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忍殺TRPG小説風リプレイ【ユメ・アルク・クルーズ(その2)】


◆アイサツ

 ドーモ、海中劣と申します。こちらの記事はニンジャスレイヤーTRPGの小説風リプレイとなっております。ニンジャスレイヤーTRPGについては下記の記事をご覧ください。

 本記事はニンジャスレイヤーの二次創作小説でありニンジャスレイヤー本編及び実在の人物・団体とは関係ございません。

 こちらの記事は前回の続きとなっております。よろしければそちらから見てやってください。

 それではやっていきたいと思います!

◆本編

◆◆◆

 ザイバツ・シャドーギルド本拠地、キョート城ホンマル、電算機室。

 UNIXの冷却のために温度が下げられた鉄網状のフロアでは防寒着を着こんだクローンヤクザが巡回し、タイピング奴隷たちに薬物アンプルを注射する。中央にある戦略チャブに座るザイバツニンジャ、ストーカーはLAN直結を解除すると大きく両手を上に伸ばし、凝り固まった肩をほぐした。

 ザイバツがネオサイタマから撤退してから電算機室のこなすべき業務量はある程度マシになった。とはいえ、上司であるヴィジランスは休憩時間の増加など認めはしない。彼は仕事が無ければより多くの仕事が出来ると考えるタイプだ。ストーカーは眼鏡をずらして目頭をほぐし、一息つこうと温かいチャ入りの水筒に手を伸ばした。

 だがその時である。「ストーカー=サン、ネオサイタマに向かったレツノスケ=サンたちからの報告はまだ来ていないか?」電算機室の天井が開き、電算機室室長であるヴィジランスがエントリーしてきた。その目の周囲は濃い隈で黒ずんで見える。「いえ室長、まだ来ていません」ストーカーは慌てて水筒から手を離し、いかにも作業の途中であったというような体を装った。

「例の死刑囚を捕えるためにレツノスケ=サン、ヴァルナ=サン、ネクロマ=サンの3人がネオサイタマ行きの新幹線に乗り込んだという連絡は受けている。だが、ネオサイタマに到着し次第、任務の成否に関わらず報告を行う様に。そう伝えてあった筈だな?」「はい室長、その旨についても了解のノーティスが送られてきています」ストーカーは念のためIRC通信記録を再度確認しながら答える。記録上には何の問題も見られない。

「よくない兆候だ」ヴィジランスが眼鏡を直しながら呟いた。彼は自分のエルゴノミクス椅子に座り、UNIX6機のスリープ状態を解除させる。「今まで彼がこのような連絡ミスを犯したことは無かった」「念のために帰還命令のノーティスを再度送っておきますか?」

「ヒヤリ!ハット!」ヴィジランスは掛け声に合わせて力強くストーカーを指差した。気圧されたストーカーが座っている椅子ごと小さく後ずさる。「報告・連絡・相談!それらは一方通行では意味を成さない!現場・現物・現実!今現在、レツノスケ=サンたちが置かれている状況を我々が把握できていない、この現実こそが大問題の予兆なのだ!」

 ヴィジランスは4台のキーボードと2つのホロ・キーボードを同時高速タイプし、キョート株式市場を操作しながらセキュリティの点検を行い、レツノスケたちとの通信を繋ごうとする。ビー、ビー。耳障りなBEEP音が鳴り響き、画面には『現在通信不可な』の文字。

「ヌゥーッ!なんたることか!当たってほしくなかった予測が当たってしまったか!」ヴィジランスは席から勢いよく立ち上がり、2つのホロ・キーボードをタイプしながらストーカーに命じた。

「ストーカー=サン、これでもはや明らかだ!レツノスケ=サンたちはネオサイタマでなんらかのトラブルに巻き込まれた可能性が重点!私はこの件について報告を行ってくる!君は至急原因追及に努めるように!」「りょ、了解です!」「頼んだぞ!イヤーッ!」

