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忍殺TRPG小説風リプレイ【ハンター・フォールズ・イントゥ・ア・トラップ(その3)】
◆アイサツ
ドーモ、海中劣と申します。こちらの記事はニンジャスレイヤーTRPGの小説風リプレイとなっております。ニンジャスレイヤーTRPGについては下記の記事をご覧ください。
本記事はニンジャスレイヤーの二次創作小説でありニンジャスレイヤー本編及び実在の人物・団体とは関係ございません。
こちらの記事は前回の続きとなっております。よろしければそちらから見てやってください。
それではやっていきたいと思います!
◆本編
「き、貴様は……まさか……!」グロウコブラは正体を現したニンジャを振るえる右手で指差した。赤黒のニンジャ装束に身を包み、黒鉄のメンポには血のような赤で書かれた『忍殺』の文字。そのニンジャは殺意に満ちた目でグロウコブラを睨み付け、ジゴクめいてアイサツした。
「ドーモ。ニンジャスレイヤーです」
◆ニンジャスレイヤー? (種別:ニンジャ)
カラテ 10 体力 12
ニューロン 6 精神力 7
ワザマエ 9 脚力 5/N
ジツ 4 万札 10
攻撃/射撃/機先/電脳 10/9/6/6
回避/精密/側転/発動 11/9/9/10
◇装備や特記事項
『伝統的ニンジャ装束』『パーソナルメンポ』
『●連続攻撃2』『●連射2』
『◉頑強なる肉体』『◉黒い復讐心』
『◉狂気:メガロ妄想』『◉狂気:異常執着』『◉狂気:謎めいた儀式』
『★◉ヒサツ・ワザ:カトン注ぎ込み』
『☆カトン・ジツ(LV1-3)』『★カトン・パンチ』
「ド、ドーモ。ニンジャスレイヤー=サン。グロウコブラです……馬鹿な、あり得ぬ!あり得ぬ!」グロウコブラは激しく狼狽し、首をぶんぶんと横に振った。「貴様はあのブレードブレイカー=サンたちに負けてリー先生のラボ送りにされたはず!なのに何故ここにいる!?あり得ぬ!」
「ブレードブレイカー?リー先生?知らないぞ。お前たちの仲間か?なら後で殺す」ニンジャスレイヤーはグロウコブラの問いを無慈悲に切って捨てた。彼はカラテを構える。「ニンジャスレイヤーは負けない。ニンジャスレイヤーは死なない。ニンジャスレイヤーは永遠に消えることは無い!ここにこうして私がいることがその証明だ!」
「フ、フン!ならばあの時の勝負の続きといこうではないか!」グロウコブラは恐怖を切り捨て、己を鼓舞するかのように威圧的なコブラカラテを構えた。その指先に濃紫色の毒液が滴り、垂れた水滴がタタミを腐らせる。「我がコブラカラテによって貴様を打ちのめし、このグロウコブラがシックスゲイツの座に駆け上がるための踏み台としてくれるわ!」
「あの時……?」だがその時、ニンジャスレイヤーの纏うアトモスフィアが不意にがらりと変わった。声のトーンが重く、低く、冷たくなり、瞳に満ちていた殺意が澱んだ。「……つまりニンジャスレイヤーはお前をみすみす取り逃したのか?殺すべきニンジャを?」
「取り逃がしたという言い方は正確ではないぞ!むしろこの極めて優れたソウカイニンジャであるグロウコブラが貴様を見逃してやったという方が正しいと」「……許せん!」「アイエッ!?」
ニンジャスレイヤーは突然激怒の声を上げた。「貴様はニンジャスレイヤーの汚点だ!貴様が生きていること自体が間違いだ!これからその過ちを正す!正当なニンジャスレイヤーであるこの俺が!」ニンジャスレイヤーは先程までの不遜さを失い、子供のように喚きたてた。まるで感情の水が急激に沸点に到達し、器から溢れ出したようであった。
「な、何を訳の分からんことを……ええい、やれるものならやってみるがいい!」グロウコブラはニンジャスレイヤーの変化に戸惑いつつも、気圧されることなく前に踏み込んだ!
