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忍殺TRPG小説風リプレイ【ユメ・アルク・クルーズ(その1)】


◆アイサツ

 ドーモ、海中劣と申します。こちらの記事はニンジャスレイヤーTRPGの小説風リプレイとなっております。ニンジャスレイヤーTRPGについては下記の記事をご覧ください。

 本記事はニンジャスレイヤーの二次創作小説でありニンジャスレイヤー本編及び実在の人物・団体とは関係ございません。

 今回挑戦したのはニンジャスレイヤー公式より発表されている【ミニシナリオ作成ガイド】【ニンジャPCメーカー】【ニンジャスレイヤーTRPGシナリオ:騒霊の家】【デッドリー・ニンジャ・マジック】を使用した個人製作のシナリオです。詳細は下記の記事をご覧ください。

 ニンジャスレイヤーTRPGも公式からどんどん新規データが提供されている(いつも本当にありがとうございます!)のですが「そういえば新しく出たこのジツのニンジャを作ってないな~」というのが増えてきたので、これを機にいろいろ出してみます。

 挑戦者はザイバツニンジャ3人組!

◆ロンダイジ・レツノスケ (種別:ニンジャ)  DKK:0    名声(ザイバツ):8
カラテ    6		体力   6
ニューロン  7		精神力  12
ワザマエ   10   脚力   5/N
ジツ     5		万札   10

攻撃/射撃/機先/電脳  6/10/7/7
回避/精密/側転/発動  10/10/10/12
即応/緊急       4/1

◇装備や特記事項
 所持品: 『ZBRアドレナリン注射器』
 装備 : 『*カタナ*』『ストリートウェア:緊急回避ダイス+1』
 スキル: 『●連射2』『●マルチターゲット』『●時間差』
      『◉◉タツジン:イアイドー』『◉ヒサツ・ワザ:ムーンシャドウ』
      『◉◉グレーター級ソウルの力』
      『☆◉レッサー・エンハンスメント』『☆◉カラテ粒子収束』
      『◉知識:貴族の流儀』『◉知識:犯罪(スラッシャー)』
 ジツ : 『☆カラテミサイルLV3』
      『★キネシス迎撃』『★★カラテ・エンハンスメント』

備考:ワザマエ鍛錬蓄積2

組織内での立ち位置や性格:『反抗心や嫌悪』

◆忍◆
ニンジャ名鑑#---
【ロンダイジ・レツノスケ】
 キョートの没落貴族、ロンダイジ家の末裔にニンジャソウルが憑依。フリーランスニンジャとして裏社会で活動していたが、ザイバツからのスカウトを受けギルドへ加入する。家の再興が夢。
◆殺◆


◆ヴァルナ (種別:ニンジャ)  DKK:3    名声(ザイバツ):8
カラテ    6		体力   14
ニューロン  7		精神力  17
ワザマエ   8		脚力   4/N
ジツ     7		万札   5

攻撃/射撃/機先/電脳  6/8/7/7
回避/精密/側転/発動  8/8/8/14
即応/緊急       5/0

◇装備や特記事項
 所持品: 『家紋入りハンカチ(家族の写真読み替え):精神力+1』
 スキル: 『●連射2』『●マルチターゲット』『●時間差』
      『◉不屈の精神』『◉魅了』
      『◉◉グレーター級ソウルの力』『◉◉アーチ級ソウルの力』
      『◉◉タツジン:ジツ』
      『◉交渉:煽り』
      『◉知識:ザイバツ』『◉知識:貴族の流儀』『◉知識:ファッション(着物)』
 ジツ : 『☆カトン・ジツLV3』
      『★カトン・ボール』
      『★★グレーター・カトン・ジツ』『★★体力+1、精神力+1』
      『★★★インフェルノ・ジゴク』
 
組織内での立ち位置や性格:『心酔や従順』

◆忍◆
ニンジャ名鑑#---
【ヴァルナ】
 キョート共和国アッパーガイオン、貴族階級の出身。実家はザイバツと関わりを持っており、ある日ニンジャ化したことでそのままザイバツ入りした。性格が悪い。
◆殺◆


◆ネクロマ (種別:ニンジャ)  DKK:0    名声(ザイバツ):8
カラテ    10	体力   12
ニューロン  6		精神力  14
ワザマエ   6		脚力   5/N
ジツ     6		万札   6

