待ち合わせ場所論争
とある初デート。
恵比寿でお茶をしましょうということになり、お相手がいくつかお店の候補を送ってくれた。
その中の一つのカフェに行くことになった。
「では、○日の○時に恵比寿駅の西口で。」
よくあるやり取りだ。
当日、恵比寿駅に電車1本早く着いた私は、待ち合わせ場所とは少し離れた場所で、
デート相手との今までのメッセージのやり取りを軽く追う。
そうだ、この話もっと聞きたかったんだ。
この話題で盛り上がりそうだな。
そんなふうに、今日のデートへのモチベーションを上げた。
約束の時間に相手と合流し、手短かな挨拶をして、さっそく目的の店まで向かう。
やや緊張した間柄で会話をしながら、行き慣れない道を歩くのは、意外と難易度が高い。
相手が地図を見ていそうなタイミングでは、会話のペースを落としてみたりする。
私は地図が得意なタイプだが、相手がリードしてくれているうちはお任せするようにしている。
10人に3人くらいは、道を間違えたり、地図に気を取られて会話どころではなくなる(気がする)。
あまりスマートとは言えない印象になる。
10分程で着いたお目当ての店は、予約のできないカフェで人気店ということもあり、かなりの人の列ができていた。
「どうしましょうか…」
今日のメインイベントはお店ではなく、この人の人柄を知ることだったので、
私はすぐに入れそうな近場の手頃な店で良いという気持ちだった。
カフェや喫茶店、カフェタイム営業をしていそうなレストランと、周りにいくらでも店はありそうだ。
すると相手は、ここが入れなかったときのために考えていたという別の店を提案してくれた。
私の好きな、“PLAN B”の考え方だった。
素敵だな、と思ったのも束の間。
その店は、ガーデンプレイス近くにある流行りのデコラティブなソフトクリームが売りのカフェだという。
ご存知だろうか。
西口とガーデンプレイスは、恵比寿駅の真逆にある。
そして今ここは西口から徒歩10分弱の場所。
高低差のある道を15分近くは歩くだろう。
しかも今日は、寒の戻りと言われる日で、雨風も鬱陶しいあいにくの天気だった。
傘をさしているとは言え、これ以上歩くと、せっかく巻いた髪の完成度も家を出たときから半減するはず。
もちろんソフトクリームにも、この寒さではテンションが上がらない。
と同時に、先ほどまで温めていたこのデートへの期待も冷めていく。
そんな中、いつも心の中で繰り広げられるこの論争がまた始まった。
デートの待ち合わせ。
それは恋愛において皆が通るものであり、
重要でないただのステップのように見えるにも関わらず、
時に取り返しのつかないマイナス評価の要因ともなる。
婚活というのか、恋活というのか。
新しい出会いの度に「初デート」というものを幾度となく経験している。
まず前提として私には、
初デートは相手にリードしてもらいたい、という個人的嗜好がある。
この人はリードできるタイプの人なのか
どのくらい女性慣れしている人なのか
それを感じたいのだ。
会う日が決まり、行く場所が決まる。
または行きたい場所があって、行ける日を決める。
そしてその後、待ち合わせ場所を決めることになる。
世の男性に問いたい。
何故、駅での待ち合わせを選びがちなのか。
過去にお店で待ち合わせをした数少ない初デート。
思い返すと、どれも素敵なものだった。
お店で待ち合わせをするから素敵なデートになるのか。
素敵なデートを組み立てる人はお店で待ち合わせをするのか。
前者なら、私からお店での待ち合わせを提案すれば良い話だ。
だが後者なら話は違う。
段取りの悪い人は、ずっと段取りが悪い。
多くの人が最も気合いを入れるであろう初デートでそれを発揮しない人は、今後も私に対しては発揮することはない。
いつでもなんでもしてもらおう、なんて気はない。
ただ、大事なのはここぞというときの対応なのだ。
私は、友人同士でも目的のお店が決まっていれば現地集合にすることが多い。
もしかすると男性はそういう機会が少ないのだろうか。
いや、店が決まっている人数の多い飲み会などで、駅集合にするのは学生くらいじゃないだろうか。
(私の学生時代はそうだった。居酒屋までの道のりすら仲間と一緒だと楽しいのだ。)
いずれにしても、気心の知れた人との待ち合わせはどちらでもいい。
ここぞというときの選択肢を増やし、そしてお互いにとってより良い選択をしてほしい。
それぞれの待ち合わせ場所のメリットデメリットについて、今一度整理してみた。
■ 駅での待ち合わせ[メリット]
・店までの道を迷うリスクが減る
・移動時間も会話に使うことができる
