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忍殺TRPG公式サンプルシナリオ小説風リプレイ【デッド・マン・テル(その3)】

◆アイサツ

 ドーモ、海中劣と申します。こちらの記事はニンジャスレイヤーTRPGの小説風リプレイとなっております。ニンジャスレイヤーTRPGについては下記の記事をご覧ください。

 本記事はニンジャスレイヤーの二次創作小説でありニンジャスレイヤー本編及び実在の人物・団体とは関係ございません。

 こちらの記事は前回の続きとなっております。よろしければそちらから見てやってください。

それではやっていきたいと思います!

◆本編

 不毛な言い争いが始まろうとしていた礼拝堂に少女の声が反響した。その場にいた全員が声のした地下室へ続く階段の辺りを見る。そこにいたのは学校制服の上にダッフルコートを着た黒髪の少女。華奢な体躯であるが、その瞳には力強い意思が宿る。「ドーモ、ヤモト・コキです」

「あなたがヤモトちゃん!?良かった!無事だったんだ!」「マジ!?あらやだカワイイじゃない!ヤモトちゃん!ザクロ=サンに頼まれて助けにきたわ!」「ザクロ=サンに?」恩人の名を聞いた少女は警戒を解き、セカンドチャンスとメイビーの顔を交互に見る。「あンたたち、たまに『絵馴染』に来てザクロ=サンと話してた……」

「そうよ!知ってたなら普段からお店で声くらいかけなさいって!ドーモ、セカンドチャンスです!」「メイビーです、こちらはアーコ=サン」「……チッス」3人はヤモトにアイサツを返す。「ザクロ=サンが心配してるわ!ニチョームに帰りましょ!」「……それは出来ない」

「それはソイツをブッ殺さねえといけねえから、か?」アーコはジェノサイドを指差した。「……なんだテメエ?ふざけやがって、やるのか」「ア?」収まりかけていた場の雰囲気が再び刺々しさを増していく。「やめて!」「アーコ=サン!空気読めってのもう!」ヤモトとセカンドチャンスが割って入る。

「アタイがニチョームに帰れなかったこととジェノサイド=サンは関係無いよ。ジェノサイド=サンはソウカイヤに追われていたアタイを匿ってくれたんだ」「エッ!?それじゃあいいゾンビ=サンなんですか!?」「別に、俺はここで寝てただけだ」「またまた謙遜しちゃってぇ!」セカンドチャンスが馴れ馴れしくジェノサイドの脇腹を肘で突く。

「そういうことなら早く言ってちょうだいよ!それじゃあそのソウカイヤのヤクザ野郎が来たら五人がかりで囲んで棒で叩けばいいじゃん!楽勝よ!」「相手はクローンヤクザの部隊を連れてるニンジャで」「やっぱ今すぐ逃げましょ」セカンドチャンスは真顔で出口に向かって歩き始めた。

「ウルッセーゾコラー!イモ引いてんじゃねえぞテメオラー!」「アイエエエエ!」しかし、アーコに襟を掴まれ礼拝堂に引き戻される。「……実際、お前たちが来たのは幸運の兆しかもしれん」ジェノサイドは帽子を被り直す。「連中はすぐにもここにやってくる。人手が必要だ。手伝ってもらうぞ」「「アイエエエエエ……」」セカンドチャンスとメイビーの情けない声がシンクロした。

「……大丈夫なのかな」「ア?問題ねぇだろ、別に」不安げなヤモトに対し、アーコはなんてことの無いように言った。「あのメス共もニンジャだ。ケツぶっ叩いてやりゃヒイヒイ鳴いて働くってなもんだぜ。せいぜいこき使ってやりゃいいんだよ」「そうなのかな……」ヤモトは首を傾げた。