◇戦闘開始
イニシアチブ
グロウコブラ→ニンジャスレイヤー
※戦闘は「一騎打ち」で行う。
救援到着ターン:1d3 = (3)
3ターン経過後にイベントが進行する。
「シューシュシュ!SHHHHSHSH!」グロウコブラはタタミ上を滑るかのような動きで接近!目にも止まらぬ速度の連続チョップ突きを繰り出す!「イヤーッ!イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは両腕を激しく動かし、この攻撃を捌く!
「SHSHSHSHHHHH!」「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」2人はそのまま近接カラテの応酬に入る!ニンジャスレイヤーの両腕から灼熱の炎が迸り、グロウコブラの両腕から高濃度の毒液が飛散する!机や壁のショドーが見る見るうちに燃え上がり、腐り落ちていく!
「イヤーッ!」「グワーッ!」激しい打ち合いを制したのはニンジャスレイヤー!グロウコブラの肩口に右手の手刀が突き刺さる!「弱敵!これが真のニンジャスレイヤーのカラテだ!」ニンジャスレイヤーはニンジャの肉を抉る快感に喜悦の表情を浮かべ勝ち誇る!しかし!「グワーッ!?」その顔が激痛に歪む!チドク・ジツ!
「グワーッ……クフハハハ!弱敵!これが真のソウカイニンジャのカラテよ!クッフハハハ!」グロウコブラは意趣返しとばかりに高らかに笑う!「ヌウーッ!」ニンジャスレイヤーは手刀を引き抜き、どす黒く変色した己の右手の指を見た。その形相が今度は憤怒に染め上げられていく!
「イヤーッ!」「グワーッ!?」ニンジャスレイヤーは拳に紅蓮の炎を纏う!そしてグロウコブラの鳩尾へ強烈なセイケンヅキを喰らわせた!「オゴーッ!」グロウコブラの吐いた血がニンジャスレイヤーの顔面に浴びせかけられる!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは首を最小限の動きで傾げて回避!
「イヤーッ!」「グワーッ!」ニンジャスレイヤーは前のめりになったグロウコブラの肩にチョップを振り下ろす!「ば、馬鹿め!我が猛毒の血に再び冒されるがいい!……なんだと!?」
己の肩の傷跡を見たグロウコブラは驚愕に目を見開く!先ほどの傷がニンジャスレイヤーの炎で焼かれたことで塞がってしまい、毒血を浴びせることが出来ぬ!チドク・ジツ破れたり!「バカナー!?」「イヤーッ!」「グワーッ!?」横面に叩き込まれるショートフック!衝撃と共に炎がグロウコブラの身を焦がす!
「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」右フック!左フック!右!左!流れ出る血は炎によって即座に蒸発し、ニンジャスレイヤーの身には届かない!
「グワーッ!な、ならば我が牙を持って直接毒血を注ぎ込むまでよーッ!SHHHHHH!」グロウコブラは防御を捨てての両腕同時チョップ突き!狙いはニンジャスレイヤーの首、そして心臓!「イヤーッ!」だがニンジャスレイヤーはグロウコブラの手首を掴んで止める!炎がグロウコブラの腕に燃え移り、皮膚を焼き焦がして異臭を放つ!
「グ、グワーッ!?舐めるなーッ!SHHHAAAAAA!」「グワーッ!?」グロウコブラは己のメンポを噛み千切り、ニンジャスレイヤーの首筋に噛み付いた!そして口内に溜まっていた毒血を傷口から流し込む!「イ、イヤーッ!」「グワーッ!」ニンジャスレイヤーはグロウコブラを蹴り飛ばして距離を取る!
だがしかし!「グワーッ!?遅効毒!」ニンジャスレイヤーは足をもつれさせ、尻餅をつく!「クフハハハ!かかりおったわ!SHHHSHSHSHAA!」「グワグワグワーッ!?」「SHHHHAAAA!」「グワーッ!」毒蛇の群れが一斉に噛み付くかのような激しいラッシュがニンジャスレイヤーの全身を打ち据える!よろけたニンジャスレイヤーをグロウコブラはムエタイめいた蹴りで弾き飛ばした!
