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忍殺TRPG小説風リプレイ【メガ・エボリューション(その2)】

◆アイサツ

 ドーモ、海中劣と申します。こちらの記事はニンジャスレイヤーTRPGの小説風リプレイとなっております。ニンジャスレイヤーTRPGについては下記の記事をご覧ください。

 本記事はニンジャスレイヤーの二次創作小説でありニンジャスレイヤー本編及び実在の人物・団体とは関係ございません。

 こちらの記事は前回の続きとなっております。よろしければそちらから見てやってください。

 それではやっていきたいと思います!

◆本編

「それで、どうやって上階へ向かうのかね?一度社内に入ってしまえば警備はそこまで厳しくなかろうが、監視カメラやオフィストラップの類があるだろう」アンモナイトとサルーテは通路の角から僅かに顔を出し、突き当りにあるエレベーターホールを見る。スーツや白衣に身を包んだヨロシマンたちがエレベーターを乗り降りし、ちょうど無人となったところであった。

「エレベーターに乗れれば話は早いが、当然監視カメラが設置されている。姿を見られてエレベーターを止められればネズミ袋の状態でヨロシガスの餌食だ。しばらくは階段を進んでいくしかない」「ヨロシガス?」「ヨロシサンが特許を取得しているガスのことだ」「権利関係の話でなく……いや、やはり聞くまい。どうせ禄でもないものだろう」

 サルーテはサイバネアイで周囲に人がいないことを確認し、2本の指でゴーサインを出す。イセを担いだアンモナイトは頷きを返す。サルーテは斥候と前衛、アンモナイトはイセの運搬・護衛役と後衛を担う。2人は色付きの風となり、階段目掛けて駆け出した!ワーオーワーオー!その瞬間鳴り響く警報音!回転する非常ボンボリ!『侵入者発見!侵入者発見!』マイコ音声!

 サルーテたちは慌ててトイレの中に戻る!「バカな!もう見つかっただと!?どういうことだイセ=サン!まさか裏切ったのか!」「そ、そんな!何かの間違いだ!そんなはずは……!」言い争う2人をよそにエレベーターホールにある扉がすべて開き、中から大量の警備員が姿を現す!「「「ザッケンナコラー侵入者!」」」Y-14型クローンヤクザ!

「こうなったらやむを得ん!サルーテ=サン!この女を始末してすぐに脱出するぞ!」「アイエエエ!?ま、マッタ!マッタ!話を聞け!」アンモナイトはイセを放り投げ、右の手の平を向ける!危険な溶解泡を放出してイセを液状に溶かし、トイレの排水溝から流してしまおうというのだ!数秒後に実現するその恐ろしい未来を優れた頭脳で悟ったイセは尻餅を突いた姿勢のまま後ずさる!

 ……だが!サルーテは動かない!トイレの外の様子を慎重に窺いながらも何もしようとしない!「おいサルーテ=サン!聞いているのか!それともその沈黙は了承の意を示しているのか!?だったら……」「ま……待て!」何かに気付いたイセは2本の足で立ち上がり、外の騒ぎに耳をそばだてる!

「「「ザッケンナコラー侵入者!」」」「「スッゾコラー侵入者!」」「ドコイッタンデスカ侵入者!……」クローンヤクザたちの喧騒がサルーテたちのいるトイレの前を通り過ぎていき、やがてシンと静まり返った。「ど、どうなったのだ?」アンモナイトは恐る恐るトイレの外を覗くが、やはり誰の姿も無い。

「やはりそうか!発見されたのは我々ではない!おそらくだが、別の侵入者が同じタイミングでここに侵入していて、たった今発見されたんだ!QED!」「なんと!そのような偶然が……!?」

 そう、イセの考察は正しい。サルーテたちにとっても、その別の侵入者にとっても予期せぬ事態ではあったが、ヨロシ・バイオサイバネティカ社にハック&スラッシュを仕掛けようという命知らずが少なくとも更に1人、まったく同じ日、まったく同じタイミングでアタックを仕掛けていたのである!

「ウーム、はたしてこれは幸か不幸か!しかしそうとなればここは巧遅より拙速が優る!」アンモナイトは再びイセを担ぎ上げ、サルーテを促す!傭兵は短い敬礼を返し、トイレから飛び出した!

『緊急事態につき社の出入り口を緊急封鎖ドスエ。従業員の皆様は通常通りの勤務をお願いするドスエ』「アバーッ!?退社拒否アバーッ!」残業10時間の勤労後に退社を禁止されカロウシするサラリマンの断末魔を背に、サルーテたちは上階への階段を駆け上る!

