総合商社を目指すあなたに!商社ビジネスの実態
あなたは総合商社で働いてみたいと思いますか?
商社とはどのような会社か、外からでは中々理解できません。そこで、今回は私の経験を基に商社ビジネスの中身を解説していきます。
このブログを参考に、あなたが商社で働くイメージをクリアなものにしてください。
商社とは「鵺(ぬえ)」のような存在
これはある先輩社員から言われた言葉です。あなたは鵺という妖怪を知っていますか?
鵺は猿の顔、狸の胴体、虎の四肢、蛇の尾を持つ妖怪です。つまり、全く関係なさそうなものが色々組み合わさった存在です。
それになぞらえて、商社は鵺のような存在と言われます。それは、商社がいくつもの異なる事業活動を行っている企業だからです。
天然ガスなどの資源ビジネスから、コンビニなどの小売事業まで幅広く手掛けています。つまり、複合企業、コングロマリットなのです。
従って、事業内容によって商社を定義することはできません。ただ、言えるとすればあらゆる事業機会に投資収益を生む企業ということです。
トレーディングから投資会社へ
昔は商社とは名前の通り、商流を仲介するトレーディングが主業でした。しかし、今ではトレーディングが収益に占める割合は非常に低いです。
なぜでしょうか?
それは、グローバル化に伴ってトレーディング機能の価値が殆どなくなったからです。
それまでは、海外と国内の情報の非対称性がありました。商社はその非対称性を利用してトレーディングで稼ぐことができました。
しかし、今ではあらゆる日本企業が海外に進出しています。
高度にグローバル化が進んだ結果、従来のトレーディングがオワコン化したのです。
それを機に、商社は新しい収益機会を探し始めます。その結果たどり着いたのが事業投資という考え方です。
現代の商社は投資会社
事業投資とは、商社が投資に舵を切った際に生まれた言葉です。短期的な売買目的ではなく、長期保有する前提で投資を行います。
そして、投資先の経営に積極的に関与していきます。その際に、本体から社員を出向という形で派遣します。
派遣された本体社員は投資先の事業運営を投資先従業員と共に推進します。また、出資比率によっては本体社員が社長・役員に就任することがあります。出資比率が過半以上の先ではそのような要職を出向社員で押さえるのが基本です。
従って、現代の商社は投資会社と考えてください。長期に投資先を保有し、そこから収益を得るモデルです。
私は商社とは日本製の投資ファンドと考えています。欧米ではプライベートエクイティファンドがその役割を担っています。
しかし、大きな違いは社員のインセンティブ設計と運用方針です。商社の場合、社員の雇用形態は日本企業一般的なものです。定年、退職金制度などが用意されています。
一方、プライベートエクイティのような投資ファンドはプロの世界です。パフォーマンス次第ですぐにクビになります。しかし、その分成功した時に得られる報酬は莫大です。
私は商社出身ですが、投資運用の世界でプロとして生きていく選択をしました。その立場からすると、日本の商社はまだまだ力を発揮しきれていないと考えています。
それについては、今後のブログを通じて私の考えを解説していきたいと思います。
結論
商社は鵺のような存在です。あらゆる事業を行う複合企業体です。従って、各事業の内容によって商社という存在を定義することはできません。
そして、昔はトレーディングを主としていましたが、今は投資会社です。主な収益は投資先からもたらされる構図となっています。
今後も日本特有の総合商社についてその実態を解説していきます。楽しみにしていてください!