 ヴィジランスは回転ジャンプで天井の扉を通り、電算機室から姿を消した。ストーカーはすぐさまUNIXにLAN直結しようとして、その動きを止める。彼女は天井の扉を一瞥し、ヴィジランスが戻ってこないことを確認すると、先程手放した水筒をもう一度手に取り、中のチャをぐいと呷ってからUNIXにLAN直結した。

◆◆◆

 場面はネオサイタマの郊外にある屋敷前へと戻る。この時既にレツノスケたちは屋敷の中から現れたヨタモノ2人を始末し終えていた。

◆ヨタモノ (種別:モータル)
カラテ    1  体力   1
ニューロン  1  精神力  1
ワザマエ   2  脚力   2
ジツ     –  万札   0

攻撃/射撃/機先/電脳  1/2/1/1
						
◇装備や特記事項
 チャカガン: 銃器、連射1、ダメージ1

◇戦闘開始

イニシアチブ
ヴァルナ→ロンダイジ・レツノスケ→ネクロマ→ヨタモノ
◇1ターン目
ヴァルナスリケン→ヨタモノ1,2:
4d6>=4 = (1,4,4,6 :成功数:3)+4d6>=4 = (6,4,3,5 :成功数:3)
ヨタモノ1&2死亡!

戦闘終了

「まったく、非ニンジャのクズ共というのは数ばかり多くて嫌になります。ゴキブリめいてどこにでも湧いてきますね」ネクロマはヨタモノの死体から青白いエクトプラズム体を吸い上げる。「オロロー……ン」怨嗟と苦痛の嘆きを上げる霊魂がネクロマの体内に取り込まれた。

「それにしても、なんでこないな方々がここにおられるんでっしゃろ。レツノスケ=サン、何かしっといやすか?」「さあな、生憎私はネオサイタマのヨタモノ連中とは縁が無い。とにかく中に入るしかあるまい」「あれま、そないつもりで言うたのと違うんですけど。堪忍堪忍」「……チッ」レツノスケはフードを目深に被り、舌打ちした。

◇◇◇

 レツノスケたちは電子トラバサミ罠の仕掛けられた庭をしめやかに進み、軋む音を立てる玄関を開いて屋敷の中へとエントリーした。彼らは地下への階段を見つけるとそのまま階段を下り、地下ワインセラーの奥にある広い個室へと足を踏み入れた。

「おお、これが……!」ネクロマが己の信ずる神に出会った信者のように身震いした。その部屋の床に描かれていたのはまるで巨大な単眼めいた魔方陣。ザイバツの作り上げた魔術的ビーコンだ。

 ギルドはネオサイタマ各地にこの魔方陣と同じようなビーコンを複数打ち込み、エテルの流れ、霊的な力の道筋、オヒガンのエネルギーを引き込む動脈を我が物とした。その力はキョートの霊的基盤めいた街並みによって増幅され、ロード・オブ・ザイバツの用いるキョジツテンカンホー・ジツを強化する。

 そして、この力の流れこそがキョートとネオサイタマを繋ぐ超自然のトンネルを繋ぐポータルとなる。優秀なコトダマンサーであるネクサスを迎え入れたことにより、ザイバツは各地のビーコンを通じていつでも好きな時にネオサイタマへの侵攻、及び撤退が可能となったのだ。

 もっとも、レツノスケたちギルドの下位構成員はその事実をいまだ知らされてはいない。故に、ここまで来れば何らかの形で次の指令が来るとレツノスケは踏んでいたのだが……。「それで、この後はどないするん?ぼーっと突っ立ってればええの?」「それは……」口元を袖で隠したヴァルナの問いかけにレツノスケは言葉を詰まらせる。……だが次の瞬間!