「グワーッ!」ニンジャスレイヤーはウケミも取ることが出来ず、背中から壁に叩きつけられた!「オゴーッ!」メンポの隙間から吐瀉物が零れ落ちる!重篤な症状だ!「クフハハハ!我が毒の味は如何かな!?最初に浴びせてやった毒と今打ち込んでやった毒がケミカル作用を起こし、効果を倍増させておるのだ!多分!」
「オボボーッ!……バカな!ありえない!こんなのおかしい!あってはならない!おかしいんだ!」ニンジャスレイヤーはうずくまった姿勢で両手の拳を何度も何度もタタミに叩き付ける!「ああ、ちゃんちゃらオカシイとも!何がネオサイタマの死神、何がベイン・オブ・ソウカイヤか!片腹痛いわこのサイコパスめ!」
「AAAAAAGH!」ニンジャスレイヤーは吠えた!ニンジャスレイヤーは獣めいてグロウコブラに飛び掛かる!「ええい、野良犬めが!イヤーッ!イヤーッ!」グロウコブラはこの猛攻を懸命に回避!回避!
◇1ターン目
グロウコブラチドク・ジツ:
11d6>=5 = (3,4,2,4,5,3,2,2,2,3,2 :成功数:1)
グロウコブラ精神力8
グロウコブラカラテ:
3d6>=4 = (4,3,2 :成功数:1)+3d6>=4 = (2,5,6 :成功数:2)痛打!
二ンジャスレイヤー回避:
3d6>=4 = (4,3,5 :成功数:2)+3d6>=4 = (4,6,1 :成功数:2)カウンター!
グロウコブラ体力11
ニンジャスレイヤー体力11
ニンジャスレイヤー『◉黒い復讐心』発動
ニンジャスレイヤー近接攻撃ダイス+3、回避ダイス‐3
二ンジャスレイヤーカトン・パンチ:
10d6>=4 = (6,2,6,4,4,5,4,4,1,4 :成功数:8)
ニンジャスレイヤー精神力6
二ンジャスレイヤーカラテ:
7d6>=4 = (3,2,6,2,5,6,2 :成功数:3)+6d6>=4 = (3,3,5,1,6,2 :成功数:2)サツバツ!
グロウコブラ回避:
3d6>=4 = (6,2,5 :成功数:2)+2d6>=4 = (3,3 :成功数:0)
グロウコブラ体力9
グロウコブラ『★◉毒手』使用
グロウコブラ精神力7即応ダイス4
グロウコブラ集中カラテ:
3d6>=3 = (3,1,6 :成功数:2)+3d6>=3 = (2,3,4 :成功数:2)痛打!
二ンジャスレイヤー回避:
3d6>=4 = (2,1,1 :成功数:0)+2d6>=4 = (1,3 :成功数:0)
ニンジャスレイヤー体力6
二ンジャスレイヤー集中カラテ:
7d6>=3 = (4,1,4,4,4,6,3 :成功数:6)+6d6>=3 = (1,2,6,4,1,5 :成功数:3)
グロウコブラ回避:
2d6>=4 = (3,6 :成功数:1)+2d6>=4 = (2,4 :成功数:1)
(もっとだ……もっと力を!力を寄こせ!)ニンジャスレイヤーは内なるソウルに呼びかける。(ニンジャを殺す力を!正義を執行する力を!)ニンジャスレイヤーはソウルから更なる力を絞り出そうとする!(俺はニンジャスレイヤーだ!俺はニンジャ殺戮者だ!ニンジャ殺すべし!慈悲は無い!)
「イイィヤァーーッ!」ソウルはニンジャスレイヤーの望みに応えた!その両腕の炎が爆発したかのように膨れ上がり、異形の腕と化す!「イィヤァーッ!」「アイエエエ!?グワーッ!」ニンジャスレイヤーの腕から伸びる炎がグロウコブラを包囲し、焼き尽くさんとする!
