差出人百面相
小野姉子、という人から手紙がきた。
小野妹子ではなく、小野姉子だ。
姉じゃ。姉者。姉者じゃ。なんてフレーズが不意に頭の中をよぎる。
小野妹子にはお姉様がおられたのだろうか。
小野妹子という名前でありながら、男性だったということをふまえるとお兄様かもしれない。
けれども、私の友人にそんな人はいない。
差出人の住所から、私の友人からの便りであることがわかる。
少し前から架空の差出人を演じる、そんな手紙のやりとりをしているのだ。
宛先は、配達員の方を悩ませてはいけないのでお互いに本名でだしている。
姉子殿、持統天皇の歌を読んでおられる。
なんだろう、ちょっと雅なのじわっと面白い気がする。
ほんでアイス食べてんかい。サクレとは、なかなか渋い。
さすがだ。
選ばれたのがパルムだったとしてもなんかいい。
問屋もどろん、という選ばれた言葉たちもなんだか好きだ。
私は、小野大町さんとして手紙を出そうとするかな。