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忍殺TRPG小説風リプレイ【アズ・ザ・クロウ・アンド・ドラゴン・フライズ(その8)】


◆アイサツ

 ドーモ、海中劣と申します。こちらの記事はニンジャスレイヤーTRPG公式サンプルシナリオのマップを利用した小説風リプレイとなっております。ニンジャスレイヤーTRPGについては下記の記事をご覧ください。

 こちらの記事は前回の続きとなっております。よろしければそちらから見てやってください。

それではやっていきたいと思います!

◆本編


◆イベント選択

1ドラゴンチック
2ガンスリンガー
3ロンダイジ・レツノスケ
4ヴァルナ
5ネクロマ
※タカギ・ガンドー
※デスドレイン
1~3 :ダイミョ・クラス
4~6 :カチグミ・クラス
7  :荷物車両
8~12:マケグミ・クラス

※新幹線がキョートからネオサイタマに到着するまでの6ターン、ダイスを振る。

※各キャラクターはダイスで行先を選択する。(ただし、ガンドーはマケグミ・クラス内でしか選択しない、デスドレインは貨物車両から出ない)

※行き先が被った場合、イベントが発生。後の行動を共に行う様になったり、敵対して戦闘に入ったり、そのまま何事もなく別れたりする。(戦闘に入った場合、撤退するか相手を撃退するかしない限り行先ダイスは振らない)

◇1ターン目

ニンジャ5人: 5d12 = (7+11+3+5+11)
ガンドー:1d5 = (5)+7 = (7)合計値:12

ドラゴンチックとデスドレインが貨物車両で遭遇
ガンスリンガーとネクロマがマケグミ・クラスで遭遇

◇◇◇

 無事に乗車を終えたドラゴンチックは、チケットと床の升目を交互に見ながら自分のための指定席を探す。ガンドーは手慣れているのか、すでに自分の指定席を見つけて天井から垂れた吊り革に左手を預けている。「Dの1、Dの1……」焦燥のあまり指定席の番号が口を衝いて出る。

「Dの1……スミマセン」ドラゴンチックはようやく自分の指定席を発見し、隣のスペースに立っていた乗客に奥ゆかしい声掛けをしてから身体とスーツケースを升目の中に割り込ませる。49号車D1番席。不吉な番号だ。「フー……」ドラゴンチックは心労を絞り出すように深い息を吐いた。

『間もなく出発ドスエ』図ったようなタイミングでマイコ音声が告げた。車内が一際大きくがたんと揺れ動き、窓の外の景色が徐々に速度を上げながら真横に流れていく。ドラゴンチックが首だけを動かして周囲を見ると、やや離れた位置にガンドーの背中があった。

 この距離と混雑具合では大声を上げなければ言葉は届かないだろう。そのような事態にならなければよいのだが。「ア?何ガンくれてオラー?」「うるさい」「アッハイ、ゴメンナサイ」ドラゴンチックは因縁をつけようとしてきたヤクザをニンジャ威圧感で黙らせる。

 近くにいる他の乗客たちはドラゴンチックの放つアトモスフィアに怯えるでもなく、ブザマを晒したヤクザを嘲笑うでもなく、まったくの無反応である。だがそれは乗客たちの現代的無関心態度や精神的余裕の表れを意味しているのではいない。

 キョート共和国の人間というものはアッパーに住まうカチグミかアンダーに住まうマケグミかを問わず、長い歴史と伝統を持つガイオン・シティこそが最高の都市であり、そこに住まうことが至上のステータスであると考えている者が少なくない。そんな彼らがキョートを離れ、ネオサイタマなどという田舎へ向かわなければならないことは祖先や両親に顔向け出来なくなるほどの耐え難い屈辱なのだ。

 それに加えて、マケグミクラスのごく狭い空間で立ちっぱなしの長旅が始まったばかりという残酷な現実が乗客たちから目の前の出来事に対処する気力を奪っていく。思えば、割込みモヒカンや因縁ヤクザもそうした理由から他者に対して必要以上に攻撃的になっていたのやもしれぬ。

(それはあたしも人のことが言えないな)ドラゴンチックは先程のヤクザへの乱暴な対応を自省する。追手に対する警戒心のあまり、人に対する態度が必要以上に刺々しくなっている。(((ニンジャソウルに呑まれるなかれ。手綱を握るのはおまえ自身……)))ドラゴンチックの脳裏に師であるドラゴン・ゲンドーソーの教えがよぎる。

