一級建築士製図試験テーマ「大学」をまだ誰も知らない・・・
身近で遠い大学
一級建築士製図試験の初受験生向けに、製図試験課題である「大学」のポイントをお伝えします。
初めての製図試験で、こんな不安を抱えていませんか?
・大学の設計って、どう考えればいいのだろう?
・要求室の配置や動線計画が分からない...
・構造計画や設備計画は何を考えればいいんだろう?
これらの不安を放置すると、何が起こると思いますか?
・試験当日、頭が真っ白になって時間切れで終わったり、
・要求事項を満たせず、大幅な減点を受けたり、
・最悪の場合、不合格になってしまうかもしれません。
でも、大丈夫です!
今日の動画を見ることで、「大学」の概要を理解できて、課題に自信を持って臨めるようになります。
この動画では、初受験生でも理解できる基本的な5つのポイントを紹介します。
さらに、試験情報や過去の出題例も交えて解説するので、必ず最後までご覧ください。
それでは、製図試験課題「大学」のポイント5つを見ていきましょう。
ポイント1 大学の目的
大学とは何でしょうか?
学校教育法第83条によると、
と定められています。
つまり、大学とは、様々な分野の教育だけなく、研究も行い、その成果をもって社会への貢献を目的とする場所なんです。
例えば、医学部では病気を治す方法を学んだり、新しい治療法を研究したり、工学部では革新的な技術を開発したりしますよね。
高等学校や専門学校に比べて、研究活動にも重きが置かれていることが特徴です。
ポイント2 空間要素
大学には、どんな場所が必要でしょうか?
主な構成要素を見ていきましょう。
まずゾーニングですが、簡単におおまかに説明すると、教育、研究、共用、管理に分けることができます。
ゾーニング
教育ゾーンには、大学の教授が行う授業を学生が受講する講義室や、演習室などが含まれます。
研究ゾーンには、教授ごとの研究室や専門の実験室、会議室などが含まれます。
共用ゾーンには、食堂や図書館、体育館などが含まれ、教授や学生だけでなく、一般の方の利用を想定する場合もあります。
最後の管理ゾーンには、大学の運営を司る事務室や設備室、倉庫などが含まれます。
建物を理解するためには、どのような性格のゾーンから構成されるかを知ることが大切です。
個別の室については、ゾーンごとの関係を理解した後で問題ありません。
製図試験では、課題文の条件を満たせば合格できます。
課題文に条件がない部分は、ごくごく一般的な大学の計画に照らし合わせて判断できるになりましょう。
ポイント3 利用者と物の動線
ご存知のように、大学には様々な人が訪れ、物が行き交います。
それぞれがスムーズに行動できるように計画することが重要です。
人の動線
例えば、主な利用者には
大学で勉学やサークル活動に取り組む学生
学生を指導する教授などの講師陣
大学を運営する職員
共同研究や会議で大学を訪問する他の機関の研究者
受験生や保護者、地域住民など一般の来訪者
が挙げられます。
これらの利用者の動線計画では、
学生であれば、教室、図書館、学生ホールなどへの行きやすさ
教授や職員であれば、研究室、講義室、事務室などへの行きやすさ
来訪者であれば、入口から目的の場所までの分かりやすさ
などがポイントになります。
物の動線
次に大学における物の動線です。
大学では、学部や年間行事にもよりますが、
実験室への実験装置や実験道具の搬入動線
食堂への材料の搬入動線
図書館への本や資料の搬入動線
その他、ゴミの搬出動線
などが考えられます。
動線の処理については、必ず課題文の条件に従いましょう。
ポイント4 過去の大学に関連する出題
過去には、「大学のセミナーハウス」という課題が平成25年度に出題されました。
ただし、大学そのものではなく、あくまでも大学の関連施設でした。
要求室が、セミナールーム、宿泊室、浴室、食堂、事務室等だったため、今回の製図試験課題「大学」とは必ずしも類似性が高くないことに注意してください。
では、類似の過去問がないなら、過去問を見ることは無駄かというと、そんなことはありません。
なぜなら、製図の本試験課題は、過去の出題内容の一部が組み合わされて作られることがあるからです。
例えば、変形した敷地や、セキュリティの考え方など、課題試験課題に限定されない仕掛けが今年の製図試験で取り入れられる可能性もあります。
それらへの対処方法を理解しておくことで、製図試験本番の対応力が圧倒的に高くなります。
必ず過去問には目を通しておいて下さい。
過去の製図試験課題だけでも知っておくと断然有利です。
ポイント5 試験元の発表内容
このような発表がありました。
要求図書
例年と同様の内容になっています。
1階平面図・配置図・各階の平面図・断面図を縮尺200分の1で描く必要があります。
各階平面図については、試験当日の課題文の中で指定がありますので、従って下さい。
面積表
何を面積に参入するのかしないのかは、課題文に指示があるので、勝手な思い込みではなく試験当日に確認しましょう。
計画の要点等
計画する上で配慮した点などを問われます。
試験当日にゼロから考えるのではなく、文型を頭に入れておいて、必要な情報を組み合わせるだけで、回答できる準備をしておくと合格に近づきます。
建築物の計画に当たっての留意事項
まず1つめ
「敷地の周辺環境に配慮して計画する。」
課題文によって、敷地週への条件が異なります。
配慮にはさまざま方法がありますので、何をどのように配慮したのか説明できるように計画してください。
2つめ
「バリアフリー、省エネルギー、二酸化炭素排出量削減、セキュリティ等に配慮して計画する。」
周辺環境と同様に、それぞれに対して、どんな配慮をしたのか説明できることを念頭に計画しましょう。
逆にいうと、配慮したことを説明できないのであれば、課題文の条件を満たせていない可能性もあります。
また、配慮したことを説明できないのであれば、計画の要点等で回答できないこともあるので、どうせ毎年書いてある内容だろうと甘く見ずに準備を進めてください。
3つめ
「各要求室を適切にゾーニングし、明快な動線計画とする」
何をゾーニングするかは課題文にもよるのですが、大学として機能し、利用者にとってわかりやすい建物を計画することが大切です。
4つめ
「建築物全体が、構造耐力上、安全であるとともに、経済性に配慮して計画する。」
当然といえば、当然の内容です。
利用者が安全安心に利用できてかつ、経済合理性のある建物を目指しましょう。
5つめ
「構造種別に応じて架構形式及びスパン割りを適切に計画するとともに、適切な断面寸法の部材を計画する。」
これは、構造に関する知識を身につけてきて下さい、という意味です。
学科試験に合格していれば、問題ありません。
6つめ
「空気調和設備、給排水衛生設備、電気設備、昇降機設備等を適切に計画する。」
これも、設備に関する知識をもってきて下さい、という意味です。
同様に、学科試験に突破した受験生であれば、心配することはありません。
最後、
「大地震等の自然災害が発生した際に、建築物の機能が維持できる構造計画とする。」
この文章だけ、昨年と異なります。
どんな自然災害を想定するかにもよりますが、本試験までの課題演習でたくさんのパターンから学習できるので、心配しないでください。
自然災害と構造計画の関係は、すべての受験生が学ぶためここではほとんど差がつきません。
むしろ、製図試験で求められる根本的な能力で合否が決まるので、ここだけにこだわらず、視野を広くもって学習することを心がけてください。
製図試験課題である「大学」について、理解が進んだでしょうか?
製図試験は確かに難しいですが、乗り越えられない壁ではありません。
今日のポイントを覚えて、毎日コツコツ勉強していけば、上手く解けるようになります。
自信を持って試験に挑戦してください。