2009年7月26日 佐野元春さん&The COYOTE BAND at ZEPP TOKYO
16年前のコヨーテバンドとのツアーのZEPP TOKYO公演の時のメモ。そうか、この当時はまだHOBO KING BANDがメインで、COYOTE BANDがパーマネントに元春をサポートしていくという認識をしていなかったんだな。
元春は今年45周年。夏からはCOYOTE BANDと大規模な全国ツアーを行います。ここ数年は、彼を悩ませてきたであろう喉の問題がかなり落ち着き、明らかに創作活動の新たなピークに到達している姿が見受けられますが、いつも良いことばかりじゃない…そんな時期にもひたむきに音楽に向き合ってきた彼だからこその現在なのだなあと。この時期のメモなど読むと改めてそんなことを感じたりしますね。
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佐野元春&The COYOTE BAND
(26 Jul 2009 / at ZEPP TOKYO)
佐野元春さんは1980年からThe Heartland、Heartland解散翌年の1995年からはTHE HOBO KING BANDと共にツアーをしていますが、今回のツアーはアルバム「COYOTE」のレコーディングメンバー(COYOTE BAND)によるスペシャルメニュー。今やレジェンドクラスに突入しつつある凄腕のテクニシャン達と繰り広げるフォークロックやR&Bをベースにした元春ワールドとは若干テイストの異なる、シンプルでストレートなロックンロールを聴かせてくれました。
実はこの3週間前、7月4日にもこのツアーを赤坂BLITZで観ているのですが、バンドのアンサンブル、そして元春の喉の調子も圧倒的にこの日の方がよく、グルーヴに溢れたライブは素晴らしいの一言。普段に比べると短い2時間程度のステージでしたが、懐メロに頼らず「COYOTE」中心に近年の作品で本編を押し通した、予定調和に走らない緊張感のある内容が新鮮でした。
若い頃とは異なるやや枯れた今の元春の声に合わせたソングライティング。本来ならばキーを落として音域を狭めて、バラード中心で…と往きそうなところで、シンプルなロックンロールを押し出してきているのは元春の決意でもあるのでしょうが、ここ数年、確実に新たなピークに向かっているように感じます。特に01、03、09、12、13あたりは、ライブにおける新たな代表作へと成長していく予感もあり、(陳腐な表現を使うならば)元春が影響を受けたボブ・ディランに徐々に近いづいているようでもあり。
アンコールでは時計を少しずつ戻しながら、僕は大人になった→Young Bloods→ダウンタウン・ボーイと描かれる世代も逆回転。「すべてをスタートラインにもどしてギアを入れ直している」という歌詞が今の心境を代弁しているようにも感じられ、この10年ほど試行錯誤を繰り返しながらソングライティングを研ぎ澄ましてきた彼の中で何かが吹っ切れたような、何か答が見つかったかのような、そんな気配が感じられました。
2010年、佐野元春デビュー30周年。10周年や15周年の頃にイメージしていた姿とは異なるのかもしれませんが、20周年や25周年の頃よりも明るい未来が待っていそう、そんな予感に包まれた「この素晴らしい東京の夜」。
01 星の下 路の上
02 荒地の何処かで
03 君が気高い孤独なら
04 ヒナギク月に照らされて
05 裸の瞳
06 折れた翼
07 呼吸
08 ラジオ・デイズ
09 Us
10 夜空の果てまで
11 壊れた振り子
12 世界は誰の為に
13 コヨーテ、海へ
14 黄金色の天使
encore 1
15 ぼくは大人になった
16 ヤングブラッズ
17 ダウンタウン・ボーイ
18 約束の橋
encore 2
19 アンジェリーナ
encore 3
20 星の下 路の上
佐野元春: Vocal/Guitars
深沼元昭: Guitars/Chorus
小松シゲル: Drums
高桑圭: Bass
渡辺シュンスケ: Keyboard
大井"スパム"洋輔: Percussion