「スゥーッ……ハァーッ……」ドラゴンチックはチャドーの呼吸を行い、ささくれだつ己の心を均した。ポクポクポク……車内に流れる電子モクギョ音声が鼓膜を通してニューロンへと染み渡り、ドラゴンチックはザゼンめいた瞑想状態へと没入していく。

「スゥーッ……ハァーッ……」ポクポクポク……ポクポクポク……

「スゥーッ……ハァーッ……」ポクポクポク……ポクポクポク……(((……ガイオン)))

「スゥーッ……ハァーッ……」ポクポクポク……ポクポクポク……(((ガイオン……ショージャノ……)))



「何の音……?」ドラゴンチックは閉じていた目を開き、意識のスイッチを切り替えた。日常から非日常へ、静から動へ。「スゥーッ。ハァーッ」ドラゴンチックはチャドーの呼吸を深めた。先程とは違い、眠りかけていたニンジャとしての衝動を強引に叩き起こすための呼吸を。

(((ガイオン……ショージャノ……カネノコエ)))

 そして、ドラゴンチックはハッキリと聞いた。地面の底の底、地下の果てから聞こえてくるような、不気味で、どこか懐かしい声を。「……」ドラゴンチックはしばし思案し、やがて決断した。彼女は懐から取り出した紙片に何かをしたためると、ドラゴンのオリガミ・メールを折った。

「ン……?」ZBR切れの症状を誤魔化すため、吊革に掴まり眠っていたガンドーは首筋に当たった感触に目を覚ました。首と肩に手を当ててみると、指先に何かが触れる。「オリガミ・メール?」ガンドーは狭いスペースで大きな身体を難儀そうに縮こまらせ、手紙の中身を確認する。

「…………オイオイオイオイ」手紙を読み終えたガンドーは弾かれるように振り向いた。隣の客が舌打ちをしてきたがそれを気にしている余裕は今の彼にはない。D1番席。そこにドラゴンチックの姿は無く、大きなスーツケースだけが残されていた。「オイオイオイオイ!」ガンドーは慌てて乗客たちを押し退け、D1番席のスーツケースを確保する。

「ちょっとやめないか!」「ここは私の指定席だぞ!」「自分の席に戻ってください」乗客たちが騒ぎ立て、サイバーサングラスに威圧的な『暴力も許される』の文字を表示した警備員が凄んでくる。

「スマンスマン、ちょいとツレの荷物がな……」ガンドーはそのすべてを軽く受け流し、ケースを担いで自分の指定席へ戻る。……ふりをして警備員と反対方向の車両へ進んでいく。「参ったぜ……どうやらジッとしてるだけでネオサイタマに到着、って訳にはいきそうにねえな」

 ガンドーはガリガリと頭を掻き、隣の車両に移動するための言い訳を考えるため、隠し持っていたZBRアンプルを打ってニューロンを高速回転させた。

◇◇◇

 ガゴンプシュー……閉塞的な静寂に包まれた荷物車両にドラゴンチックはエントリーした。積み重ねられたコンテナやケース、木箱には『触るな厳禁』『繊細』『賠償金が高い』などとショドーされた張り紙が大量に貼られており、この部屋に無断で侵入したドラゴンチックを咎めているかのようだった。

 さっきの声は間違いなくこの車両から聞こえてきたはずだ。ドラゴンチックは精神を集中させ、耳に手を当てて聴覚を更に研ぎ澄まさせる。「……」どれだけの時間そうしていたのだろう。ドラゴンチックは手を下ろし、ゆっくりと歩き始める。彼女の着ていた服が高熱で燃え上がり、一瞬でチャイナドレスめいたニンジャ装束とメンポを形成した。

 ドラゴンチックはひとつのコンテナの前に立つ。まるで横に寝かされたカンオケめいたそのコンテナにはガムがへばりついており、他の容器とは違って梱包されていない。ドラゴンチックは手刀を作った右手を高く掲げ……「イヤーッ!」振り下ろそうとしたチョップを止め、その場でバック転を繰り出す!

 DOOOOOM!そのコンマ5秒後、背後のコンテナの影から溢れ出した大量の暗黒物質がドラゴンチックの立っていた位置へと押し寄せた!ドラゴンチックはすんでのところで回避に成功!