◇◇◇

 ……その後、4人のニンジャと1人のオイランドロイドは敵の情報を共有し、ジェノサイドとアーコの2人が中心になって作戦を立てた。

◎クローンヤクザの包囲が完成してしまうと、避け切れないほどのチャカガンの弾幕により、ニンジャでもじわじわ体力を削られてしまう。

◎地形上、クローンヤクザの大半は南側の狭い石段を登ってこなければならない。教会敷地の入口付近でクローンヤクザを押しとどめるチャンスだ。

◎ヤモトは見晴らしの良い教会の屋根の上か展望台屋上に陣取り、オリガミミサイルで地上のクローンヤクザを射撃し続け、包囲の完成を防ぐ。

◎ジェノサイドは教会の1階に陣取り、敷地内に侵入してきたクローンヤクザに対処する。また、屋上への階段を死守する。

「……お前たちは外に陣取ってクローンヤクザが教会に入ってこないよう押し止めろ。俺は下で階段を守る」ジェノサイドは敷地内に仕掛けておいたトラバサミ・トラップや弾除けに使えそうな樹木の位置を説明していく。「あのー、私もヤモトちゃんと一緒に屋上じゃダメ?」セカンドチャンスが遠慮がちに手を小さく上げる。

「ちょっとセカンドチャンス=サン!自分だけ楽しようとしてないでしょうね!」メイビーが怒った。「私だって恐いんですよ!我慢してクローンヤクザの弾幕に身を曝してください!」「ハァー!?違いますけどー!?私、屋上からでもクナイ投げて攻撃できますけどー!?あなたみたいなヘタクソじゃないですけどー!?」

 セカンドチャンスはハンドバッグからクナイを取り出し、投擲する。床に転がっていた酒瓶にクナイが命中し、ガラス片が舞った。セカンドチャンスは得意げに口の端を吊り上げ、メイビーは悔しげに唸った。「……嬢ちゃん、ちょっと見せてやれ。コイツらも知っといた方が良い」「分かった」ジェノサイドの言葉に座っていたヤモトが立ち上がる。

 セカンドチャンス、メイビー、アーコの3人が見つめる中、ヤモトは和紙を取り出し、そのまま手放した。「ア……!」メイビーが驚きに声を上げた。ヤモトの手から零れ落ちた和紙が桜色の光を纏い、ひとりでにツルのオリガミに折りたたまれたからだ。

「行け!」ヤモトが合図するとオリガミは障害物となる礼拝堂の長椅子を避けながら高速で飛翔し、セカンドチャンスのクナイで小さくなったガラス片へと命中、更に小爆発を生じさせた。「見ての通り、屋上は嬢ちゃんひとりで十分だ。いいな?」「……アッハイ」セカンドチャンスは力無く頷いた。

◇◇◇

 ……数分後、セカンドチャンスたちは教会正面にある木々の枝の上で待機していた。セカンドチャンスは何度もハンドバッグの蓋を開閉し、メイビーはスリケンを握りながらぶつぶつとネンブツを唱え、アーコはマシンガンのチェックを入念に行っている。3人とも緊張しているのだ。……その時である。

「来てる!正面!」ヤモトは叫んだ。然り。丘の石段を二列になって上がって来るのは、チャカガンで武装したクローンヤクザだ! 丘の麓にはバリケードが張られ、その後ろに装甲車両が待機している!

「ニンジャはいるか!」ジェノサイドの声が微かに聴こえた。ヤモトは叫んだ。「まだいないッ!」

◆クローンヤクザY-13型 (種別:モータル/バイオ生物/クローンヤクザ)		
カラテ    3  体力   2
ニューロン  2  精神力  1
ワザマエ   3  脚力   2
ジツ     –  万札   1

攻撃/射撃/機先/電脳  3/3/2/2

◇装備や特記事項
 チャカガン: 銃器、連射1、ダメージ1


◇戦闘開始

イニシアチブ
(ヤモト)→アーコ→セカンドチャンス→メイビー→(ジェノサイド)→クローンヤクザ

※ヤモト、ジェノサイドの2人は描写のみで判定は行わない

「きた、きたきたきたきたきたきた!」セカンドチャンスは手を庇にして石段の下に視線を向けた。夜の暗さで分かりづらいが、全身黒づくめのクローンヤクザたちが整列して走って来るのが見える!「まだだぞ!もう少し引き寄せてからブチ込んでやれ!」「オッケー!」「は、ハイぃ!」アーコの号令の下、セカンドチャンスとメイビーは各々の投擲武器を構える!

