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海に撒いてください
いつか灰になったらそうしてほしいと常々考えていて、夫にも伝えているのだけど、実際それやっていいのか、どんな風に実行したらよいのかという所まで調べきれていない。
あと、夫より先に逝くつもりはないので、これは予定では子供たちが実行することになるだろうと思う。
人間、いつ逝くかわからないので海に散骨する方法、ちゃんと調べておきたい。
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海に散骨希望の私、じつは入るお墓がもう決まっている。結婚する少し前に夫名義の義実家の墓が建てられているので。
そこはまだ空室で、しかも居住地からかなり離れた県外。縁もゆかりも無い静かな山奥、普段は身内の誰も行くことがない。誰も入ってないのでお墓参りする意味も今のところなく、荒れ放題になっちゃうのではと最初聞いた時は気になったけど、お手入れだけは霊園との契約で滞りなく行われているらしい。
第一子を身ごもっている時、一度だけその霊園に家族で行ってみたことがある。すぐ近くに小さな観光名所があり、昔からのお宿も点々とあり一泊するのも問題ない感じ。コンビニはなかった。
空室の墓石を皆で眺め、いい所だね、静かで、自然に囲まれて、なーんて穏やかに見て回って、観光地まで足をのばして小さな食堂でお昼を頂いて、帰路に着いた。
あぁ、私は死んだらあの墓に入るのか。
山の涼しい空気に包まれて、心地好くて、とてもいい所だけど、私は海の方が好きだな。
私の姉妹たちはあのお墓に参るの大変だろうな。
おなかの我が子もきっと、将来家族ができてのち、親や祖父母の納められたあの墓に参るのなら、ちょっと気合い入れて来ないと大変だな。
それより何より、死んだあともこの家族たちと永遠に同じ空間で過ごすことになるのか。
実際に霊園を見て回って好感を持った反面、死後の居場所がもう決まっていてその場所をこの目でしかと確認した私は、何とも言えないガッカリ感に包まれてしまった。
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私たち夫婦、結婚式を終えてそのまま新婚旅行に行き、沢山遊んで帰宅した家は義家族が暮らす築50年の借家だった。
完全同居、完全ひとつ屋根の下。台所洗面風呂トイレ共用、新婚夫婦と義父居室(兼居間)との部屋の仕切りは薄いベニヤ板2枚重ねという環境。
すべて同意の上での結婚。プライベート及びプライバシーにはお互い干渉しないで済むように、大家さんに頼んで壁を作ってもらい、新婚夫婦の個室をこしらえてもらった。そのくらいしないと襖で隔てるのみの間取りじゃあ暮らせない。
逆に、プライベートとプライバシーが守られた各人の個室以外の場所は、オールフリー。無法地帯。自由なようで自由でない。
結婚式前に己の荷物を運び入れ、唯一の私用の収納になるタンス2つ、真新しいベッド兼収納(床板が外せるやつ)を個室にセッティングしている時、これはちょっと大変な暮らしになるんではないかと冷や汗が出た。
仕事でボロ雑巾になったのにそれでもまだふんわりと生きていたので、同居でないなら結婚を許すことはできない、そういう条件もまぁ何とかなるんじゃないか的にふんわり捉えて受け入れ、ふんふんふーんと結婚式の準備に浮かれ、実際生活する環境への具体的なイメージというか時間的スケジュールや自分の動線などなど、想像力が足りなかった。
核家族で育ってきたのでそれもまた仕方のないことだったかもしれないけど。
何とかして新婚夫婦だけで部屋を借りる方法もあったんじゃないかと今でも思えてならない。
(続くかな?)