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小海 淳
2017年1月2日 12:15
悲しみを火にくべて夜道を歩き出しながらふと、財布を忘れてしまったことに気がつくけれどもう後戻りもできずそのまま歩いていくうちに結果としてこれでよかったのだと私はもう何も持たないのだと思いなおす行く手には人がいるだろうと思ったのに街灯の下、群れているのは獣ばかりだった求めることはやめようと思った矢先にこうして求めては裏切られる戒めなくてはならない私の希望はもう死んでしまった
2015年11月12日 18:33
あの頃窓の外にあった快活なざわめきは、今も同じように窓の外にあって、私はここで彼らの声を聞いている。遠くの声の美しさ、近づく足音、きしむ窓、私は溜め息をついてまた筆をとる。起こらなかった事事の余韻。 あの踊りの輪は、おまえのためのものではないんだ。だけどおまえはここで、木靴を履いて踊ることだってできる。ただ、やらないだけさ。床が傷むし、音を出すと大家が嫌がるからさ。 なだらかな午睡の中で、
2015年9月24日 12:49
雲の速さにおびえて顔を伏して歩く子らこんな天気では獣たちも干からびていくだろう私たちはどうしてこんなに途方に暮れているのだろう吹き飛ばされた人人を何もできず見送ることにさえ私は罪を感じなかったのに今このなんでもない時になって私はすべてを贖いたいと思う風の吹くことを私はおまえに謝らなくてはいけない空の高さを
2015年9月19日 00:06
うしろ手に扉をしめて手さぐりに歩きだすと扉の向こうでざわめきが遠く聞かれた私はおまえを置いていくはだしの足から心の底まで冷えてしまった私は自分と暗闇との区別がつかない足取りとともに私はこころをなくしていった私はそれでも歩をゆるめることはなかった