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忍殺TRPG小説風リプレイ【メガ・エボリューション(その1)】

◆アイサツ

 ドーモ、海中劣と申します。こちらの記事はニンジャスレイヤーTRPGの小説風リプレイとなっております。ニンジャスレイヤーTRPGについては下記の記事をご覧ください。

 本記事はニンジャスレイヤーの二次創作小説でありニンジャスレイヤー本編及び実在の人物・団体とは関係ございません。

 今回挑戦したのはニンジャスレイヤー公式から発表されている興奮する真のゲーム【AREA4643】を元にした個人製作のシナリオです。しよう!

 挑戦するのは見下ろし型アクションシューティング世界でやっていけそうな装備スキル構成のニンジャ、サルーテ=サン!

◆サルーテ (種別:ニンジャ/重サイバネ)  DKK:3    名声(フリーランス):14
カラテ    5		体力   11
ニューロン  9		精神力  8
ワザマエ   13	  脚力   7/N
ジツ     4		万札   8(ローン12)

攻撃/射撃/機先/電脳  6/20/11/13
回避/精密/側転/発動  14/15/15/13
即応/緊急       1/0

◇装備や特記事項
 所持品 :『ZBRアドレナリン注射器』
 スキル :『●連射3』『●マルチターゲット』『●時間差』
      『◉重サイバネ』『◉シャープシューター』『◉ウィークポイント射撃』
      『◉使命感(◉聖戦士読み替え)』
      『◉◉タツジン:ミリタリーカラテ』
      『◉知識:銃器』『◉知識:サイバネティクス』
      『◉狂気:虚無衝動』『◉狂気:謎めいた儀式』『◉◉狂気:自我希薄化』
 ジツ  :『★レッサー・キリングフィールド・ジツ』
 装備  :『LAN直結型ハンドガンx2』『湾岸警備隊制式グレネードベルト』
      『バクチク・グレネード』『パルス・グレネード』
 サイバネ:『▶︎▶︎サイバネアイLV2』『▶︎テッコLV1』『▶︎▶︎クロームハートLV2』『▶︎▶︎生体LAN端子LV2』
      『▷高性能赤外線ターゲッター』『▷内蔵型パルスダガー』『▷第二の心臓』
      『▷回避パターン解析プログラム』
 生い立ち:『○元湾岸警備隊』

◆忍◆
ニンジャ名鑑#---
【サルーテ】
 フリーランスの重サイバネニンジャ。元湾岸警備隊。黒い野戦服に身を包み、ヘルメット、分厚いゴーグル、布製のフェイスマスクによって隠されたその表情は窺い知れない。サルーテとは彼が名乗った名前ではない。
◆殺◆

 それではやっていきたいと思います!

◆本編

『我々ヨロシサン製薬はカチグミの皆様のライフスタイルを一新させます。視力や聴力などの五感機能の低下、失われていく運動能力、若かりし日々……すべて、取り戻してみせます』少女めいたヨロシサン役員の顔がモニターの画面に大写しになると、彼女は自身に満ちた声で断言する。『ヨロシサンのスマート・バイオサイバネによって』

 ヨロシ・バイオサイバネティカ社はヨロシサン系列のサイバネ兵器製造会社だ。玄関をくぐった先にあるロビーの床や壁は漂白されたかのように白く、ヨロシマンたちが行き交う通路の左右にはクローンヤクザやバイオサイバネなどの自社製品サンプルの数々が整然と並べられ、展示されている。

『人類の進化を。明日もヨロシサン。未来をヨロシサン』ロビーの壁面に掲げられる大型モニターでは自社製品の宣伝映像が流されている。見目麗しい少女が乳色の長髪をたなびかせながらオジギをすると、すぐ隣の株価グラフが一気に上昇した。

 少女はヨロシサン製薬がコマーシャル撮影目的で雇ったタレントなどではない。彼女こそはヨロシサン製薬本社役員にしてヨロシ・バイオサイバネティカCEO、ヤイミ・コナギバその人である。イセは上司の貼り付けたような笑顔がモニターから消えたことを確認すると、受付へ向かって歩き出す。