◇◇◇

「まず最初に目指すのはUNIXルームだ!そこでトガリのIDカードを利用して奴の研究データを盗み取る!」イセの案内を受けながらサルーテとアンモナイトは稲妻めいて階段を上がっていく。3人は研究員やクローンヤクザに会うこともなく無事に目的の階層へ到達する。しかし。

「……場所が場所だけに、警備の一人や二人、いるものと覚悟していたが」アンモナイトはUNIXルーム前に陣取る警備員の人数を数え、フルメンポの下で眉根を寄せた。「まさかこれほどの集団でUNIXルームを守っているとは、厄介なことだ」

 然り、集団である。武装した最新型のクローンヤクザY-14型、それが9体!前衛ヤクザはドスダガーと防弾シールドを、後衛ヤクザは大型のショットガンを構えている!

◆クローンヤクザY-14型×3 (種別:モータル/バイオ生物/クローンヤクザ)	
カラテ    3  体力   2
ニューロン  1  精神力  1
ワザマエ   4  脚力   2
ジツ     –  万札   1

攻撃/射撃/機先/電脳  3/4/1/1


◇装備や特記事項
 ・ショットガン:銃器、連射1、ダメージ2
◆アサルトヤクザ×6 (種別:モータル/バイオ生物/クローンヤクザ)	
カラテ    3  体力   2
ニューロン  2  精神力  1
ワザマエ   3  脚力   2
ジツ     –  万札   1

攻撃/射撃/機先/電脳  3/3/2/1

◇装備や特記事項
 ドスダガー: 近接武器、ダメージ1

『◉防弾ファランクス』:
 アサルトヤクザは機動隊仕様の防弾シールドなどを構えながら前進してくる。
 このため、アサルトヤクザに対するあらゆる『射撃判定』は難易度が+1される。

「とはいえ、ホールで使ったような手段を用いてもあれだけの人数をおびき寄せることは不可能だ。時間も惜しい。お前たちニンジャの原始的暴力が役に立つ時が来たということだ。QED」「少々癪に障る物言いだがそれが事実である以上徒に否定することは非生産的であると結論される。すなわちサルーテ=サン、君の出番だ」

 サルーテはアンモナイトの言葉に応えるようにLAN直結銃を両手に構え、UNIXルーム前の通路へ躍り出る。アンモナイトはイセを背中に庇うように後退する。サルーテは徐々に進む速度を上げ、やがて走り出す。「「「アッコラー侵入者!」」」Y-14型たちがサルーテに気付き、菱形の陣形を素早く組んでそれぞれの武器を構えた!

◇戦闘開始

イニシアチブ
サルーテ→アサルトヤクザ→クローンヤクザY-14型

 BLAMBLAM!先手を取ったのはやはりニンジャであるサルーテ!重金属の弾丸が螺旋状の軌跡を宙に残してヤクザ陣形に飛来!「「「ザッケンナコラー!」」」しかし防弾シールドを構えた前衛ヤクザの防御は崩れない!「「「スッゾコラー!」」」BLAMBLAMBLAM!後衛ヤクザの反撃!クローンならではの見事な連携!

 サルーテは弾幕の僅かな隙間を見切ってブリッジ回避!股の間を、脇の下を、眼前を、弾丸が掠める!BLAM!「「グワーッ!?」」ブリッジ姿勢から起き上がった勢いを乗せた弾丸が前衛ヤクザの額を貫く!死亡!ニンジャ力学的エネルギー保存の法則だ!

 サルーテがサイバネ製の両腕を振るうと電流を纏うパルスダガーが飛び出す!サルーテは陣形の崩れた前衛に突撃をかける!「アッコラー!?」「ナンオラー!」BZZZZZ!「「グワーッ!」」左右からドスダガーで斬りかかるY-14型をサルーテは逆に斬り伏せる!前衛ヤクザたちは全身を痙攣させ死亡!

「「「チェラッコラー!」」」後衛ヤクザたちはサルーテを取り囲み、ショットガンを構える!BLAMBLAMBLAM!そして同士討ちも厭わぬ一斉射撃!なんたるクローン特有の己の命を省みぬ捨て身の攻撃か!

「「「グワーッ!?」」」だがしかし、弾丸がサルーテの鋼鉄の肉体に傷を残すことは無かった!どこからともなく吹いた侘しい風がサルーテの存在を一瞬希薄にし、弾丸をすり抜けさせたためである!クローンヤクザフレンドリファイア死!全滅!

