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幼稚舎にフリーで合格するタイプ①精神年齢が高い

どのような子がフリーで幼稚舎に合格するのか―。我が子を幼稚舎に入れるために、幼稚舎が求めるお子さま像を正しく理解し、その素養を身に付けさせるという逆算的なアプローチもときには有用です。

1.「精神年齢が高い」とは

これまで幼稚舎の合格を勝ち取ってきたお子さんに共通して言えることは、同年代の中でも精神年齢が高いということです。精神年齢が高い=大人びている、子どもっぽさがないという訳ではありません。ここでいう精神年齢の高さとは、幼児のわりに視野が広く、判断軸が利他的であったり、行動にメリハリがあるといったことです。当然、一般的に幼児期の認知は自己中心的な傾向が強いですから、自分がやりたいことを優先させる、気持ちの切り替えがうまくいかない、といったことは一般的には当たり前のことです。行動観察は、まさにそのような精神年齢の高さをはかる試験といってもよいでしょう。

自己中心的な幼児が多数を占める状況のなか、例えば試験中に周囲をよく見た上で冷静に最適な提案をできるお子さまや、複数の意見をまとめ上げられるような視座の高さを見せるお子さまがいれば、当然テスターの目に留まります。初対面のなかで、このような振る舞いができるかどうかは、とりもなおさずこれまでの経験の豊かさが影響しています。これまでどれだけ友達と衝突しながら遊んできたか、その遊びの中で工夫を重ねてきたか、そういった日常の遊びの積み重ねが視野の広さや調整力を育みます。

また、学校に求められているお子さま像を「演じる」ことができるのも精神年齢が高い証拠です。しかし、演じると言っても、全くの他人を演じるわけではありません。学校ごとに自分の出すべき部分とおさえる部分をわきまえていて、それを実演できるかどうかということです。特に女子で幼稚舎から合格を勝ち取るようなお子さまは、状況や目的に応じて、自分が試験でどう振舞えばよいのか、ある意味で打算的な行動ができる賢さも持ち合わせているように感じます。

2.幼稚舎が嫌うもの

一方で、幼稚舎は作られた「精神年齢の高さ」を嫌う傾向にあります。どういうことかというと、幼児にしては不自然な言動、つまり親から言わされている、あるいは覚えてきたセリフを機械的に発しているようなお子さまはことごとく不合格となっています。理由ははっきりしていて、慶應義塾が理念に掲げる「独立自尊」とは「何事も自分の判断・責任のもとに行う」ことであり、試験でも自主性があるかどうかという観点を重視しているからです。

これは行動観察や絵画のお尋ねの際に顕著に現れます。例えば行動観察では、あらかじめ準備ができるような声掛け(=想定されている状況での声掛け。例えば、役割を決める、順番を決める、単調な応援など)はさほど評価されません。むしろテスターが注視しているのは、うまくいかないとき、意見が割れたとき、混乱し始めそうなときなど、想定外の状況になったときにどのように乗り切るかという点です。丸暗記してきた言葉では到底歯が立ちませんし、黙ってしまったり、強引に自分のやり方で進めようとしてしまっても、評価には結び付きません。そのような時に自分の頭で考え、チームをいい方向に導くきっかけになる一言を発せられるかどうかが肝となります。

また、絵画のお尋ねの際も同様に、記憶してきた言葉を一方的に話すのはNGとなります。とある合格体験談のなかに「生き物に関する深い知識を披露し、先生を驚かせたことが合格に繋がった」という情報が広まり、それを妄信したご家庭が「とにかく生き物のディープな知識が重要だ」と知識を詰め込み、勝負絵として準備してくる例が非常に多いようです。もちろん、勝負絵があること自体は問題ではないのですが、テスターが困惑するのは、覚えてきたことを披露しようとするあまり、質問に答えていない、会話にならない、深く質問をしたときに答えられない、といったときです。

3.自立しているかどうかは一言で分かる

そのような会話がままならないような状況では、お子さん自身の普段の様子が見えてきませんし、幼稚舎が大切にしているコミュニケーションや対話が一方的になってしまいます。重要な事は、特定の生き物に関する深い知識ではなく、話したときに感じる人懐っこさ、豊かな感情表現、初対面の先生と会話を楽しむ余裕、深く問われても打ち返す頭の回転の速さなどであって、そのうえで描いた絵に関する知識の深さを披露できるとテスターは目を光らせる事でしょう。

これらは当然、一朝一夕にして身につくものではなく、普段からのびのびと表現力を鍛えることが重要となります。子どもをみるプロである先生は、一言会話をするだけで、その子が精神的に自立しているかどうか一目瞭然だといいます。入試本番という緊張する場面で、初対面の先生の前でいかにハツラツと振る舞えるかがカギとなります。

4.まとめ

精神年齢が周囲より高いと、自然とその子は目立って見えるようになります。これがよく「キラリと光る子」と表現されるものの正体だと考えています。普段の生活の中で、いかに子供同士で創意工夫を凝らして感性を磨き、お子さんを子ども扱いせずに対等に向き合いながらコミュニケーションを重ねていくかが、精神的な成長を促す肝になるでしょう。

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