「「「ザッケンナコラー!」」」クローンヤクザ隊の先陣を切っていた数人が石段を上り切った、次の瞬間!「「イヤーッ!」」「シネッコラー!」BLATATATATA!「「「グワーッ!」」」クナイ、スリケン、銃弾の三重奏!頭上からのアンブッシュだ!死体となったクローンヤクザたちが後続を巻き込みながら石段を転げ落ちていく!

「行け!」KABOOOM!「「「グワーッ!」」」追い打ちをかけるようにヤモトのオリガミ・ミサイルが降り注ぎ、連鎖爆発がクローンヤクザたちを装甲車ごと飲み込んだ!「ヤッター!ヤッツケター!」「まだだ!油断するな!」メイビーの上げた歓声をジェノサイドが叱責!次の瞬間!

「「「ザッケンナコラー!」」」ブオオオオオオン!ナムサン!装甲車の1台が石段を直接駆け上って教会へと突撃してきたではないか!恐れを知らぬクローンならではの特攻だ!「クソッタレ!撃て撃て!」「イ、イヤーッ!イヤーッ!」「だ、ダメです!全然効いてません!」銃弾やスリケンでは装甲車を止められず、オリガミ・ミサイルは展開が間に合わぬ!ああ、ブッダ!

「ゼツ!」その時、教会の正面扉が内側から開き、チェーンの付いたバズソーが装甲車と正面衝突した!ギュイイイイイイイ!ギュルルルルルル!高速回転するバズソーと空回りするタイヤが夜の教会に甲高い不協和音を響かせる!

「メツ!」そこへ2発目のバズソーが1発目のバズソーに重なるように衝突!歯車の原理でバズソーの回転速度が2倍!故に切断力も2倍!SLAAAAASH!KABOOOOOOM!装甲車真っ二つ!爆発炎上!ゴウランガ!「ハッハー!やるじゃねえかアル中野郎!」BLATATATA!アーコがマシンガンを乱射して喝采!

「「「「「スッゾコラー!」」」」」「ってまた来ました!どれだけいるんですか!?」「ヤバすぎでしょ!もう持ちこたえられない!」喜びも束の間、石段を埋め尽くさんばかりのクローンヤクザ集団が先発隊の死体を踏み越えながら前進してくる!ヤモトもオリガミ・ミサイルで必死に迎撃しているが純粋な数の暴力がニンジャの対応力を上回っているのである!

「後ろからまだ来てる!もっと多い!横からも!」ヤモトは額に汗を流しながら展望台上を慌ただしく駆け回り、攻撃と連絡を同時に行っている。そのため彼女は気付けなかった。クロスカタナの紋章を持つ2機の輸送ヘリが上空を横切り、増援を投下して去っていったことに……!

◇1ターン目
アーコ集中マシンガンバースト:
6d6>=3 = (4,1,4,4,5,2 :成功数:4)
クローンヤクザ×3体力1

セカンドチャンス集中回転斬撃:
7d6>=4 = (3,5,2,5,2,4,6 :成功数:4)
クローンヤクザ×2死亡!

メイビー集中スリケン:
3d6>=3 = (2,4,6 :成功数:2)
クローンヤクザ死亡!

クローンヤクザ射撃:
3d6>=4 = (5,6,6 :成功数:3)
+3d6>=4 = (3,3,2 :成功数:0)
+3d6>=4 = (2,1,5 :成功数:1)
アーコ、セカンドチャンス、メイビー回避:
4d6>=5 = (5,6,2,1 :成功数:2)
+6d6>=4 = (4,4,5,4,3,1 :成功数:4)
+3d6>=4 = (1,6,4 :成功数:2)

クローンヤクザ増援+5

◇2ターン目
アーコ集中マシンガンバースト:
6d6>=3 = (2,3,4,6,3,1 :成功数:4)
クローンヤクザ×3体力1

セカンドチャンス集中精密攻撃:
7d6>=4 = (1,1,2,1,3,4,1 :成功数:1)
クローンヤクザ死亡!

メイビー集中スリケン:
3d6>=3 = (3,2,5 :成功数:2)
クローンヤクザ死亡!

