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妄想の世界

人に期待することの恐ろしさについて。人に期待するなんてことは高校くらいから恐ろしくてほとんどできなくて、そもそも自分の考えとかそんなことが完璧に相手に伝わるなんて思えなかった。傲慢じゃんそんなの。完全に自分の中だけで世間が完結していた頃はとても仲がいい友達や家族が自分の心の弱さやその時その時の心情を理解してくれていると勝手に信じていた。感情が自分だけのものじゃないと思うと安心したのかもしれない。でも実際の世界では感情は人それぞれにあって、それぞれが自分だけしかこの世界にはいないとー意識的にせよ無意識的にせよー思って生きている。甘いものを食べたいときに辛いものしか出てこなかったらげんなりするし、自分が元気じゃないときに目の前でめちゃくちゃ楽しそうにされたら大抵の人はイライラし始める。普通大人と呼ばれている人たちでさえも表向きは平気な顔をしているけれど、恋人や親友の前になると豹変する。小学生の頃親しくなり始める前は仮面を被って(と言うか気遣って)感情の同調をしてくれた人たちが、親しくなった途端自分と全く違う感情を前面にあらわにしてきて自分を否定し始めるのが怖かった。そして好意を抱いていた分憎悪した。同じだと思ったものが全く異質だったとわかった時の絶望感。そんな自分勝手な感傷が独りよがりだと気づくのはもっと後になってのことだけど。

他人に期待して世間に期待して生きていくのは結局自分の妄想の中で生きているのと同じで期待しないと言うことはその色眼鏡を外すことなんだろう。自分が思っているほど友人や恋人は完成されていなくて不細工で全然自分のことをわかっていないけど、自分が妄想するより遥かに素敵な一面をたくさん持っている。自分の期待と全く違う行動にとても傷つくこともあるし楽しいこともある。感情が完全に同化することなんてないけど重なり合うことはある。妄想ではなく現実の世界で生きていたい。自戒を込めて、人と期待することについて。

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