◇1ターン目
サルーテ集中射撃→アサルトヤクザABC:
8d6>=4 = (4,2,3,3,1,6,4,2 :成功数:3)
+8d6>=4 = (4,1,3,4,1,5,2,5 :成功数:4)
+7d6>=4 = (3,2,1,3,3,5,5 :成功数:2
アサルトヤクザABC体力1

クローンヤクザショットガン:
4d6>=4 = (1,5,1,4 :成功数:2)
+4d6>=4 = (3,6,5,5 :成功数:3)
+4d6>=4 = (1,6,1,4 :成功数:2)
サルーテ回避:
9d6>=4 = (3,4,3,4,2,6,2,5,2 :成功数:4)

アサルトヤクザA近接攻撃:
3d6>=4 = (5,2,5 :成功数:2)
サルーテ回避:
5d6>=4 = (6,3,4,5,6 :成功数:4)カウンター!
アサルトヤクザA死亡!

◇2ターン目
サルーテ集中射撃→アサルトヤクザBCD:
5d6>=4 = (6,2,5,6,4 :成功数:4)痛打!
+5d6>=4 = (1,5,3,5,5 :成功数:3)
+13d6>=4 = (2,5,2,2,3,1,4,6,6,5,1,2,6 :成功数:6)痛打!
アサルトヤクザBCD死亡!

クローンヤクザABCショットガン:
4d6>=4 = (6,2,6,3 :成功数:2)
+4d6>=4 = (5,1,4,5 :成功数:3)
+4d6>=4 = (6,2,5,1 :成功数:2)
サルーテ回避:
9d6>=4 = (4,3,2,5,5,4,3,5,6 :成功数:6)

アサルトヤクザDE近接攻撃:
3d6>=4 = (5,4,3 :成功数:2)
+3d6>=4 = (5,5,3 :成功数:2)
サルーテ回避:
5d6>=4 = (1,5,6,5,1 :成功数:3)カウンター!
アサルトヤクザD体力1

◇3ターン目
サルーテ集中射撃→アサルトヤクザDEクローンヤクザA:
5d6>=4 = (2,6,6,2,6 :成功数:3)痛打!
+9d6>=4 = (5,5,4,4,6,6,4,1,3 :成功数:7)痛打!
+9d6>=4 = (5,3,3,2,1,3,6,3,3 :成功数:2)
アサルトヤクザDクローンヤクザA死亡!
アサルトヤクザE体力1

クローンヤクザCショットガン:
4d6>=4 = (4,5,4,3 :成功数:3)
サルーテ回避:
7d6>=4 = (4,4,4,5,3,1,4 :成功数:5)

アサルトヤクザE近接攻撃:
3d6>=4 = (5,3,5 :成功数:2)
サルーテ回避:
7d6>=4 = (6,6,3,3,6,4,2 :成功数:4)カウンター!
アサルトヤクザE死亡!

◇4ターン目
サルーテ集中射撃→クローンヤクザC:
8d6>=4 = (6,5,1,1,6,1,3,3 :成功数:3)痛打!
+8d6>=4 = (3,4,4,4,5,6,3,5 :成功数:6)
+7d6>=4 = (6,2,2,1,1,1,2 :成功数:1)
クローンヤクザC死亡!

戦闘終了
【万札:9】GET

 ザンシンを終えたサルーテは銃を構え、BLAM!近場にいたY-14型の心臓に向けて射撃した。BLAMBLAM!念のため頭部に更に2発撃つ。サルーテは他の死体にも同様のプロセスを行っていく。

「おい、何を悠長なことをしているのだサルーテ=サン。どう見てもそのヤクザたちは死んでいるだろう?弾丸と時間の浪費としか思えん、無益だ」「フン、狂人には付き合いきれん。サルーテ=サン!お前はこのまま人か来ないよう見張っていろ!私とアンモナイト=サンで仕事を済ませておく!その間誰も近付けさせるなよ!」

 アンモナイトとイセはルーチン作業を行うサルーテをその場に残し、UNIXルームへさっさと入っていく。床に転がるY-14型から流れ出る緑色の血が急速に酸化し、白い床を赤黒く汚していく。すべての死体に弾丸を撃ち終えたサルーテはUNIXルームの扉の前に石像めいて仁王立ちする。ヘルメット、分厚いゴーグル、マスクに覆われたその表情を窺い知ることは出来なかった。

メガ・エボリューション(その3)へ続く