
忍殺TRPG小説風リプレイ【ユメ・アルク・クルーズ(その4)】
◆アイサツ
ドーモ、海中劣と申します。こちらの記事はニンジャスレイヤーTRPGの小説風リプレイとなっております。ニンジャスレイヤーTRPGについては下記の記事をご覧ください。
本記事はニンジャスレイヤーの二次創作小説でありニンジャスレイヤー本編及び実在の人物・団体とは関係ございません。
こちらの記事は前回の続きとなっております。よろしければそちらから見てやってください。
それではやっていきたいと思います!
◆本編
「ヒイヤーッ!ヒイヤーッ!」「イヤーッ!イヤーッ!」首筋を狙った連続アサシンダガー攻撃!レツノスケは連続側転回避!「イヤーッ!」反撃のイアイ!「ヒイヤーッ!」相手は跳躍回避!「イヤーッ!……ヌウッ!」レツノスケはキネシス・ジツで追撃しようとするが天井や壁を滑るように移動する敵の速度の前に断念する。敵はこのコトダマ空間に慣れているのだ。
「ヒイヤーッ!」黒一色のニンジャは0と1の残像を残しながら見事な三点着地を決めた。「イヒッ、イヒヒヒッ、ドーモーモーモ、ウツシエですですです……」床の上に降り立ったウツシエは二重三重にエコーの掛かった声で引き攣った笑みを浮かべながらアイサツした。
◆ウツシエ (種別:ニンジャ)
カラテ 4 体力 4
ニューロン 4 精神力 4
ワザマエ 4 脚力 2/N
ジツ 0 万札 -
攻撃/射撃/機先/電脳 4/4/4/4
回避/精密/側転/発動 4/4/4/-
◇装備や特記事項
◆ロンダイジ・レツノスケ (種別:ニンジャ) DKK:0 名声(ザイバツ):8
カラテ 7 体力 7
ニューロン 7 精神力 7
ワザマエ 7 脚力 4/N
ジツ 0 万札 -
攻撃/射撃/機先/電脳 7/7/7/7
回避/精密/側転/発動 7/7/7/-
◇装備や特記事項
スキル: 『●連続攻撃2』『●連射2』『●マルチターゲット』『●時間差』
備考:ワザマエ鍛錬蓄積2
組織内での立ち位置や性格:『反抗心や嫌悪』
◇戦闘開始

イニシアチブ
レツノスケ→ウツシエ
※戦闘は『一騎打ち』で行う
「ドーモ、ロンダイジ・レツノスケです。イヤーッ!」アイサツを終えるや否や、レツノスケは地面を蹴って飛ぶ!勢いを乗せたイアイ斬撃!「ヒイヤーッ!」「なに!?」レツノスケは驚愕に声を上げる!ウツシエの身体が正中線から左右に分かたれ、レツノスケのイアイを回避したからである!
「ヒイヤーッ!」ウツシエは何事も無かったかのように身体をひとつに戻し、稲妻めいた軌跡でレツノスケに襲い掛かる!物理法則を無視したコトダマ空間ならではのあり得ぬ動き!「ヌウーッ!」レツノスケは咄嗟のチョップでウツシエの刃を逸らす!
「ヒイヤーッ!」「グワーッ!」ウツシエはその場で滞空したままミキサーめいて回転!回転!回転!レツノスケはピンボール玉めいて弾き飛ばされ、テレビモニタに叩きつけられた!KRAAASH!「グワーッ!」モニタの破片が0と1に還元され飛散し、消滅する!『もったいねえなあ』スペルバウンドはソファに寝そべり欠伸した。
「ヒイ、ヒヒイ、ヒヒーッ!カイシャクーッ!」殺戮欲求が臨界点に達したウツシエはそのまま超高速回転を続け、もはや球形の台風とでも言うべき存在と化し、斬撃の雨と風と雷を伴いながらレツノスケに突撃する!ああ!このままロンダイジ家の末裔は己の過去の記憶の中で01消滅する運命なのか!?