攻撃/射撃/機先/電脳  10/6/6/6
回避/精密/側転/発動  10/6/6/12
即応/緊急       5/1

◇装備や特記事項
 所持品 : 『オーガニック・スシ』
 装備  : 『人面皮(フェイスガード読み替え)』
 スキル : 『●連続攻撃2』
       『◉◉忠誠心:ザイバツ』
       『◉◉グレーター級ソウルの力』
       『☆◉捕食回復』『☆◉ヘンゲ・マスタリー』
       『◉知識:銃器』
 スロット: 『◉マーク・オブ・ザイバツ』
 ジツ  : 『☆ヘンゲヨーカイ・ジツLV3』
       『★剛力』
       『★ネクロ・ヘンゲ・ジツ(アクマ・ヘンゲ読み替え)』
       『★ゴーストミサイル(ジゴクの炎読み替え)』
       『★★グレーター・ネクロ・ヘンゲ・ジツ(グレーター・アクマ・ヘンゲ読み替え)』


組織内での立ち位置や性格:『心酔や従順』

◆忍◆
ニンジャ名鑑#---
【ネクロマ】
 ザイバツ・シャドーギルドのニンジャ。自らの体を半霊化させることの出来るネクロヘンゲの使い手。ザイバツの思想に心酔し、ニンジャの支配する世の中こそ世界のあるべき姿だと盲信している。
◆殺◆

 前回のシナリオで新幹線に乗ってネオサイタマ入りし、しかしすぐにキョート共和国へ引き返そうとした3人でしたが……?

 それではやっていきたいと思います!

◆本編

 ブンズーブンズーブンズズブンズー!ブンズーブンズーブンズズブンズー!

「ウヌ……?」レツノスケは鼓膜を破るような爆音とそれに伴うひどい頭痛で目を覚ました。「ここは……?」どうやら自分はソファで横になっていたらしい。漆黒のバッファロー革で出来たソファの左右には雄々しいバッファローの角が飾られており、そこに上着やタオルが掛かっている。ソファの足元にはキョート山脈に住んでいたとされる老虎の毛皮。この部屋は、確か……「私の、部屋?」

 そう、ここは遠い昔、まだモータルの、世間知らずの若造だった頃のレツノスケの部屋だ。ブンズーブンズーブンズズブンズー!ブンズーブンズーブンズズブンズー!部屋の左右に設置されたサイバーコンポからは腹の底に響くような重低音のテクノ音声。隣室のクローゼットには過剰装飾気味のサムライ・ドレスが並び、天井ではレインボーの光を当てられたミラーボールがゆっくりと回転しながら室内を七色に染め上げている。

 なんとまあ馬鹿馬鹿しい部屋だろう。いずれも昔の趣味だ。レツノスケは気恥ずかしくなった。そもそも、自分は何故こんな場所で眠っていたのだったか。彼はソファから立ち上がり己の装備を確認する。装束は変わり無し、カタナも腰にある。体調も問題無い。では、目を覚ます前の最後の記憶は?彼はこめかみを指で叩き、記憶の糸を辿る………。

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 新幹線に乗ってネオサイタマ・ステイションに到着したレツノスケ、ヴァルナ、ネクロマの3人は駅構内のレンタル会議室を利用し、デスドレイン追跡任務の内容について報告を行った。これは暗黒メガコーポの役員などが主に利用するサービスであり、ファイアウォールなどのセキュリティも完備したUNIXやIRC端末は出張中のカチグミ・サラリマンなどが重宝している。

 ヴィジランスの仕事は早い。キョート城電算室からの返答はすぐに来た。内容を確認すると『デスドレイン、そして裏切者のガンスリンガー、新幹線内で出会ったドラゴンチック、いずれも上層部にて対処を行う。お前たちは即刻キョートへ帰還せよ。そのためにネオサイタマの郊外にあるポータルの使用を許可する』とのことであった。

「ぽおたる……ンン、ポータルですか。滅多なことでは使えへん移動手段をうちらみたいな若輩もんに使わせてくれるやなんて、えらい光栄ですなあ。ねえレツノスケ=サン?」会議室に備え付けられた椅子に姿勢よく座るヴァルナが小首を傾げながらレツノスケの顔を覗き込む。彼女の前にある机にはヤツハシとチャが置かれているが、どちらもほんの少し口を付けただけだ。

「きっとヴァルナ=サンの活躍が認められたんですよ!誇ってください!」レツノスケが何かを言うより早く、入り口近くの席に座っていたネクロマが声を上げた。モータルが近付いてこないよう見張り役をやらされているのだ。

「ウフフ!ほんまネクロマ=サンはおべんちゃらがお上手やねえ。そやさかいキョート城のお偉いさん方もポータルの使用許可ぁくれたんやろねえ」「いやあ……そうでしょうか?照れますね」「照れんでええ、照れんでええ。腹ん底からの本音やさかい」

「やれやれ……」レツノスケにはヴァルナの言葉の意味がよく分かった。ザイバツでポータルといえば、ギルドのマスター位階である双子のニンジャ、ディプロマットとアンバサダーが使用するポータル・ジツのことだ。この双子が開く超自然の穴に入れば、遠く離れた位置にあっても双子の位置を始点と終点にして瞬時の物体転送が可能となる。

