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幼稚舎にフリーで合格するタイプ③笑顔で人懐っこい

どのような子がフリーで幼稚舎に合格するのか―。我が子を幼稚舎に入れるために、幼稚舎が求めるお子さま像を正しく理解し、その素養を身に付けさせるという逆算的なアプローチもときには有用です。

今回は笑顔で人懐っこい性格のお子さまの姿に迫ってみたいと思います。園のクラスに1人は、いつもニコニコしていて誰とでもすぐに仲良くなれるような子がいるかと思います。天真爛漫で明るく、子ども大人分け隔てなく自然体に振る舞えるような子です。

1.人懐っこさから何が見えるか

幼稚舎を卒業して社会で活躍している方々に共通して言われるのは、「人の懐に入るのがうまい」「人付き合いを大切にする」「憎めない」「裏表がない」「義理堅い」などです。一言でいうと【人たらし】という言葉がしっくりくるのではないでしょうか。慶應の仲間と和気藹々と過ごすなかでこのような処世術を身につけていくという側面もあるでしょうが、幼稚舎に入学する前から、既にそのような片鱗を見せているケースもあると思っています。

私が知るなかで、フリーで幼稚舎に合格されたお子さまはまさにこの「人懐っこさ」が共通点でした。こちらから何か話しかけた時も満面の笑みで答えてくれたり、「〇〇先生、こないだ僕海に行ったんだけど...」と自分から話し掛けて来てくれます。行動観察の時も、あまり緊張せずに自然体でゲーム自体を楽しむ様子が見られ、幼いながらに人との適切な距離感や、仲良くなれる自分なりの方法論を持っているかのようにさえ感じます。

このようなお子さんから感じ取れるのは、「周囲の人間関係に恵まれているのかな」「これまでありのままの自分を受け入れてもらってきた安心感から警戒心を持たないのかな」「新しく出会った人はきっとみんな友達になれそうだな」と思わせるような、眩しいくらい純朴で人を疑わないような懐っこさでした。

2.どのように人懐っこさが育まれるか

このような人懐っこさは、どのように育まれるのでしょうか。そもそも人のパーソナリティは「気質」と「性格」の2つの要素で成り立っていると言われています。「気質」とは先天的に生まれ持ったもので「好奇心が旺盛である」「怒りやすい」「よく笑う」など、神経伝達物質の量である程度生まれながらに決まっているものです。一方、「性格」とは体験や環境などにより育まれるもので、「諦めない」「自信がある」などといった非認知的な側面で、後天的なものです。これらが掛け合わさって、人のパーソナリティが形成されていきます。先天的、後天的な要素がパーソナリティに与える影響は、割合的には50%ずつというのが研究者の大筋の見立てのようです。

それでは「人懐っこさ」とはどちらにあたるのでしょうか。「気質的」には、「外交的」「内向的」といった要素の影響はもちろんありますが、後天的な「性格」から見たとき、「両親や周囲が自分の考えを尊重してくれるから、自分も自信を持って発言できる」「新しく出会った人と仲良く楽しく過ごせた経験があるから、新たな出会いを欲している」などという経験則的な影響が大きいと考えられます。これらは、遺伝的に内向的であったとしても、ある程度カバーできるものです。

つまり、家族、親戚、園、公園などのあらゆるコミュニティのなかで人付き合いの「成功体験」を積ませること、良質な出会いを積み重ねることが人懐っこい性格を育む上で不可欠であると言えます。

3.人との繋がりを重視する慶應義塾

この幼年期の人懐っこさは、クラス替えのない幼稚舎のクラスのコミュニティを形成するうえで非常に重要な役割を担うことになります。クラスで一致団結し、協力し合う機会の多い幼稚舎では、仲間の特性を理解して助けたり、ときには自分の弱さをさらけ出して助けてもらったりするなかで、濃密な人付き合いを6年間重ねることになります。

試験の際に「人懐っこさ」を重視する背景には、このような人付き合いをできるパーソナリティかどうかを見極めているものと考えられます。これらは絵画制作のお尋ねや、行動観察の際に初対面の友達との関わり合いを見ながらチェックされています。

そして、幼稚舎の6年間で培った人間関係の基礎力は、青年期に掛けて本人の新たなコミュニティの形成に役立ち、集団の中での自分の役割や適切な立ち居振る舞いを経験的に身につけていきます。さらに、それらは社会に出たときに、冒頭で述べたような社会人として必要不可欠なコミュニケーション力へと結びついていくのです。最強の学閥と称される三田会においても幼稚舎出身者が一目を置かれているのは、このような巨大なコミュニティのなかでも持ち前の対人力を発揮できるからではないでしょうか。

4.まとめ

お子さんがシャイで内向的な性格で、初対面でなかなか話せないという悩みをお持ちの親御さんも多いかと思います。そんな時、もっとも簡単にテスターの目を引く方法があります。それは【笑顔】でいることです。

自分が笑顔になることで、テスターの表情も和らぎ、それを見た本人の緊張も解けて実力を発揮できることもあります。試験において笑顔は特効薬となります。緊張したときこそ、意識的に笑顔を作ることで周囲に安心感を与えられ、普段の家族や友人の中で見せる「人懐っこさ」を発揮できる糸口になるでしょう。

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