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暗黒戦争におけるドルーア同盟軍の進行ルートについて~ファイアーエムブレム「アカネイア大陸の海と地政学」~

 暗黒戦争前半期、すなわち連合軍挙兵からアカネイア・パレス占領までをざっとおさらいすると、盟主であるドルーア・事実上の主力であったグルニア・そしておまけのマケドニアの同盟軍はアカネイア聖王国を急襲し、野戦でアカネイア軍を破ってアカネイア城を包囲した。その後、アリティア軍(陸軍)が動き出したのでグルニアはこれをメニディ川で食い止めるべくカミュ将軍率いる黒騎士団を別動隊として派遣した。黒騎士団とアリティア軍はグルニア軍の予定通りメニディ川で対峙したものの、ドルーアのガーネフに調略されたグラ王国軍がアリティア軍の後方を襲撃したことでアリティア軍は崩壊、グルニアから見ればメニディ川の戦いで快勝し、グラを同盟に引き込んでアリティアを占拠、その後、包囲の末アカネイア・パレスは陥落したという流れとなる。
 この流れで最初に気になるのが、連合軍、特にドルーアとマケドニアがどのように海を渡ったか、つまり、進行ルートはどういうルートだったのかということである。また、そのうえで、大船団を運用できる国家や集団が限られていたこの時代に、アカネイアの有力海軍のうちどの海軍が手引きをしたのかということである。
 これについて、まず、進行ルートについていえば、アリティアを通ることはあまり考えられない。少なくともこの時点でアリティア軍は敵であり、しかもアカネイア大陸有数の海軍国家である。直接攻撃すれば大海戦に発展し、アカネイアにたどり着く前に大きな損害を受けることは間違いない。仮にアリティアの武装商船団の一部を調略できていたとしてもである。(全部を調略していたことは、のちにマルス王子が海から逃亡していたことを考えるとあまり考えられない)
 次に有力なのはグルニア北のカシミアよりカシミア海軍がグルニア軍主力をのせ、マケドニアでマケドニア・ドルーア軍と合流してアカネイアの南に進むルートであるが、これも考えづらい。なぜなら、その後特におとりつぶしなどの処遇があったわけではないからだ。
 グルニア軍が陸路でカダインを回り、アドリア峠を通過してアカネイア・パレスを直撃し、一方でマケドニア・ドルーア軍がマケドニア海賊を利用して海を渡って合流したという説もあるが、これも考えづらい。なぜなら、一応この時点で親アカネイアのオルレアン王国の奇襲を受ける可能性が高いからだ。(のちに実際これに苦しめられることになる。)また、陸路を抑えていればいくら何でもアカネイア・パレス陥落後にニーナがオルレアンに逃れるルートは簡単にふさげたはずである。
 となるとルートは一つ、全軍でマケドニア海賊の協力を得てアカネイア南・おそらくディール要塞あたりから上陸し、野戦でディール侯を中心とするアカネイア軍を撃破・そのままパレスになだれ込んだというルートである。
 こう考えると、英雄戦争序盤で急に降ってわいたように登場して退場したマケドニア海賊団というものに別の顔が見えてくる。