◆イセ・ブルーオーシャン (種別:モータル)
カラテ    1    体力   2
ニューロン  7    精神力  9
ワザマエ   3    脚力   2
ジツ     0    万札   0

◇装備や特記事項
ヨロシデリンジャー(オノミチ・カスタムハンドガンx1とみなす)

『●マルチターゲット』『●時間差』『◉忠誠心:ヨロシサン』x2
『◉知識:バイオ系メガコーポ(ヨロシサン)』『◉知識:生物学(甲殻類)』

「ヨロシIDの提示をお願いします」カウンター奥で受付業務を行うクローンヤクザはヨロシサン上級研究員であるイセに対してもどこか高圧的だった。(Y-14型はこれだから……)イセは不愉快さを押し殺し、口内で小さく舌打ちした。

 クローンヤクザY-14型は従来の旧型クローンヤクザが受けたものよりも更に徹底された自我洗浄プログラムを施されており、これによって彼らはより従順でより機械的な、理想の兵隊となった。その代償として旧型クローンヤクザには僅かに存在していた人間性と柔軟性が完全に失われたのならば、それはきっと進化と言えるのだろう。少なくとも、ヨロシサンはそう考える。

「これを……」イセは白衣の胸ポケットから自分の証明写真とヨロシコードの記載されたIDカードを取り出し、受付ヤクザに差し出す。Y-14型は無言でカードを受け取り、手に持った読み取り機でスキャニングする。「……」イセは緊張で唾を飲んだ。

イセニューロン判定: 7d6>=5 = (6,4,5,1,5,4,4 :成功数:3)

 ピピッ。短い電子音と共に読み取り機のモニターに『ヨシ』の文字が表示された。「確認出来ました。ドーゾ」「……ドーモ」イセは肺に溜め込んだ息を吐きながら返却されたIDカードを受け取る。そのまま彼女は足早に受付横のフラッパーゲートを通ろうとした。だが。BEEP。BEEP。『ニンジャソウル検知、ニンジャソウル検知』

 ゲートの横に設置されたスピーカーからマイコ音声が流れだし、警報音が鳴り響いた。狼狽える素振りを見せるイセをよそに、警報音を聞きつけたY-14型が続々と集まってくる。その手には暴徒鎮圧用ショットガン。イセは心臓が縮こまるような恐怖を覚えた。

「イセ・ブルーオーシャン=サン、取り調べを受けてもらいます」「社内規定に従ってください」「抵抗は推奨されません」Y-14型はヤクザスラングも使用せず、淡々とイセに迫った。それが上級研究員に対する敬意から出る行動でないことをイセはよく知っている。もし少しでも妙な動きをすれば彼らは躊躇なくショットガンの引き金を引くだろう。

イセ交渉判定(『◉知識:バイオ系メガコーポ(ヨロシサン)』+2):
 5d6>=5 = (4,3,6,3,6 :成功数:2)

「……ええ、もちろん構わないわ。案内してちょうだい」ゆえに、イセは大人しく従うことにした。イセは前後をY-14型に挟まれる形で別室へと連れて行かれる。……その様子を展示品の陰から見送る2人のニンジャの存在に、職務に忠実な兵隊たるY-14型たちは気が付くことが出来なかった。

「今こそ好機。手筈通り頼んだぞサルーテ=サン」そのうちの一人、アンモナイトが隣のサルーテに語り掛ける。サルーテは黒い風となり、ゲートに素早く接近。LAN直結を行う。

サルーテハッキング: 13d6>=5 = (5,2,1,4,4,1,5,4,4,3,3,6,3 :成功数:3)

 ハッキングは無事に成功した。ニンジャソウル検知装置、警報装置、タイムカード管理システムのすべてを沈黙させられたゲートはもはやオスモウ・バーの入り口にあるスイングドア程度の役割しか果たさない。サルーテとアンモナイトは警備のY-14型たちが戻って来るより早く、ヨロシ・バイオサイバネティカ社内部への侵入を果たしたのであった。