■ 駅での待ち合わせ[デメリット]
・人が多くて探すのが大変
・複数路線が通る駅や、早めにその駅について別の用事をしている場合に、待ち合わせ場所が凄く遠回りになることがある
(ターミナル駅ではもうほんと同じ駅とは思えない程に…)
・気候の影響を受けやすく、夏は暑く冬は寒い
・店までの移動時間が多少ある場合、猛暑や風雨などにより、店到着時に髪型や服がベストな状態ではいられない(整えるタイミングがない)
■ 店での待ち合わせ[メリット]
・予約名を伝えれば合流がスムーズ
・暑くても寒くても雨でも、待ち時間が苦にならない
・どちらかが先に到着していても、また数分遅れても、あまり気にならない
・予約ができない店の場合、先に着いた方が並ぶor混み具合を共有して場所を変えるなど、早めの対応ができる
・店に入る直前や、先に着いて待っている間に、身なりを整えることができる
■ 店での待ち合わせ[デメリット]
・店までの道を迷うことがある(らしい)
こうしてざっとあげただけで、
合理的なのは 店>駅 であるのは明らかではないか。
とはいうものの、駅派の意見も検証してみる。
まず、道に迷う可能性について深掘りしたい。
とあるアンケートで、駅での待ち合わせを好む人の理由として「知らない店だと迷ってしまうので」という趣旨のものを見た。
私は地図の読めるタイプの人間なので、
残念ながらスマホのマップを見ながら目的地にたどり着けない人の気持ちはよくわからない。
よほど入口のわかりにくい辺鄙な店でなければ、多少迷ってもたどり着けるのではないかと思ってしまう。
それに、到着が数分遅れたところで、店で待っていればそう気にはならないのだ。
加えて、迷うタイプの人は駅でも迷う。
西口集合と言っているのに、目の前の改札をとりあえず出てから西口を探すものの今どこにいるのかわからないとか、
待ち合わせスポットになりがちな“◯◯駅の◯◯像”なんて、それこそ知らないとどこにあるのかわかりづらい。
よほど地図や方向感覚に自信のない人は、
お店集合を提案されたときに、迷ってしまうから駅や自分のわかる目印で待ち合わせたい、と言えば
それはそれで可愛らしいとも思う。
何も問題はない。
次に、お互いの第一印象がより良くなるのはどこなのか、という点を考えたい。
駅の改札周辺は、無機質だったり雑然としていたりして、
どんなに素敵な人が立っていようと、さほど様にならない(気がする)。
店は昼なら自然光が入っていたり、夜なら雰囲気のある照明で、“居心地の良さ”も提供している場所であるので、
そこにいる人の雰囲気も格上げされるように感じる。
さらに店まで歩く間、風雨や日差しでせっかくのメイクや髪型が台無しになるところを、いきなり晒したくもない。
できればほんの5秒でも鏡や窓ガラスを見て軽く整えた状態で、その場をスタートしたい。
また2人で歩く場合、冒頭の私の経験談(フィクション含)のように、会話の盛り上がりに欠けることがある。
打ち解ける前のこの移動時間に、会話が弾むカップルはどのくらいいるのだろうか。
店で落ち着いたタイミングの方が、妨げるものもなく会話に集中できる。
ならば、様子見の準備運動のような移動時間の会話はなくてもいいのでは、というのが私見だ。
特に最初は気まずい時間が少ない方が、
“盛り上がった感”を感じやすい。
打ち解けた後の帰り道であれば、歩きながらの会話もずいぶん心地よい。
ここに書いたのは言うまでもなく、私個人の意見だ。
女性でも共感しない人もいると思う。
ただ、共感されることが多いのも事実。
そして、このようないわゆるテクニックでは、
その人の本質は見えないのでは?という指摘もあるかもしれない。
ただ言えるのは、段取りとは思いやりである。
そして、自分の魅力を最大限に見せられるように、不要なノイズを排除しようとしている、というその行為そのものを尊重したいのだ。
面接へきちんとした格好で行き、部屋の入退室や挨拶の所作に気を配る。
それと同じような意味を感じている。
第一印象が損なわれると、その人の本質まで見ようという気にすらなれずに終わることもある。
そんなお互いが不幸になるようなことは、避けたい。
今まで何も考えずに駅集合にしてきたそこのあなた。
まずは店集合を提案するという選択肢を持ってください。
そしてもし、私のデート相手がこれを見ていたら、
距離感のあるうちのデートは基本お店集合でお願いします。
この国に、一つでも多くの恋愛が成就しますように。
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