「い、イカン。このままではこの極めて優れたニンジャであるグロウコブラが死んでしまうではないか!ありえん!そんなことはおかしい!あってはならん!おかしいのだ!」グロウコブラは頭を抱え、慌てふためき右往左往する!「ブザマだな!何が極めて優れたニンジャ、何が真のソウカイニンジャだ!貴様はただの狩られる獲物に過ぎん!死ね!焼けて死ね!」
「こ、この私が獲物だと~ッ!?誰に向かって口を利いておるのだこの狂人めが!許さん!貴様は絶ッ対に許さんぞ!」グロウコブラは完全にキレた!グロウコブラは蛇めいた瞳に残忍な覚悟の光を灯し、その右手に生成したスリケンを「イイィヤヤヤーッ!グワワワーッ!」自らの身体に何度も何度も突き立てた!ナムサン!狂気!
◇2ターン目
グロウコブラ『★◉毒手』使用
グロウコブラ精神力6即応ダイス3
グロウコブラ集中カラテ:
3d6>=3 = (6,4,1 :成功数:2)+3d6>=3 = (6,3,5 :成功数:3)痛打×2!
二ンジャスレイヤー回避:
2d6>=4 = (4,1 :成功数:1)+2d6>=4 = (6,2 :成功数:1)
二ンジャスレイヤー集中カラテ:
7d6>=3 = (1,6,3,6,5,6,1 :成功数:5)+6d6>=3 = (3,4,3,3,3,2 :成功数:5)ヒサツ・ワザ!
二ンジャスレイヤーカトン注ぎ込み:
10d6>=5 = (3,6,1,1,4,6,5,2,1,5 :成功数:4)
ニンジャスレイヤー精神力4回避ダイス‐2
グロウコブラ回避:
5d6=6 = (4,6,6,2,3 :成功数:2)
グロウコブラ体力7
グロウコブラ集中カラテ:
3d6>=3 = (5,1,1 :成功数:1)+3d6>=3 = (2,5,3 :成功数:2)
二ンジャスレイヤー回避:
1d6>=4 = (3 :成功数:0)+1d6>=4 = (4 :成功数:1)
ニンジャスレイヤー体力4
二ンジャスレイヤー集中カラテ:
7d6>=3 = (5,3,4,1,5,2,2 :成功数:4)+6d6>=3 = (6,5,4,6,4,4 :成功数:6)サツバツ!
グロウコブラ回避:
1d6>=4 = (3 :成功数:0)+3d6>=4 = (6,6,2 :成功数:2)
グロウコブラ体力5
「グワーッ!痛い!イヤーッ!」グロウコブラは全身から夥しい量の血を流しながらニンジャスレイヤーへ突貫する!グロウコブラ周辺のタタミは毒血によって瞬時にどす黒く腐敗し、音を立てて溶け落ちていく!溶解したタタミは紅蓮の炎も燃え移らない!炎によって閉ざされていたニンジャスレイヤーへの道が開く!
ニンジャスレイヤーは側転して回避をしようと「カーッ!」「グワーッ!?」グロウコブラの瞳が妖しく光った!イビルアイだ!「ヌウウーーッ!」ニンジャスレイヤーは凍り付いたかのようにその場から動けない!「イイヤアァーッ!」「グ……グワーッ!?」無防備状態のニンジャスレイヤーにグロウコブラの大砲めいたタックルが炸裂した!
「グワーッ!」ニンジャスレイヤーは吹き飛ばされながら己の敗北を悟った。これだけのダメージを受けた上に、今もなお体内を蝕み続けている猛毒。仮にグロウコブラを殺すことが出来たとしても、毒によってニンジャスレイヤーは死ぬだろう。すなわち、もはやこれ以上のイクサは不可能だ。
(バカな!バカなバカなバカな!こんなサンシタ相手に遅れを取るなど!あってはならない!)ニンジャスレイヤーは認めがたい現実を前に理性を失いそうになるが、すんでのところで踏みとどまった。(判断……状況判断せよ!この場は退く!本物も……先代もこのニンジャは一度取り逃がしている!ならば俺がそうしてはならないという理由は無い!)
「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは残った力を振り絞り、部屋の外に向かって駆ける!「次に会ったら殺す!絶対に殺す!必ず殺す!イヤーッ!」「グワーッ!?」ニンジャスレイヤーは炎の壁を作ってグロウコブラの追跡を妨害し、そのまま姿を消した。
◇3ターン目
グロウコブラ『★◉毒手』使用
グロウコブラ精神力5即応ダイス2
グロウコブラ集中カラテ:
3d6>=3 = (2,5,5 :成功数:2)+3d6>=3 = (5,1,6 :成功数:2)痛打!