クローンヤクザ射撃:
3d6>=4 = (5,1,2 :成功数:1)
+3d6>=4 = (1,1,6 :成功数:1)
+3d6>=4 = (2,1,6 :成功数:1)
+3d6>=4 = (5,5,3 :成功数:2)
+3d6>=4 = (3,1,3 :成功数:0)
アーコ、セカンドチャンス、メイビー回避:
4d6>=5 = (3,5,6,2 :成功数:2)
+6d6>=4 = (4,5,5,3,6,2 :成功数:4)
+3d6>=4 = (3,5,1 :成功数:1)

クローンヤクザ増援+7

◇3ターン目
アーコ集中マシンガンバースト:
6d6>=3 = (2,2,4,5,2,3 :成功数:3)
クローンヤクザ×2体力1
クローンヤクザ死亡!

セカンドチャンス集中精密攻撃:
7d6>=4 = (5,2,5,2,3,3,2 :成功数:2)
クローンヤクザ死亡!

メイビー集中スリケン:
3d6>=3 = (3,4,3 :成功数:3)
クローンヤクザ死亡!

「イヤーッ!」KABOOOM!「ンアーッ!?」ヤモトに対し、大型のスリケンが降り注ぐ!回避したと思った途端、それらは時間差で爆発したのだ!「ドーモ、グレネディアです。俺の炸裂ハッポースリケンの味はどうだ?お遊びはここまでだぞ。この俺が来たからにはな」

◆グレネディア  	(種別:ニンジャ)
カラテ    3  体力   8
ニューロン  7  精神力  9
ワザマエ   8  脚力   4/N
ジツ     2  万札   -

攻撃/射撃/機先/電脳  3/10/7/7
回避/精密/側転/発動  8/8/8/-

◇装備や特記事項
 炸裂ハッポースリケン(無限)、タクティカルニンジャ装束一式
 『●連射2』、『●時間差』、『●マルチターゲット』
 『◉タクティカル移動射撃』、『◉シャープシューター』、『◉スリケン乱射』、
 『◉突撃』、『◉滅多打ち』、 『◉緊急ブリッジ回避』
 『☆◉炸裂ハッポースリケン投擲』、『☆◉炸裂ハッポースリケン連射』
 『☆謎めいたニンジャソウルLV2』

『☆◉炸裂ハッポースリケン投擲』:非連射時のみ使用可能。『射撃判定』に成功した場合、実際にダメージを与えたかどうかに関わらず、ターゲットと同じマスを中心とした『爆発(カトン・ジツLv1)』の効果を発生させる。敵のいない地点をターゲットに射撃してもよい。これは本来の射撃のダメージの直後に『時間差』で発生する。

『☆◉炸裂ハッポースリケン連射』:2ターン連続使用不可。攻撃フェイズ開始時に【精神力】を1消費して発動。手番終了まで『マルチターゲット』『連射2』『時間差』としてハッポースリケンを投擲できるが、2つの別なターゲットを指定しなければならない。

「アーコ=サン!大変です!屋上にニンジャが!ヤモトちゃんが!」「ファック!見て分からねえか!こっちも手が離せねえ!」「アイエエエ!ジェノサイド=サーン!オタスケー!」セカンドチャンスは教会内のジェノサイドに助けを求める!だが!

 KRAAAASH!教会のステンドグラスが割れ、巨大な影が礼拝堂の説教台を圧し潰した!新たに現れたのはゾンビーであるジェノサイド以上に人間離れした異形!不気味に脈打つ蛍光色の装束、鬣めいた髪で覆われた恐竜めいた顎、歪に膨張し発達した筋肉、ぎらつく眼球は僅かな理性も残っていない!「ドーモ、マンティコアです!GRRRRRRR!貴様!殺ス!ボディ!持チ帰ル!」

 ナムサン、リー先生のバイオ改造手術によって怪物じみた姿と力を手に入れた、INWからの刺客である!「ブッダのクソッタレめ……!俺の分の追手まで用意していやがったか……!」ジェノサイドは屋上のヤモトや正面扉の3人を気にしつつも、このモンスターと対峙せざるをえない!このままではジリー・プアーだ!

続く