高松・城の眼でコーヒーとケーキ
コーヒーは一種類、ケーキも一種類。
メニューには「ケーキ」としかないので何が来るのかわからなかったけれども、やってきたのは銀紙にのったベイクト・チーズケーキ。歯ごたえがよく、サプライズのレーズンがよいアクセントになっている。
近年色々なスイーツが紹介されたり、作り出されているけれども、このチーズケーキは多分イタリアからアメリカを経由して日本に渡ってきて、改良を重ねて安定したバージョンなのではと想像する。昭和よりも少しモダンな印象だ。このレーズンはチェリーの名残りなのかもしれない。カレーにおけるマンゴチャツネの場所に福神漬けがいるように。
コーヒーはサードウェーブ以前の味わい。強めの深煎りで、このチーズケーキによく合う。ケーキの選択肢を客に与えない理由が少しだけわかった。
少し冷めた状態でクリームを加えると、コーヒーの力強い酸味をきれいに感じた。よい。砂糖の代わりに香川の名産「希少糖(d-プシコース)」のシロップがあったが、使わなかったので味はわからない。あとで知ったけど、血糖値の上昇が緩やかになるとのこと、使ってもよかったかな。
何年も前から建物を見ていつか行きたいと思っていたけど、やっと実現した。外観も内装も好みで、見ていて佇んで安心するし、何よりコンテンツが昭和を思い出す静かな純喫茶なのがよい。主張しないメニューと丁寧なサービスは心に安らぎを与えるのだ。
香川県の建築家山本忠司の設計で、この地にゆかりのある数多くの著名な建築家や彫刻家が利用したという。巨大な庵治石で作られたスピーカーからは19世紀のピアノ音楽が流れている。
ひとりの時間を楽しんだり、大切な人と静かに過ごすのがおすすめ。
2022年9月 城の眼(高松)にて
(撮影禁止なのでコーヒーとケーキの写真はなし)
参考文献
D & Department Project. 2019. d design travel Kagawa. 東京: D & Department Project.
希少糖 Wikipedia. https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B8%8C%E5%B0%91%E7%B3%96 (今日閲覧)