「「イイイィヤアァーッ!!」」「グワーッ!?」『グワーッ!?』いいや、今はまだその時ではない!部屋の左右に設置されたコンポから爆音のシャウトが響き、音の壁となって球体台風となったウツシエを吹き飛ばした!音の衝撃でソファが倒れ、スペルバウンドが床に投げ出される!
「ようやく慣れてきたぞ……この鬱陶しい空間の面倒なルールにな」テレビモニタに叩きつけられたレツノスケはまるで逆再生めいて宙に浮かび上がり、そのままウツシエ目掛け一直線に飛翔する!ニューロンの速度で!「イヤーッ!」「グワーッ!」赤いエンハンス光を纏ったチョップがウツシエの鎖骨を斬り裂く!
「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」「グワーッ!グワーッ!グワーッ!グワーッ!」チョップ!キック!チョップ!キック!レツノスケは赤く輝く大車輪となりウツシエを回転チョップと回転キックで丸鋸めいて斬り裂いていく!
「グワグワアバババーーッ!」ウツシエは正中線から真っ二つに泣き別れとなる!ただし今度は回避行動によるものではなく、正真正銘レツノスケの手による絶命的負傷である!「ヤ・ラ・レ・1100110……!」ウツシエはノイズ塗れの断末魔を残し、01消滅した!
◇1ターン目
レツノスケカラテ:
4d6>=4 = (2,2,4,3 :成功数:1)+3d6>=4 = (2,6,1 :成功数:1)
ウツシエ回避:
1d6>=4 = (5 :成功数:1)+1d6>=4 = (4 :成功数:1)
ウツシエカラテ:
4d6>=4 = (1,3,5,3 :成功数:1)
レツノスケ回避:
3d6>=4 = (6,5,1 :成功数:2)カウンター!
ウツシエ体力3
レツノスケカラテ:
4d6>=4 = (4,3,4,3 :成功数:2)+3d6>=4 = (4,3,4 :成功数:2)
ウツシエ回避:
1d6>=4 = (2 :成功数:0)+1d6>=4 = (6 :成功数:1)
ウツシエ体力2
ウツシエカラテ:
4d6>=4 = (1,1,3,4 :成功数:1)
レツノスケ回避:
3d6>=4 = (6,6,5 :成功数:3)カウンター!
ウツシエ体力1
◇2ターン目
レツノスケカラテ:
4d6>=4 = (2,4,1,5 :成功数:2)+3d6>=4 = (5,3,5 :成功数:2)
ウツシエ回避:
1d6>=4 = (1 :成功数:0)+1d6>=4 = (2 :成功数:0)
ウツシエ体力-1!戦闘不能!
戦闘終了
ウツシエ戦闘終了時体力‐1
ウツシエ精神力ダメージ:1D3 = (1)
ウツシエ精神力‐2
『アーララ、やられちまった。ったく、しょうがねえなあ』いつの間にか身を起こしていたスペルバウンドが右手を翳すと、消滅しかけていたウツシエのパーティクルが掌に吸い込まれていき、キューブ状の立方体となった。『回収回収っと』スペルバウンドは宙にポータルめいた超自然の穴を開き、そこに立方体を投げ入れる。
レツノスケは油断なくザンシンしスペルバウンドの隙を窺うが、逆に自分の方が監視されているような感覚に身動きが出来ない。不用意に攻撃を仕掛ければ次の瞬間には心臓を抜き取られてしまいそうな、電子的な悪寒をレツノスケは感じ取っていた。
『ウツシエ=サンは失敗したが……あとの2人はどうしてっかな?ちょいと見てくるか』しかしスペルバウンドはレツノスケに構わず、部屋の扉を開けて外に出ようとする。
「待……!」思わず引き止めようとレツノスケが伸ばした手がぴたりと止まる。スペルバウンドの肩越し、扉の外に見える世界。0と1で構成された無限の地平。交信の光が星のきらめきの如く瞬く暗黒宇宙。タイピングや瞑想の果てに見える世界。グローバルコトダマ空間。
