『大好き！健康家族！』（2020/10/30-11/2）

金曜日
仕事終わりギリギリの終電で実家に帰った。家に帰るのは12時半すぎになるっていうのに、母はいっつも缶ビールを開けはじめる。怒涛の近況報告を終えると、「明日も仕事だから」と母は眠りについた。私も寝る準備をしようか。洗面台へ向かうと、私の歯ブラシにラップが巻かれている。…封印されてる。換気扇の下へ向かうと、灰皿がどこにも見当たらない。…最近禁煙できたとドヤ顔で言っていた母の顔が浮かぶ。やっと寝れるぞとベッドへ向かう。…ベッドがない。正確にはマットレスだけになっていた。帰るたびに変化する実家が面白くて。でも心の拠りどころなのは変わらない。

土曜日
高校時代の友達とパスタを食べにいった。最近結婚したばかりの友達は、相変わらずギャルで、明るいロングヘアが似合っていた。久しぶりに会うのに話は止まらず、といっても「最近のあの子どう？」とか「みんなで集まろうよ」とか、きっと卒業してから話す内容は大して変わらない。夜は母の誕生日パーティーをした。金曜日が母、49歳の誕生日だった。手作りの料理とちょっと豪華なお肉、同級生の家がやっているケーキ屋さんのケーキを用意した。仕事終わりに「今日どっか食べに行く？」と提案する母に、「もう作ってあるからご飯あるよ」というとすごく驚いていた。きっと想像以上に豪華だったんだろう。家に帰った母は「誕生日パーティーなんて何年ぶりだろう！」とウキウキしていた。ワインを飲み、母おすすめのストリートピアノを聴く。ほろ酔いで聴いた『missing』（久保田利信とJUJUのコラボバージョン）は、お互い涙目になっていた。私と母は涙もろいところまでそっくり。人が喜んでいるところを見るのって、いいなあ。大好きだなあ。

日曜日
母のリクエストで、ザ・ローカルな動物園へ行った。母を助手席に乗せて高速道路を走るのは初めてかもしれない。先週大自然を見たせいか「飼われている動物を見に行くのか…」と気乗りしていなかったんだけど、行ったら想像以上に楽しかった。キリンにエサをあげるのは怖かったし、馬ににんじんをあげたらクシャミをかけられた。虎なんて何年ぶりに見たんだろう。かっこよくて見入ってしまうくらい。アイスが食べたいという私に、母がソフトクリームを買ってくれた。動物園で母に買ってもらったソフトクリームを食べる。いったい私は何歳なんだろう。その後もリクエストに応じて、美味しいご飯をたべ、買い物へ行った。終始楽しそうな母に安堵する一方、明日の仕事を考える時間にもなってきた。「帰らないでほしい」とまるで彼女みたいなことを言う母に「また年末ね」とお別れを言う。私はどうしても、母に対しては気恥ずかしくなってしまうみたい。でも、会えてよかった。送ってくれたお米、もう届いたよ。ありがとう。一緒に撮った写真、うしろに書いてある文字がたまたま『大好き！健康家族！』だったよ。いつまでも健康でいようね。ママ、誕生日おめでとう。

月曜日
1時間前に出社したにもかかわらず、残業もかなりした。けれど明日は祝日。ならばと、地元の友達と飲みに出かけた。いつものミュージックバーはその日落ち着いていて、飲みすぎることはなかった。人見知りを発揮しているひとりの友達に、常連さんが「笑顔がいいね」と声をかけていた。そう、笑顔だけはいい。最近、その友達は一人暮らしを始めた。それまではシェアをしていたんだけど（もとは居候から始まっている）。夢を追い上京した友達も、今では違う夢を追い求めている。根暗だったと話すシェアハウス時代を知っているから、そこから抜け出す行動をしたことがすごいと褒めた。なんだか深い話をしたような気がする。いつも「お前は分かってねえな」としか言わないくせに、その日はしきりに頷いていた。私の『書く』という行為って、自分をさらけ出している。それゆえに欠点も露出しているし、そういう風に書いている。私の欠点をさらけ出すことで、他人の心を軽くすることがあると信じているから。「私だけじゃない」って感じられることは、私自身の救いにもなっているしね。だけどどうにも、人の心の内は見えないほうがいいらしい。派手で楽しいイメージの私に寄ってきた人たちは、私の文章を見て驚く。プライベートを知っている人たちは、みんな『文章を書く私』に気負いするのだ。だから、心の底から応援してくれる人にはとても感謝している。派手で楽しい私も、痛みや苦しみを文字にする私も、全部私だから。もがくこの友達も、いつか夢をかなえられますように。私を応援してくれるこの友達へ。茂みの奥ふか～くから、そっと祈ってるよ。

（2020/10/30-11/2）
今週もありがとう。
ショウガ信者のわたしはショウガスープを大量に作ってすすってます。
きょうも元気に『健康家族！』