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ゆったりゆっくり読む ー現在読んでいる作品
おはようございます、こんにちは、こんばんは。こちら、ネットの海を放浪し、毎週日曜日にどこかの岸辺に辿り着く架空電子書房、うみのふね。
現在、毎週お借りしたテーマに沿って本を紹介しています。出会えたこのご縁、ありがたや。
八月も終盤へ差し掛かってきましたね。まだまだ残暑が厳しい日々が続いていくことでしょうが、夏を越えたら、いわゆる読書の秋がやってきますね。年中読書は楽しいものですが、秋はなんというか、読書の秋だぞ~と張り切りたくなります。普段は読まないタイプの本をがっつり読みたくなったりします。いや、まだ気が早いですね。まだもう少し、クーラーだとか扇風機で涼んでごろごろしながらページをめくる読書を楽しんでいたい。
そういうわけで、今週のテーマは、「現在読んでいる作品」です。
ところで、皆さん積ん読はたまっていますか。私はたまっていますが、割と大したことないです。たぶん、10冊とかそのくらいです。数年クラスの本棚のお局本もあれば、ついこないだ買った若い本まで。世の中には何百冊と積ん読していて、積んでる本用の本棚を置いている人もいて、本屋みたいで感心しています。私は読んでいない本が溜まっているとそわそわしてしまうたちで、ある程度買った本を読み切ってからでないと「ようし本屋行って思いっきり読みたいもの漁るぞ」という気持ちになりきれません。なんか、買った本に申し訳なくて。読みたい、と思った瞬間の新鮮さのまま、読みたい。
仕事で疲れ切った日はほとんど読めなかったりもするけれど、大体毎日ページを捲っている、そんな日々の、今の読みかけはこちら。
尾崎翠で初めて読む作品です。一ヶ月くらい前に向田邦子のエッセイ集を読んで、その中でも出てきていたような覚えがあり気になっており、表紙がきれいであらすじが気になるものだったので購入。
一風変わったストーリーを、上品な言葉選びで進めていく。文章がきれいなんですね、もうなんといいましても。かたすぎない、昭和文学の美しさ。
今、まんなかあたりまで読み進めているのですが、主人公町子の髪を三五郎が切る場面がそれはもう好き。町子の泪、かなしみというか、淋しさというか、感じている恐ろしさというか、そういった感情が読んでいて突き抜けてくる。
「はなを啜るんじゃない」
三五郎はうつむきがちになってゆく私の上半身を幾度か矯めなおし、このとんでもない仕事に熱中している様子であった。私はつぶった眼から頥にかけて泪をながし、ずいぶん長い時間を、泪を拭くこともならなかった。
左の耳の側で鋏が最後の音を終ると同時に私はとび上り、丁度灯を消してあった三五郎の部屋ににげ込んだ。私の頸は急に寒く、私は全身素裸にされたのと違わない気もちで、こんな寒くなってしまった頸を、私は、暗い部屋のほかに置きどころもなかったのである。――私の頸を、寒い風邪がいくらでも吹き抜けた。(文庫版P47より)
ううん、好きですね。文学的な文章というか、純文学は、噛みしめるように文章を読みたくなる。蘚の恋愛を研究するという兄も、魅力的。物語自体はさほど長くはないので、もしかしたら今夜中には読んでしまうかもしれません。良い雰囲気で読み進めています。
もう一冊は、別記事でもちらりと話をした、読書の日記。
一年間分の日記が1100ページという圧巻の厚みになっております。他のエッセイでもそうなんですが、本を題材にした本を読むと、本を読みたくなります。一気に読み進める系のものでもないので、それこそだいたい毎晩、ちまちまと読んでいます。でもひとたびページを開くと、なんだか没頭してしまう。読んでいる本のこと、本を読めるカフェfuzkueに関すること、webデザインのこと、立ち寄った店のこと、お酒のこと、野球のこと、等々。口語的な文章というか、もちろん推敲はされてる文章なんだけれど脳から直打ちという雰囲気が顕われている気がして、頭の中をそのまま覗き込んでいるような、生活をそのまま感じているような、そういった文章。豊かな文章に触れてきたことが伝わってくるようで、読書が好き、というのがじかに伝わってきて、美しいものをストレートに美しいという日常を拾い集めている、良いなあ、と思いながらちまちま読んで、今だいたい300ページくらいです。10月から始まって、年を越したあたり。人の日記というのは、面白い。そして、本を読みたくなる。
番外編ですが、今更(?)漫画ハイキューにはまってしまい、この二日か三日くらいで一気に最新巻(44巻)まで読んでしまいました。アニメを第二クールまで見たところで私の知識は止まっていたんですが、読み始めたら止まらなくて。電子書籍、家で一気に読めてしまうので恐ろしい。うっかりびっくり大人買いをしてしまいましたが、まったく後悔してないくらい面白くて、最終巻が待ち遠しいです。最近こうやってがっつり漫画を読むことがほとんど無くて、中高生時代に比べると漫画体力の衰えを感じていたんですが、面白いものにぶつかると歯止めがかからなくなるのは変わっていませんでした。漫画表現が進むにつれてめちゃくちゃ上手くなってて本当に驚くし、すごい。アニメの頃からうっすら好きだったんですが、思いの外梟谷の赤葦に魅力を感じていて、なぜこんな惹かれるのか考えていて、うっかりすると二次創作したくなるくらい気になっています。
という感じのところです。今読んでいる本って、普段時折書くエッセイ記事でも触れているんですが、改まったように。ゆっくり読み進めたい気持ちと、読み終えて、他にも出てくる読みたい本を良いたい気持ちと、併せ持って、今夜もまたページを捲りましょうか。
来週のうみのふねは、「一度手放して買い戻した作品」です。ご縁があれば、また来週、お会いしましょう。
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