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(60)フェードアウトしようと思って…

頭痛の無い毎日がどれほど快適か、晴れた空を見ながら思っている。
天気痛は辛い。

細々繋がった私たちにまたの試練があった。

細かいことは省略するが、わたしって何?彼女じゃなかったんだね、何?になったわけで、一瞬にして石ころいっぱい、涙が溢れそうになった。

このままもう終わろう。
わたしってただの……。

しばらくして、ごめん、今頭の中がいっぱいで、言い訳にもならないねと。
確かに動揺してしまうような話があって、わたしも動揺して言った言葉に彼が返した言葉に傷ついた。それをごめんと謝ってきたけれど。

そのLINEは夜中まで既読にしなかった。

翌日彼からも、もちろんわたしからもおはようは無かった。
面倒くさい事がなくなって、なんだかすっきりした感じ。

最後に、旅のしおりを印刷して写真をシールにして作ったしおりを渡したくなった。
この時は楽しかったね、と。

送ると言っても言わないだろうし、会社に送りつけたら、ただの怖い女。
どこかで渡したいとLINE。
わたしも未練がましい、捨てればいいのに。
でも捨てるのはもったいなくて。
ただのドケチ。笑

なんだかすっきりしたとは言っても、彼の笑った顔や目を開けてと言われた時の彼の顔を思い出すと胸が苦しくなってしまう。

わたしは…

ただただ力になりたかっただけで、彼に余裕がなかったことはわかっていても前回の試練の後も今回もブツっと切られてわたしも余裕が無くなって慌てて今言ってはいけないことを言ってしまった。小さな親切大きなお世話ってことも考えてなかった。
でも彼には近くに前の人もいることだろうし、それならわたしは、このうるさいわたしは要らないんだろうなと思った。
遠距離恋愛(高速空いてると1時間半、電車も特急だ)は、どちらかが挫けたらおしまい。中距離か?

そう思っているうちに彼からLINE。
俺は最初からずっと変わってないよ。
ただ本当に体調悪い時は勘弁して、と。
わたしにも思いやりは足りなかった。
今は言うところじゃないって時に余計なことを言った。

どうしたらいいかわからなくていろんなことを言ってしまった。
何か役に立ちたかったから。
と言ったら(まるで子供だと言う事は重々承知の上で)
ありがとう
困ったら助けてもらうよ、と。

あっちこっち向いてて暴走していたわたしの歯車が、ずっと定位置で回り続けていた彼の歯車にやっと戻っていった感じ。

土曜日夜LINEが来て、明日行くよ、と。
体調悪いなか来てくれた。
これはたぶん彼の危機感が無理を押してでも、と。ごめんね。

車に乗る時、一瞬躊躇ったけれど(犬の毛のことを言ってしまったから)思い切って入ったら、綺麗に掃除してあった。笑笑
マットはピカピカに。笑笑
埃ひとつついてなかった。
なんとなく笑いそうになった。

でも彼の顔色は悪くて、こんな時に抱き合ったら死んじゃう?って心配だった。
あとで聞いたら、わたしも顔色悪く、元気無い様子だったよと。

車の中で、まるで別れるみたいなLINEよこして、って言われて、もういいかなって思って、そのままフェードアウトしようと思ってたって正直に言ったら、ナニー!と。
ごめんごめんって謝った。
こんな顔色と体調なのに来てくれる人を。
もう会ってくれないかと思ったよ、と言っていた。
会えて嬉しい、とお互い。

それからいつもと同じように愛し合った。
時々フェードアウトしようとして、こいつーって言われながら攻められてた。笑
お風呂に入って体の芯から温まって、また続きをして。
いつもよりたくさん名前を呼んで、たくさん名前を呼んでくれて。
時々フェードアウトしようとした生意気な女と言われながら2人で笑った。

混むから少し早めに帰った方がいいと思ってホテルを出る頃、彼も顔色良くなってとても元気そうになった。わたしも心がほぐれて顔色良くなってるよと言われた。

離れて住んでいて、LINEのやり取りだけでは心が伝わらないこともある。
文字だけでは伝わらない。
簡単に言った言葉が、拒否に思えたりする。
近くなりすぎて慣れてしまうと、ついつい自分勝手になってしまう。
それはまた、素、とは違うと言うことを肝に銘じなければ。

帰りがけの車の中で、要らぬ心配はしないこと、わかった?って。
犬の毛ついてることはどうなのよ、とはもう言わない。わたしも忘れる。
たぶんわたしは勝った。(まだ言ってる)
彼がちゃんと思ってくれている事はわかったし(わかんないやつだなぁと思われてる)自分も彼を思っていることを再認識。

すっきりしたと思っていた心は、最大限の強がり。でもひとりで生きなきゃならなくなれば、そうやって振り切るしか64のわたしには生きる道が無いのも事実。
そんな日が来ないことを祈る。


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