人間なのに、魚のような
オリンピックはたった数秒に人生がかかっている。
7月30日、南アフリカ代表のT.スクンマーカー選手が、女子200m平泳ぎ決勝で世界新記録を叩き出した。
日本人はおらず、外国人オンリーのレース。
それを無知で見ていた私。
歴史的瞬間に遭遇してしまった。
自分が1位かつ新記録を更新した事は水面から顔を出した時に知る。そして、歓喜の叫びが響き渡る。
カメラに抜かれ、嬉し泣きする彼女の顔には
「Amazing!」
と書いてあるように見えた。
隣のレーンにいた仲間や他国の選手と抱き合い泣き、その瞬間だけコロナ禍という状況を忘れられた。
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プールがすごく苦手だった小学生時代。
遊園地のように自由に遊べるプールは別として、苦手を通り越して大がつくほど嫌いだった。
夏休み期間は、成果を出すための試験があった。
「級」で自分の立ち位置や価値を表す級争い。
水泳帽にマジックテープで貼るものだから、恥ずかしくて仕方がなかった。
5m泳げればOKなものから、平泳ぎ50mのようなハードな種目まで。かれこれ猛特訓し、中の上までなんとか成果を上げることができた。
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プールの嫌いなところ
【特殊な水道水で目を洗う作業】
視力に問題がある生徒以外はスルーするできない事象。生理食塩水でない普通の水なので、ただただ目が痛かった。
【25m地点の切り返し】※25mプールの場合
ターンと呼ぶのだろうか。
私も練習した経験はあるが、ターンだけは難しく毎回鼻に水が入りいつも涙を浮かべていた。
【始まりと終わりの更衣室】
毎回、仲良い女子のグループが壁側を占領することはお決まりで真ん中はハズレ中のハズレ。誰も好まない。
窮屈極まりなく、タオルで身を隠していても見られているような羞恥心が半端なかった。身近に地獄があったのか?と言わんばかりの地獄。
以上、3点でした。
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2つの腕と脚、呼吸を器用に扱う競技。
人魚が宿っているのではないか、というような迫力。
いい意味で同じ人間とは思えない。前世は魚だったのだろうか。
25m泳げるだけでも、大会に出場できるだけでも素晴らしいのに彼らはその先を目指す。
後世は魚ではなく、
人間としてまた陸を歩きたい。
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※ネットのイラストを真似て書いたイラストです