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ハルブル登場を諦められない

 ハルブルとは、知ってる人はよくご存じの、ポケノベのキャラクターであるハル(マネネ)とブルカニロ(フワンテ)のことで、きれいな名前だなあと今なお思い続けています。
 この話何度かどこかでしてるんですけど、ずうっと前、ポケノベ住民の方々の間で一時期ハルブルを小説の中に登場させて彼等が小説を旅する、といったような企画が一瞬持ち上がって、どういった経緯があったんかわからないですけれど、間もなくお蔵というか、話題に出なくなりました。
 でも、私この企画めっちゃいいな!?と思っていて、やりたいとずっと思っていたんですね。可能ならば連載小説でやりたかったんです。あれから年月が経ち、この企画もそもそもこういうものだったのか記憶というあやふやなものでしかなくなってしまって(メモしたデータが消えた)、ここまで執着しているの今となっては私くらいな予感がしています。
「あっさすがに本編とのリンクは無理」と気付いて昇華したのが、魂と渾身の力をこめて血迷ったしろ闇学パロ編(漫画)で、これはそのうちnoteに転載したいなと思っています。
 しかしそれでもまだ登場を諦められず、フラネ~続キリの初期プロットではなんと、ハルとブルカニロという固有名詞は出てこないけどマネネとフワンテが思いっきり出てくる展開はありました。あったんです。正直プロットを見返して「あ、こんなんあったな……」という感じだったんですが。
 キリに行く前のことですね。
 フラネとキリの間にねじ込む話として、謎の洋館に雨宿りをしたラナたちが彼等と出逢うというはなし。この話のミソは、夜中、フワンテが巨大な吹き抜けとなった居間のような部屋にある長い螺旋階段にラナを誘い、それについていくラナが、途中で立ち止まり、「これ以上行ったら、きっと落ちるよね」と言うところで、あまりにぼろぼろの螺旋階段で、視界も不良、踏み抜いて、足場を崩し、落下する寸前で、ラナが見抜くというシーンがありました。ラナが「相手を疑う」という癖をつけはじめた象徴のシーンにしようとしてたこと、あとフラネ~続キリ初期のラナにまだ漂っている死の気配を感知したフワンテが彼女を誘った(「あのよへつれていこうとしてこどものてをひっぱろうとする」……)、というけっこうホラー要素の強い場面になる予定でした。
 しかしプロットを創った時点で続キリ終了までかーなーりー長くなることは目に見えていたし、ここまで象徴的にせずとも一番やりたい「相手を疑う」ラナの心情の変化は書けるなと思ったので、まるまるカットしました。実際、やったらやったで厚みが出たかもしれないけど、ベースがただマネネとフワンテを出したいという私の個人的な理由だったし、必要ではないと判断しました。
 しかし、諦められずに、フワンテだけ要素が出た部分があります。どこかわかりますか?

「昔は、湖に沈んだ町や大洪水に呑まれた魂を悼み、天空へ誘うポケモンを模していたと聞いている。」

 ここです!
 116話「空と底」のアシザワのシーン、秋季祭どころではなく戦いの果て底に沈んでいくアランとブラッキーに対し、そして秋季祭まっただなかで展開していく外側の世界の一員であるアシザワたちとその他大勢が遙か高い空に向けて風船を飛ばすという、対比的な展開があります。
 この風船を飛ばす行事、今は手紙をつけたり観光客にも人気だったり明るい雰囲気ですが、元々は上記の様相をしていました。アシザワ自身、そして多くの人々は昔の文化にとらわれずそれはむしろ時代錯誤で今にあったように変容していけばいいと考えています。それが忘れられていくと言う水神の言葉にも繋がり、クヴルール家が今のキリの民からしてみると浮いているのだという印象を抱かせます。外側の世界と、内側の世界の乖離は、アランとその他大勢であったり、クヴルールと一般市民であったり、クロ達元黒の団・黒の団とその他大勢であったり、貧困にあえぐ人々とその他大勢であったり、いろんな場面があげられます。大きな世界があって、そのうえにたくさんの世界が存在しますよね。それを意識したいなあというのは抱いています。文章上ではそこまで伝わらなくていいんです。
 話が逸れました。
 熱が籠もるとめっちゃ喋ってしまいます。
 とにもかくにも、キリの文化を描く場面で、その固有名詞、フワンテという名前すら出していないけど、これはハルブルの発想から生まれたものなんです。実はね!
「まよえるたましいのみちしるべとつたえるむかしばなしもある」に由来します。
 フワンテはいい題材ですよね……ゴーストポケモンは物語性があって小説と相性が良い。
 あれ、ハルは? って感じですが、マネネがもしそのうち出てきたら「ああ、まーた海は諦めきれなかったんだな」と拙い子供を温かく見守る目で微笑んでください。

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小萩うみ / 海
たいへん喜びます!本を読んで文にします。