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『数学入門』感想 つぎは算数の話

岩波新書『数学入門』読んでます。
感想2回目は「Ⅱ 分離量と連続量」です。

Ⅱ 分離量と連続量

2章前半のテーマは引き続き、「数ってそもそもなに?」。1章では呼び方から数に迫っていったが、ここでは単位を起点に数について語っていく。

入門をうたうだけあって、小学生の算数レベルから論述を始めてくれるのがありがたい。

・「数える」と「測る」

ものの量には「いくつ」で数えられる分離量と、「いくら」で測る、数えられない連続量がある。

例えばヒトは1人、2人と数えられる。
この数は必ず自然数(正の整数)になる。「友達99.9人できるかな」とはならない。なったら怖い。どこ行ったんだ残りの0.1。

一方、液体は個数を数えられない。
ならどうやって量を把握するかといえば、単位で区切って測ればいい。

英語の授業で、「teaは数えられないから複数形がない」とか教わらなかっただろうか。
「a tea」と言うのは間違いなので「a cup of tea」と言いましょうと習った気がする。
これはつまりコップを量の単位とすることで、お茶が数えられるようになったのだ!

連続量を一定の単位で区切ると、分離量に近い扱いができる。

ただし、連続量には、分離量になかった性質がある。
単位に当てはまらない半端ができることだ。この半端を測るためには、分数小数を用いることが必要になる。

・全部長さにしちゃおう

文中に出てくる、「連続量って全部長さで表したらわかりやすいんとちゃう?」というデカルトの原則が興味深い。

よく考えてみると、大ていの計器はある連続量を長さにほんやくする道具だといっても言い過ぎではない。
たとえばさおバカリは重さを長さの目盛りにほんやくする道具であるし、時計は時間を文字盤の長さ(ただし曲った)にほんやくする機械であるし、また温度計は温度という連続量を長さにほんやくするし、自動車のスピードメーターも速度という連続量を曲った長さに移しかえる。

ここが特に好きだ。
確かに! と思わせる普遍性を備えつつ、さおバカリ(竿秤)なる「ザ・昔の道具」が例に出てくるところでちょっと笑ってしまう。60年前はふつうに使われてたのか……?

思えば現在では、電子はかりやデジタル時計が一般的に使用されている。水銀体温計はすっかり見なくなり、デジタル表示が主流だ。

デカルトはいろんな連続量を長さに翻訳したけど、
現代人はいろんな連続量を直接数値に置き換える方法を選んだのかも。

・分数と小数

分数について語るトピックが非常に面白い。
特に分数が苦手だった人はぜひとも、ここだけでも読んでみてほしい。

分数の正体を詳しく解き明かし、分数同士の足し引きや×分数、÷分数が「なぜそうなるのか」を徹底的に解説してくれる。
理解を助ける図も豊富で、説明の詳細さはちょっと執念を感じるレベル。「絶対おまえに分数の概念を納得させてやる」という意志を感じる。

文章は少し複雑だけど、わかった気にさせるだけじゃなく、本気で分数の概念をインストールさせにくる。学び直しにはうってつけだと思う。

また、無限循環小数を分数に直す方法については単純に初めて知り、少し感動した。
これで私はどんな無限循環小数も分数に直せるようになった! 使いどころはなさそうだが……。

無理数についても説明してくれているので、「無理数ってなんなん?」とお思いの方はこの章がおすすめ。

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