 スターン!「ヒイィヤァーッ!」

レツノスケ、ヴァルナ、ネクロマ回避判定:
10d6>=5 = (1,4,2,3,5,4,2,3,2,1 :成功数:1)
+8d6>=5 = (3,5,6,2,3,3,6,3 :成功数:3)
+10d6>=5 = (4,5,2,5,1,2,2,5,3,5 :成功数:4)

全員回避成功

 レツノスケたちの入ってきた扉と反対方向にあったフスマが突然開き、奇声めいたシャウトが質量を伴ってレツノスケに襲い掛かる!アンブッシュだ!「イヤーッ!」レツノスケは咄嗟の抜刀でこれを受け止める!

 CLAAASH!「イヤーッ!」だがアンブッシュは二段構えであった!天井を突き破って落ちてくる大男!この重量にこの速度で押し潰されればイカジャーキー重点!「イヤーッ!」ヴァルナは冷静にその場から飛び退いて回避!

「イヤーッ!」ZAAAAP!だがアンブッシュは三段構えであった!レツノスケたちの入ってきた扉から姿を現したニンジャが指を突きつけると、薄暗い地下が白一色に染まるほどの閃光が指先から放たれる!殺人光線だ!「イヤーッ!」「オロロー……ン」ネクロマは死者の霊魂を凝縮させ、盾を形成して防御!

「ほう、まさかすべての攻撃をしのぎ切るとは。いや素晴らしい、実に素晴らしい、まったくもって大変素晴らしい」最後のヒカリ・ジツを使ったニンジャが慇懃無礼な態度で小さく拍手した。レツノスケたちはカラテを構え、乱入者たちに相対する。乱入者3人は同時にアイサツした。

「ドーモ、ライトプレッシャーです」「ウツシエです……ヒヒッ」「バットゥエレです!」

◆ライトプレッシャー (種別:ニンジャ)
カラテ    4		体力   6
ニューロン  9		精神力  11
ワザマエ   5    脚力   5/N
ジツ     4		万札   10

攻撃/射撃/機先/電脳  4/6/9/9
回避/精密/側転/発動  9/6/6/13

◇装備や特記事項
 スキル :『●マルチターゲット』『●時間差』
      『◉知識:独立小組織』『◉知識:ハッキング』
      『◉交渉:超然』
 ジツ  :『ヒカリ・ジツLv3』
      『★ヒカリの威光』
 サイバネ:『▲スマート・バイオサイバネLv0』:出目【6】で『痛打+1』
      『△バイオ脳物質分泌器官』


◆ウツシエ (種別:ニンジャ)
カラテ    4		体力   5
ニューロン  4		精神力  8
ワザマエ   8    脚力   4/E
ジツ     5		万札   10

攻撃/射撃/機先/電脳  5/9/4/4
回避/精密/側転/発動  8/8/8/10

◇装備や特記事項
 スキル: 『●連射2』
      『◉◉グレーター級ソウルの力』
 ジツ : 『☆ステルス・ジツLV3』
      『★レッサー・ブンシン・ジツ』『★★ブンシン・ジツ』
 スキル: 『◉◉タツジン:アサシネイト・ドー』
      『◉ニンジャソウルの闇』
      『◉知識:刀剣(ナイフやダガー)』『◉狂気:殺人嗜好』
 装備 : 『アサシンダガー』


◆バットゥエレ (種別:ニンジャ)
カラテ    9		体力   15
ニューロン  6		精神力  6
ワザマエ   4    脚力   5/H
ジツ     4		万札   10

攻撃/射撃/機先/電脳  10/4/6/6
回避/精密/側転/発動  9/4/4/10

◇装備や特記事項
 スキル :『●連続攻撃2』
      『◉頑強なる肉体』
      『★◉異常巨体』
      『◉知識:オイランドロイド』『◉知識:サイバネティクス』
 ジツ  :『☆デン・ジツLV3』
      『★デン・エンハンスメント』
 サイバネ:『▶︎テッコLV1』
 生い立ち:『○オイランドロイド偏愛』

ユメ・アルク・クルーズ(その3)へ続く