葉と自然

ピアニストのフランツ・リストの曲:ラ・カンパネラは、
全部アクセントが入っている。
強い風土で生まれたイントネーションや言葉のリズム。
表現するためのアクセントなんだと大切なことに気がついた。
地方の言葉は自然がつくるものと感じた。

自然は形のないものが生み出すもの

私達がやっている芸術は、感じたものを形で出すわけではない。
何かでつくっているような造形で出すものではない。
ただ、空気を震わせている。
ただ、それだけ。

音楽は空気の振動でしかない。
そこには何の実体もない。
ただ、空気が触れたという事実だけ。

だけど、私達はそこで何か香り高いものを感じたとか、
何か温かい雰囲気の空気に触れただとか、そうゆう体験をする。
それは、聞いてくれた方がそうゆう感性を持っているからだけど、
そうなってくると、私達の興味の対象とは、
そうゆう香り高いものとか、温度どか。
そうゆう目に見えないものに対して、常にセンサーが働く。

そうしたら、自然っていうのは、ここに木が、ここに海が、
荒れ狂う波があるとか、そうゆうことよりも、
ふと感じた太陽の暖かみとか、
そうすると光にも香りがあったりする。
それは、科学的な要素が働いていると思うけれど、
そうゆうものに触れた時に、
自然っていうのは自分に働きかけていると思う。

だから、
それが海とか、森とか、
それだけではなくて、
自然って、
そういうものが生み出す次の刺激、次の要素だと思う。

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このお話の後、「ラ・カンパネラ」の楽譜を見たくなった。
調べてみると、記号が沢山使われていた。
意味がわからず、調べてみると・・・

発想記号の多様さ

発想記号とは
〘名〙 楽曲の演奏のために表現上の指示を与えた譜表上の記号。
出典 精選版 日本国語大辞典

音符だけで表現できない、音を表現するために使われるとのこと。
どんな表現があるのかを見てみた。
楽譜には、作曲した方が音を表現するために
こんなに沢山の表現方法があった。

華やかに、輝かしく。生き生きと。火のように、熱烈に生き生きと。
感情をこめて。感情的に。静かに。柔和に、柔らかく。優美に。控え目に。陽気に。荒々しく。穏やかな。やさしい。
繊細に。豊かに。滑らかに。神秘的に。不思議な。田園風な。悲しげに。
嵐のごとく。

どれを見ても、自然を想像できる。

この対談を聞いてから、音楽の見方が変わったと思った。
これから音楽を聞く時は、
作曲家がどんな場所で、
どんな経験をもとに、
何を感じながら作ったのかを
知りたくなった。

音楽と自然は、こんなにもつながっていた。

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