 しかし、ポータルでの転送は3割の確率で『事故』が起きると言われている。そのためザイバツでこの移動方法を利用するものは下位構成員に限られる。つまりそれは、ポータルの使用許可が出るのは組織から軽んじられているということを意味している。

 それに加えて、もうひとつ別の問題もある。「ところでレツノスケ=サン、アンバサダー=サンはこっちにおられるんやろか」そう、ソウカイヤとの取り決めでザイバツニンジャたちはネオサイタマから撤退したということになっている。かつてはポータルのネオサイタマ側の出口としてこの土地に滞在していたアンバサダーであったが、件の取り決めによって真っ先にキョートに戻された筈なのだが。

「その点については、まあ問題あるまい」「……ふうん?」レツノスケは濁すような答えを返す。ヴァルナが興味深そうに顔を近付ける。「……何か、知ってはるん?」「さあて、な」レツノスケはそれ以上言うことは無いとばかりに自分の分のチャを口にした。

 そう、レツノスケは知っている。自分の所属する派閥の長、サラマンダーがキョートからポータルを通ってネオサイタマに姿を現したことを。それもディプロマットとアンバサダー、どちらもキョート城にいるにも関わらず、だ。

 つまりこれはディプロマットとアンバサダーのいずれかがネオサイタマに居なくともキョート~ネオサイタマ間のポータルが繋げられるようになったということ、そして例の3割の事故についても改善がなされたということであろう。レツノスケはそのように予想していた。

(サラマンダー=サンが3割の事故を恐れなかったとも考えらえるが……さすがにそれは周りが許すまい。つまり、ポータルでの転送はもはや下位構成員が危険を承知で行う類のものではないということ……もっとも、その安全な方法を私たちが使わせてもらえるとは限らないが)

 もしかしたら、ポータルそのものが安全になった訳ではなく、自分たちには未だ知らされていない何らかの下準備が必要なのかもしれない。そうなれば今回の転送で最悪の事故が発生する恐れもある。

(……その可能性も考えない訳ではない。だが、上から命令されている以上、他に選択肢など無い)レツノスケはチャを飲み干し、ネガティブな思考を吞み込んだ。そろそろ会議室の利用時間も迫っている。とにかく指定されたポイントへ向かうとしよう。レツノスケは湯呑みを机に置き、席を立った。

◇◇◇


 ネオサイタマ郊外にある閑静な住宅地、そこにザイバツの指定した洋館は建っている。

 この館はかつて「トコダ家」というカチグミ一族が所有して住んでいたらしいが、なんらかの事件で一家が離散してからとあるヤクザオヤブンの手に渡り、そこをギルドが「穏便に」買い取った。……途中、ソウカイヤに気付かれそうになるハプニングもあったらしいが、ロード・オブ・ザイバツの力によって解決したらしいとのことだ。

「あらまあ、ええとこやないの。ここ、ネオサイタマの外れの方?ネオサイタマのお外やのーて?」「風情がありますねえ!ワビサビを感じます!」「ウム。ギルドがこの場所を選んだのも大地を流れる霊脈だけが理由ではないのかもしれん」

 玄関前に立つザイバツニンジャたちは洋館を見上げ、各々が感嘆の声を漏らした。キョート人である彼らはこの屋敷に何らかの美術的価値観を見出したようだ。

 ……だが。「あれェ?誰か来たみたいだぜ?」「マ?ラッキー!侵入者撃退でポイント倍点じゃん!」ゼンめいた空気を台無しにする雑音に3人は程度の差こそあれ、いずれも顔を歪めることになった。

 屋敷の中から姿を見せたのは、どこからどう見てもネオサイタマ繁華街の裏路地に屯していそうなヨタモノ2人組だ。この閑静な住宅街にも、見事なつくりの洋館にも、どちらにもそぐわない。

「…………レツノスケ=サン、まあた地図を読み間違ーてもーたん?ええ加減にしてもらわんと」ヴァルナがヤンナルネと溜息を吐いた。「濡れ衣だ。ポータルがあるのはここで間違いない。ギルドの人員が置いておけなかったのが仇になったか……?」

 だが、ロード・オブ・ザイバツの行使するキョジツテンカンホー・ジツの力によって、モータルは遠ざけられている筈ではなかったか。ではいったい何故このような非ニンジャのクズが……?

「どうでもいいです!殺しましょう!」レツノスケの胸中に湧いた疑念はネクロマの決断的な発言によって掻き消された。ネクロマもたまには正しいことを言うものだ。レツノスケは自嘲の笑みを零した。まったくもってその通り。面倒は殺すに限る!

ユメ・アルク・クルーズ(その2)へ続く