実家みたいな。

わたしの喫茶店歴も
ずいぶん長くなったものだけれど
20年ほど前に 初めて働いた喫茶店は
喫茶店の実家みたいなもので
頻繁にではないけれど 折を見て里帰りをする。

先日も また。
6年半働いた喫茶店を卒業して
これからのことも何も決めていない今
原点に戻って 自分の本音を知りたくて。
そんなときは 実家に帰るに限る。

賑わう店内。
カウンターから離れた席なので
本を読み、音楽を聴き、ぼんやりする。


みぞおちのあたりが
ドクドクしている。
なんだか落ち着かない。

決まった日常を拠り所に
自分の心身を整えること。
それが 大切だと思っていた。

そんな日常を
ぽーんと放り投げた今は
本当に心許ない。
重力を失ったみたいに
ふわふわして
無防備極まりない。


でも
傷ついても へこたれないと思えるくらい
元気になったんだと思う。

だから 動いたんだ。

帰り際に 交わす言葉。
わたしの倍以上の年月 珈琲を淹れてきた人。
わたしの この先の20年。
果てしなく 長く 遠い先に思える。

どう 暮らしていきたい？


実家に帰ったからといって
お告げみたいに
簡単に 導きは 降ってきてはくれなくて。

そんなもの なくたって 進まなくちゃ！
とは わかりつつも

もうちょっと。
もうちょっとだけ 待つよ。


囚われずに。


自分の 本当の気持ちが 知りたい。