「ヘヘハハハ!惜しい!惜しいなァー!」暗黒物質と共にコンテナの隙間から滲み出るようにして男が姿を現した。「ドーモ、ドラゴンチックです」ドラゴンチックは先制アイサツを繰り出す。男は暗黒物質の盛り上がりに跨ったままぞんざいにアイサツを返した。「ドーモ、デスドレインです」

◆デスドレイン (種別:ニンジャ)
カラテ    1  体力   11
ニューロン  10  精神力  14
ワザマエ   6  脚力   3/N
ジツ     6  万札   0

攻撃/射撃/機先/電脳  1/6/10/10
回避/精密/側転/発動  12/6/6/16
緊急回避ダイス:8

装備や特記事項
・スキル:『●マルチターゲット』『●時間差』
     『◉◉グレーター級ソウルの力』『◉◉アーチ級ソウルの力』
     『★★★◉不滅』『★★★◉アーチ級装束生成(標準的な)』

・ジツやアーチ級能力:

『☆アンコクトン・ジツLV3』
 アンコクトンで手近な敵を攻撃する。【精神力』を1消費し、難易度はNORMAL。
 ルールは「☆カトン・ジツLV1-3」をもとにしているが、中心点のダメージ増加がなく、
 どのマスも全て1ダメージである。
 また回避難易度はHARDであり、回避に失敗した場合さらに『回避ダイスダメージ2』を受ける。

『★アンコクトン触手』
 自分の手番で【精神力】を1消費し、攻撃の代わりに使用を試みられる。
 発動に成功した場合、【ジツ】の値に等しい個数の特殊な暗黒触手が生み出され、
 地面を這って敵の足元や背後から出現する。
 術者から見えてさえいればどれだけ離れていても自動的に命中する
 (『マルチターゲット』使用可、『時間差』使用不可)。
 ダメージはそれぞれ1である。
 回避難易度はHARDであり、回避に失敗した場合さらに『回避ダイスダメージ2』を受ける
 (この『回避ダイスダメージ』はたとえ通常ダメージが『ダメージ軽減』で軽減され0になっても発生する)。

『★★アンコクトン肉体再生』
 手番の攻撃フェイズで「その他の行動」として使用する。
 【精神力】2を消費し、【ジツ】+【ニューロン】で発動を試みられる。難易度はHARDである。
 【体力】を3回復。加えて、この判定で出た出目6のダイス1個につき【体力】を1回復する。

『★★死体吸収』
 『アンコクトン触手』や『アンコクトン・ジツ』によって「モータル」や「ニンジャ」を殺した場合、
 1人につき直ちに【体力】を1回復する。

・弱点:ナラク・ニンジャの不浄の炎によってダメージを受けた場合、そのダメージは2倍となる。

「お嬢ちゃん、迷子か?こんなところ一人で歩いてたらさあ、ダメじゃねえか。警備員=サンに怒られちまうよ……」「その台詞、そっくりそのまま返すけど」「ヘヘヘヘ!そりゃそうだ!」男……デスドレインは手を叩いてげらげらと笑った。「でもよう、これには事情があるんだよ」

 デスドレインは悲しそうな顔を作り、話し始めた。「俺はさ、アンダーガイオンでヤクザに誘拐されちまってさ、ネオサイタマに売り飛ばされちまったんだよ。どうにかコンテナを抜け出したはいいんだがよお。故郷にはさァ、病気のお袋が俺の帰りを待ってるんだよ……協力してくれねえか」

「イヤーッ!」ドラゴンチックは飛び上がる!そのコンマ3秒後、彼女が立っていた地面を暗黒物質が浚う!「惜しい!ヘヘハハハ!」デスドレインは指を鳴らす!「イヤーッ!」天井を蹴ったドラゴンチックはその勢いを乗せてデスドレインに飛び蹴りを繰り出す!