スペルバウンドは一切躊躇することなく、旋回飛翔しながら暗闇の中に飛び込んでいった。「しまった……!逃がしたか!」レツノスケは後を追いかけようとして、扉の縁で立ち止まる。既にスペルバウンドの姿は見えなくなっており、闇雲に追いかけに行ってもこの空間に精通していないレツノスケでは無限の暗黒に吞み込まれるだけであろう。
(しかし、だいたい話が読めてきたぞ。あのウツシエはおそらくスペルバウンドの手引きを受けてこのコトダマ空間にやってきた。そして私のローカルコトダマ空間に入り込み、私をこの空間で殺すことで何かをしようとしていた……)
そして先程のスペルバウンドが漏らした言葉から推察するに、ヴァルナとネクロマの2人にも同じように刺客が差し向けられている筈だ。ザイバツニンジャたちのローカルコトダマ空間に手下を侵入させたスペルバウンドが何を企んでいるのかまでは分からぬが、少なくともレツノスケたちにとって都合の良いことではないだろう。
(とはいえ、それが分かったところでどうしたものか。ハッカーでもない私には何も打つ手が……ム?)ギーコ……ギーコ……その時、レツノスケは部屋の外の暗闇から奇妙な音を聞いた気がした。ギーコ。ギーコ。遥か遠くから、あるいは耳のすぐ傍で聞こえるような、木片と木片の摩擦音。
「なんだ……?あれは?」レツノスケは右手を庇にして音の発生源を見ようとした。遠近感が存在しないため、それが遠くにあるのか、近くにあるのかも判然としない。「あれは……舟か?」然り、舟である。
木片の摩擦音は船体と櫂がぶつかり合う音だった。よくよく第三の瞳を凝らして見れば、暗黒の中にスペースデブリめいて漂う無数のガラクタが認識できる。そのガラクタで出来た海を行く一隻のボロ舟。その上で櫂を漕ぐ男の視線が、レツノスケを捉えた。
「なんとまあ、妙な出会いのあったものよ。こんなところで客人とは」海賊帽を被った男が櫂を動かす手を止め、レツノスケを興味深そうに眺める。「……お前は何者だ。死者の魂を乗せてサンズ・リバーを渡るというカロン・ニンジャか」レツノスケはカラテ警戒しつつも尋ねた。
「おやおや、こりゃまたなんとも。こともあろうに、先に言われてしまったか。それなら仕方があるまい。この名を名乗るとしよう」男は揺れるボートの上で器用に立ち上がり、帽子を脱いでアイサツした。「ドーモ、コルセアです」
「ひとまず、これも何かの縁だろう。乗るがいい。なに、六枚のコインは要らんとも。別に目的地がサンズ・リバーの向こう側という訳でもあるまいしな」レツノスケが返すアイサツもそこそこに聞き流し、コルセアと名乗ったニンジャはレツノスケに舟の上に乗るよう促した。
「……」レツノスケは警戒しながらもコルセアと名乗ったニンジャの手を取った。それしか選択肢が無かったとも言える。彼は仲間を助けに行く方法はおろか、ここから脱出する手段すら知らないのだ。レツノスケがボロ舟の上に足を乗せると、船体が大きくぐらりと揺れた。レツノスケは危うく海に投げ出されそうになり、あわてて船体にしがみついた。
「では出発だ。スマンが少しの揺れは辛抱してくれよ。このあたりの海は厄介な網が張り巡らされておってな。そいつを避けながら進んでいかねばならん故に」「……こちらはタダで乗せてもらっている身だ。文句を付けられる立場にない。その辺りのことはそちらにお任せする」「ヒヒッヒ!お堅い台詞だ!それでは苦労するぞ!お若いの!」
ギーコ。ギーコ。コルセアは舟のオールを力強く漕ぎ、ゴミの海を進んでいく。レツノスケはふと後ろを見た。ついさっきまでそこにあったはずのレツノスケのローカルコトダマ空間は、いつの間にか見えなくなっていた。
ギーコ。ギーコ。コルセアは鼻唄を歌いながら身体を大きく前後に揺らしてオールを動かす。ボートの先端に取り付けられた古びたランプが無限の暗黒に包まれた世界の中で妙に温かかった。