二ンジャスレイヤー回避:
2d6>=4 = (1,6 :成功数:1)+2d6>=4 = (2,1 :成功数:0)
ニンジャスレイヤー体力1
ニンジャスレイヤーは撤退を選択
グロウコブラは追わない
戦闘終了
ニンジャスレイヤーが去ってしばらくすると部屋中に満ちていた炎も徐々にその勢いを弱めていった。グロウコブラは荒い呼吸を整え、懐から取り出したメディキットで応急処置を行う。「ゼー、ゼー、ゼー……クッフハハハ!ヤッタ!スゴイヤッター!流石は私!ゲッホゲッホ!」
TLLLL。TLLLL。TLLLL。グロウコブラが己の勝利を自画自賛していたその時、彼のハンドベルトUNIXに通知が届いた。表示された相手の名前はソニックブーム。「やれやれ、グッドタイミングと言うべきか。それともあえて厳しく仕事が遅いと言うべきか。まあソニックブーム=サンも多忙なのであろうな」グロウコブラはこれ見よがしに肩を竦めて首を振った後、ノーティスを受ける。「モシモシ、ソウカイヤの極めて優秀なニンジャ、グロウコブラです」
『ドーモ、ソニックブームです。グロウコブラ=サン、テメエ今何処で何してやがる。デスクランチ=サンから聞いたぞ。まんまと騙されやがって。誰の仕業だ』通話口から聞こえてくるソニックブームの声には苛立ちが混じる。グロウコブラはわざとらしい咳払いをひとつ、説明を始めた。「クッフハハハ。(長話)ということで敵はニンジャスレイヤー=サンです」
『確かか……?奴はリー先生のラボに取っ捕まってる筈だが……テメエの見間違いじゃねえだろうな』「このグロウコブラ、生まれてこの方ミスも間違いもしたことがありませぬ!それよりも奴は今、我がカラテによって満身創痍!ただちに追撃を!」グロウコブラは鼻息荒く捲し立てる。
『……とにかく今、そっちに増援を送ってる。テメエは一度戻って詳細を報告しろ。アタラシイ社がグルかどうかも調査しないといけねえからな』「承知致しました。ただちに帰還します」グロウコブラは通話を終了し、荒れ果てたホールを後にした。
◆◆◆
「ニンジャスレイヤーの野郎がまた現れた……クソ、面倒なことになりやがった」グロウコブラとの連絡を終えたソニックブームは頭をがしがしと掻き、舌打ちを零した。INWからはニンジャスレイヤーについての情報など何入っていない。はたしてラオモトはこのことを知っているのだろうか?
もしもリー先生がこのことを意図的に隠しているならば、それはソウカイヤにとって重大な裏切りだ。しかし、あのリー・アラキがこちらの詰問に対して何の対策も練っていないなど、そんなことがあり得るであろうか?「……面倒なことになりやがった」ソニックブームは繰り返した。
そして、ソニックブームにはもう一つ気がかりな点があった。「グロウコブラ=サンの話を信じるなら、奴は単独でニンジャスレイヤー=サンを退けたことになるが……本当か?」
ソニックブームの想定するグロウコブラとニンジャスレイヤーのカラテ力量差はハッキリ言ってニンジャスレイヤーの方が遥かに上だ。しかしグロウコブラは間違いなく一人でニンジャスレイヤーと渡り合い、これを撃退してみせたという。「死神野郎も本調子じゃねえってことか……?それとも……」
ソニックブームは腑に落ちないものを感じつつも、思考の沼に足を取られることなく迅速に行動を開始する。彼はデスクに置かれた通話機を手に取り、何処かに連絡を取り始めた。「ドーモ、ダイダロス=サン。少し調べてもらいてえことがあるんだが……なに?」ソニックブームの眉が吊り上がる。
「ダークニンジャ=サンがやられて意識不明の重体……?そしてニンジャスレイヤーは……別のソウカイニンジャと交戦中だと……!?」
◆◆◆