「アブネ!へへへへへ!危ねえ!」地面の暗黒物質がせり上がり、デスドレインの身を守る!「イヤーッ!」ドラゴンチックは蹴りの衝撃で飛び散った暗黒物質に顔を顰めつつ、再び距離を取った。あの黒いスライムめいた物体は厄介だ。想像以上に素早く動き、質量、容量、共に無視できるものではない。

「へへ……ちょうどネオサイタマまで退屈してたとこでよお。話し相手になってくれよお嬢ちゃん。へへへへへ!」デスドレインが両手を振るうと暗黒物質が沸騰するように蠢き、ドラゴンチックへ津波めいて襲い掛かる!「アンコクトン・ジツ!」ドラゴンチックは四肢に灼熱のロンググローブとニーハイブーツを形成し、迎え撃つ!「イヤーッ!」

◇1ターン目
デスドレインアンコクトン触手:
16d6>=4 = (3,5,1,1,2,1,5,5,5,2,1,3,2,1,2,3 :成功数:4)
デスドレイン精神力13
ドラゴンチック回避:
15d6>=5 = (4,3,1,6,6,6,3,5,6,3,6,3,4,6,1 :成功数:7)

ドラゴンチックカトン・ドレスアップ: 12d6>=4 = (6,4,6,4,1,4,5,3,6,3,1,5 :成功数:8)
ドラゴンチック精神力9
ドラゴンチック連続側転:
9d6>=4 = (6,3,1,2,6,2,4,3,3 :成功数:3)
ドラゴンチックトライアングルリープ:
5d6>=4 = (1,2,4,2,3 :成功数:1)
+5d6>=4 = (3,5,5,4,3 :成功数:3)
+4d6>=4 = (3,3,6,3 :成功数:1)
デスドレイン回避:
4d6>=4 = (5,6,6,2 :成功数:3)
+4d6>=4 = (2,5,5,6 :成功数:3)
+4d6>=4 = (5,5,5,4 :成功数:4)

 一方そのころ。マケグミクラスの一車両、その屋根の上にて。

「ティック、ティック、ティック……」時速666キロにも及ぶ超高速の風が流れる中、驚異のバランス感覚で立つニンジャの姿があった。そのニンジャは手に持ったビデオカメラを操作しながら何事かをブツブツと呟いた。

「タカギ・ガンドー……どこにいくつもりだ?ネオサイタマ?ダメだろうそれは。ヘェーヘェー……」口の端から涎が垂れ、風に乗ってキョートの方角へと飛ばされていく。「お前はキョートにいなくちゃダメだろう。俺のシナリオの舞台に、ネオサイタマは相応しくないんだよ……」

 ニンジャはビデオカメラを仕舞い、拳銃を取り出した。そしてマケグミクラスと荷物車両を繋ぐ連結部分に狙いを定め、引き金を引こうとして「おや?ニンジャの方ですか?」「……チッ」背後から聞こえてきた呑気な質問の声に引き金から指を離して振り返る。後ろにいたのも、当然ニンジャだ。

「ドーモ!ザイバツ・シャドーギルド所属、ネクロマです!」

◆ネクロマ (種別:ニンジャ)  DKK:0    名声(ザイバツ):8
カラテ    10	体力   12
ニューロン  6		精神力  14
ワザマエ   6		脚力   5/N
ジツ     6		万札   1

攻撃/射撃/機先/電脳  10/6/6/6
回避/精密/側転/発動  10/6/6/12
即応/緊急       5/1

◇装備や特記事項
 所持品 : 『オーガニック・スシ』
 装備  : 『人面皮(フェイスガード読み替え)』
 スキル : 『●連続攻撃2』
       『◉◉忠誠心:ザイバツ』
       『◉◉グレーター級ソウルの力』
       『☆◉捕食回復』『☆◉ヘンゲ・マスタリー』
       『◉知識:銃器』
 スロット: 『◉マーク・オブ・ザイバツ』
 ジツ  : 『☆ヘンゲヨーカイ・ジツLV3』
       『★剛力』
       『★ネクロ・ヘンゲ・ジツ(アクマ・ヘンゲ読み替え)』
       『★ゴーストミサイル(ジゴクの炎読み替え)』
       『★★グレーター・ネクロ・ヘンゲ・ジツ(グレーター・アクマ・ヘンゲ読み替え)』


組織内での立ち位置や性格:『心酔や従順』

◆忍◆
ニンジャ名鑑#---
【ネクロマ】
ザイバツ・シャドーギルドのニンジャ。自らの体を半霊化させることの出来るネクロヘンゲの使い手。ザイバツの思想に心酔し、ニンジャの支配する世の中こそ世界のあるべき姿だと盲信している。
◆殺◆