◇◇◇

 取り調べから解放されたイセはすぐには上階へ向かうためのエレベーターに乗らず、社員用のトイレへと足を向ける。彼女は入り口側からひとつずつ個室の中を覗いていき、誰も居ないことを確認すると、一言呟く。「ロブスター」

「アンモナイト」天井から声が返ってくる。イセが顔を上げると、天井のパネルの一枚が横にずれ、アンモナイトとサルーテが地面に降り立った。「どうやらうまくいったようだな……肝が冷えたぞ」とアンモナイト。

◆アンモナイト (種別:ニンジャ/重サイバネ)
カラテ    3		体力   5
ニューロン  7		精神力  8
ワザマエ   4 	脚力   2/N
ジツ     3		万札   10

攻撃/射撃/機先/電脳  3/3/5/7
回避/精密/側転/発動  7/4/4/10

◇装備や特記事項
 所持品 :『アンモナイト化石(ブードゥー読み替え)』
 スキル :『●マルチターゲット』『●時間差』
      『◉知識:化石発掘(アンモナイト)』
      『◉狂気:異常収集癖(アンモナイト)』
 ジツ  :『溶解液(☆ポイズンブレス・ジツLV1-3読み替え)』
 装備  :『アンモナイト型フルヘルム・メンポ(伝統的フルプレートヘルム読み替え)』

 サルーテは右手を上げ、見事な挙手の敬礼を行った。その表情はヘルメット、マスク、分厚いゴーグルに覆われ、窺い知ることは出来ない。彼は清掃用具入れから『清掃中』の看板を取り出し、トイレの入り口に置く。

「……まずは第一関門突破だ。Y-14型の注意を引きつけるのにコイツが役に立った。爬虫類もたまには役に立つものだな」イセは懐からファスナー付きのプラスチック・バッグを取り出す。何かの指のように見えるそれは、実際バイオニンジャであるハイドラの指であった。これがニンジャソウル検知装置に引っかかったのだ。

 イセは袋の中で微かに蠢いているハイドラの指をトイレの中に捨て、水を流した。「このままトガリの研究室へ向かい、そこにいるであろうシャークパイアのDNAからワクチンを作る。それでいいな?」「ああ、構わん。そういう契約だ。そうだな?サルーテ=サン」イセとアンモナイトの問いかけにサルーテは敬礼を返す。2人はそれを了承の合図と受け取った。

 そう、もともとヨロシ研究員であるイセはともかく、サルーテがヨロシ・バイオサイバネティカ社にステルス潜入したのは、シャークパイアという名のバイオニンジャの力によってサメに感染したサワタリとハイドラを救うためだ。彼らは今こうしている間にも地下下水道のアジトでサメ化の苦しみと戦っている。

 そしてイセは捕虜の身からの解放を、アンモナイトはヨロシサン冷蔵保管庫から入手したアンモナイト琥珀を、それぞれ協力の対価として得る約束だ。もっとも、アンモナイト琥珀についてはアンモナイトだけではなくイセも手に入れたいと思っているのだが……

 アンモナイト琥珀の現物は今、サルーテが懐に入れて持っている。この危険なニンジャを出し抜いて琥珀を奪うことはイセにもアンモナイトにも不可能だ。ゆえに、彼らは目的達成のためにはサルーテに協力するしかない状況にある。

「さて、それじゃあ先を急ぐとしよう。トガリが帰ってこないことが怪しまれないうちにすべてを終わらせたい。私も留守にしていた自分の研究室がどうなっているか気になるしな」「私はいよいよ危険となったなら躊躇なく撤退を選ばせてもらう。アンモナイト琥珀は惜しいが……命には代えられん」

 こうして、歪な協力関係を結んだ即席のハック&スラッシュチームは暗黒メガコーポの内部を進んでいく。はたして彼らは無事にワクチンを入手できるのか、アンモナイト琥珀の行方は?サルーテはホルスターからLAN直結銃を取り出し、鋼鉄の両手でグリップを握りしめた。

メガ・エボリューション(その2)へ続く