「ハイクを詠め、フェスティナレンテ=サン!イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」「グワーッ!グワーッ!アバーッ!サヨナラ!」フェスティナレンテは爆発四散した。ニンジャスレイヤーはザンシンし、己の負傷を確かめる。フェスティナレンテ、恐るべき古代ローマカラテの使い手であった。だが殺した。
『終わったようね、ニンジャスレイヤー=サン。……ごめんなさい、今度こそユカノ=サンの情報が手に入ると思ったのだけど』「問題無い。次のソウカイニンジャの居場所を教えてくれ」ニンジャスレイヤーはナンシーからもたらされる情報を元に、次のポイントへ行動を開始する。
ソウカイヤに連れ去られたドラゴン・ユカノを捜索するため、ニンジャスレイヤーはすでに複数人のソウカイニンジャをインタビューして殺害している。このことはすぐにソウカイヤに知れ渡ることとなるであろう。そうなったらユカノの身に何が起こるか分からない。故に、敵が本腰を入れて動き出す前にユカノを見つけ出さなければならない。
『次のニンジャはそこから4ブロック先のストリートに……ちょっと待って』「どうした、ナンシー=サン」ニンジャスレイヤーはビルの壁面に張り付き、ナンシーの言葉を待つ。『今、ソウカイネットに侵入して奴らのやり取りを見ているのだけれど……連中があなたを探しているみたいなの』
「構わぬ。むしろ好都合だ。迎え撃って一人ずつインタビューする」ニンジャスレイヤーはそう言うと両足に力を籠め、ビル壁から飛び立とうとした。『それが……少し妙なの』「妙とは?」『ソウカイヤのニンジャたちが探しているのはニンジャスレイヤー=サン。つまりあなたの筈。なのだけど……』
ナンシーは僅かな時間言い淀み、言葉を続けた。『ニンジャスレイヤー=サンはアタラシイ・エレクトロニクス社でソウカイヤのグロウコブラ=サンと交戦、そして撃退されて、現在逃亡中ということになっているのよ』「なんだと……?」ニンジャスレイヤーは耳を疑った。
彼のはるか頭上、空を泳ぐマグロツェッペリンのモニターに、アタラシイ・エレクトロニクス社で発生した火災事故により、複数の社員たちが犠牲になったというニュースのテロップが流れた。
終
◆報酬
評価Bとして扱う。
【万札:10】【余暇:4日】GET
◆後書き
チドク・ジツが無効化される相性の悪い相手でしたが『●気力体力の充実』のおかげで有利に戦闘を進めることができました。
余暇を終えてステータスはこう!
◆グロウコブラ(種別:ニンジャ) DKK:0 名声(ソウカイヤ):10
カラテ 6 体力 9(12)
ニューロン 6 精神力 6(9)
ワザマエ 9 脚力 5/N
ジツ 5 万札 56
攻撃/射撃/機先/電脳 6/9/7/8
回避/精密/側転/発動 9/9/9/11
即応/緊急 5/0
◇装備や特記事項
所持品 :『オーガニック・トロスシ』『オーガニック・スシ』『トロ粉末』『ZBRアドレナリン注射器』
スキル :『●連射2』
『◉◉コブラカラテ(ボックスカラテ読み替え)』
『◉頑強なる肉体』『◉特殊近接ステップ』
『★◉毒属性ダメージ軽減1』『★◉毒手』
『◉知識:犯罪』
『○錠前破り』
ジツ :『☆カナシバリ・ジツLv1-Lv3』『★レッサー・イビルアイ』『★チドク・ジツ』
装備 :『タクティカルスーツ』
サイバネ:『▶︎生体LAN端子LV1』
『●気力体力の充実(体力+3、精神力+3)』
組織内での立ち位置や性格:『全能感や野望』
◆忍◆ニンジャ名鑑#---
ソウカイヤの油断ならぬニンジャ。ヘビ・ニンジャクランのソウル憑依者。自分の有能さ、優秀さを信じて疑わない。本当に疑わない。
◆殺◆
オンセン行ってモータルハントしただけですね。万札の額くらいしか変わっていません。次回はチームでニンジャスレイヤー?戦でしょうか。
それではここまで読んで下さってありがとうございました!