「……ドーモ、ザイバツ・シャドーギルド所属、ガンスリンガーです」

◆ガンスリンガー (種別:ニンジャ)
カラテ    3  体力   7
ニューロン  10  精神力  10
ワザマエ   13  脚力   7/N
ジツ     0  万札   20

攻撃/射撃/機先/電脳  3/15/10/10
回避/精密/側転/発動  13/13/13/-
緊急回避ダイス:1

◇装備や特記事項
 近代的タクティカルニンジャ装束一式(反映済)、オノミチ・リボルバー2挺拳銃

 『●連射3』、『●マルチターゲット』、『●時間差』 
 『◉ウィークポイント射撃』 、『◉グレーター・ツジギリ』、『◉タクティカル移動射撃』、
 『◉銃弾の見切り』、『◉スリケンの見切り』、『◉黒い復讐心』(『狂戦士化4』を持つとみなす)、
 『◉◉タツジン:マグナム・ピストルカラテ』 

『◉知識:テックガジェット』、『◉知識:ザイバツ』、『◉知識:犯罪』、
 『◉交渉:駆け引き』、 『◉交渉:煽り』、
 『◉◉狂気:異常執着』、『◉◉狂気:メガロ妄想』

主な攻撃パターン
◆オノミチ・リボルバー2挺拳銃射撃: 【ワザマエ】による射撃:
    1ダメージ、ワザマエ:NORMAL、連射3、マルチ可、時間差可、装備時ペナルティ無視
       射撃時【6,6】:ヘッドショットにより『痛打+1』 
    射撃の終了後、隣接している敵1体に対して猛スピードの反動回し蹴りを繰り出し、
    自動的に1ダメージと『弾き飛ばし』の効果を与える(『回避:HARD』)。

◆ ピストルカラテ乱舞: 【ワザマエ】による近接攻撃:
   1ダメージ、ワザマエ:NORMAL、連続攻撃4、
         出目【6】成功時には密着射撃により『痛打+1』
    『サツバツ!』発生なし。

「これは僥倖!まさかこんなところで同僚の方に出会えるとは!初対面ですよね?僕はですね、他の方と一緒に任務でこの新幹線に乗り込んだのですが、どうでしょう。ここで会ったのも何かの縁!ぜひともご協力いただけませんか!」アイサツを終えたネクロマは意気揚々と、ガンスリンガーの纏う拒絶の意にまるで気が付くことなく捲し立てる。

 ガンスリンガーは無言でネクロマの顔を睨み……

ガンスリンガー、ネクロマ ワザマエ交渉判定:
13d6>=4 = (6,5,1,5,4,5,2,2,5,6,6,4,4 :成功数:10)
+6d6>=4 = (1,1,4,4,6,6 :成功数:4)

狂気ルールにより成功数‐1
ガンスリンガー9

ネクロマ4

ガンスリンガー勝利

「申し訳ありません、実は私も上から与えられた極秘任務の最中でして……」キョートの上流階級らしい、丁寧な物腰で奥ゆかしく断った。「おお、これはシツレイ!そういうことでしたら仕方ありませんね!お互い頑張りましょう!ユウジョウ!」「ええ、それでは」サムズアップするネクロマに対し、ガンスリンガーは20度の角度で会釈してその場を離れた。

「……チッ、チッ、チッ」ネクロマから見えない位置まで移動したガンスリンガーの瞳がより一層暗く濁った。舌打ちが列車の走行音に掻き消され、食いしばった口の端からまた涎が垂れた。彼は高い知能指数で狂気を隠し、ネクロマを欺いた。そう、ガンスリンガーは嘘を吐いた。

 ガンスリンガーがこの場所にいる理由は組織から与えられた任務などではない。彼は独断でこの新幹線に乗っている。すべては彼が先程語った、彼自身のシナリオのため。そしてそのキーパーソンであるガンドーを逃がさないためにである。

「ヘェーヘェー……悪運が強いな探偵。だが、こうでなきゃ面白くない。ちょうどいいハンデだ。ヘェーヘェー……」ガンスリンガーはへらへらと笑い、芝居がかった動作でキョート・ネオサイタマ間に存在するヴァレイ・オブ・センジンの空を仰いだ。

※2人は分かれて行動する。ガンスリンガーはガンドーを他の誰にも渡すつもりはない。

アズ・ザ・クロウ・アンド・ドラゴン・フライズ(その9)へ続く