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よく笑ったあとの谷
たくさん笑うと、幸せな気分になる一方で、たくさん笑ったあと、沈むことがよくあります。
高く跳べば跳ぶほど着地の衝撃が大きいかのように、明るい感情を発散した後は反動でブルーになる、浮き沈みの激しさに翻弄される、あの現象。後悔、ともすこし違うのです。楽しかったことは確かだから。あまり楽しくない現実に戻ってきて、その温度差にうんざりするからかな、とも思っていたりしたときもあったんですが、そればかりでもない気がする。笑いにエネルギーを使い果たして単純にくたびれたのかもしれないし、お酒をよく呑んだ場合なんかだとアルコールによるものかもしれない。たぶん、なにか原因がひとつあるのではなく、複合的なものなんだろう。保っていたバランスが崩れてしまうのです。
沈んだ時の対処法は、紅茶だとか珈琲だとか好きな飲み物をのみながら、じっくりと時間を過ごすこと。
時間の過ごし方は、読書のときもあれば、文章を書くときもあるし、絵を描いたり、音楽を聴いたり、映画を観たり。頑張れそうなときは、日々生きていてたまっている家事や後回しにしていたタスクをこなすし、なにも出来そうにないときは、何もせずにただぼーっと座っていたりする。
急降下した自分が自然と浮上してくるのを、しんと待つ。
その間に、嫌なことを思い出したり、それこそ楽しかった中でも「やってしまった」と後悔した瞬間を思い返したりして、更に沈む時もあります。
でも、沈むこと自体は、悪いことじゃないと思います。ほんとうに鬱々としてつらいときは、前向きになろうとしてもなかなか難しいので、むしろとことん沈む方へ意識を向けたりもします。沈んだ先にしか見えないものがあるだろうから。沈めるだけ沈んだら、あとは浮上するだけだから。暗い考え方だけれど、気分の上下運動が激しい自分を扱ううちに、このやりかたがしっくりときています。
非日常的に浸ったあと日常に還るのには、少し時間を要する。焦らず、あまり他人の感情を目にしないようにして、きれいなものや好きなものに視線を向ける。それだけでも、やがて、波立ったものが静かになり、凪いだ心を浮上していく。
そうしてまた、たくさん笑いましょ。
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