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「余分」/ 創作物

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一次創作小説、詩、イラスト、写真、動画等々、形式にこだわらず創作するマガジン。
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#水彩

できるだけ人に優しくいよう

できるだけ人に優しくいよう

 と、思いながらやっていた去年なのだけれど、今年はその気持ちを失っている。優しくいたい、というのは、先輩からびしばし強い言葉で教育される日々も他部署の人から厳しい言葉を突き付けられるのも地味にしんどかったからである。

 その志が無いわけではないし、思い出したら意識するのだけれど。もともと言動が皮肉っぽくなりやすかったり、ふとしたときに強い言葉を使ってしまう。恐がりなのである。気にしいなのだけれど

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おちこむことがあっても

おちこむことがあっても

 おちこんでしかたのない日も、ある。

 明日もそうかもしれない。うまくいかなくて、足の裏に力を入れてこらえて、自分のわがままな甘さに嫌になってしまうこと。余裕がなくなってしまうこと。周りが見えなくなって、帰り道に反芻して、動けなくなること。なんだか、いっぱいいっぱいです、とお手上げ状態になって、なかなか何も手につかない。

 それでも、過去を変えられるわけではない。過ぎたことは、戻らない。明日が

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美しい空のこと

美しい空のこと



 これは昨日の話のことなのだけれど。

 体調がさほど良くなく自宅で療養気分を味わいながら、少し模様替えをしつつ、本を読んでいた。多少疲れた頃、まだ少し明るかったので、少しだけ外に出ることにした。コンビニで支払いをしなければならないのだった。今どき、契約更新のために口座自動引き落としもできず絶対外に出なければならないなんてなんなの、と思わずにはいられないのだが、仕方がない。未だにはんこが必要と

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住みよい秘密基地づくり

住みよい秘密基地づくり



 生活スペースを寝室とその他に分けているのだけれど、寝室の横に、居間のローテーブルを移動させた。

 前々から、ベッド横にサイドテーブルがほしかった。以前はそこにおりたたみ式の机を置いていて、ベッドを椅子代わりにして作業ができるようにしていたが、高さが絶妙に悪いこともありすぐに腰が痛くなった。

 休日はベランダでほとんど過ごすようになったのは、この折りたたみの机をベランダに移動させたゆえだ。

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ゲームを隣で一緒に遊ぶこと

ゲームを隣で一緒に遊ぶこと



 昔からひとり遊びが好きだった。ゲームもまた然り。

 でも、ゲームに関する実家での思い出は、たいてい隣に妹がいる。

 初めてプレイしたゲームは、ポケモン赤。幼稚園の頃のこと。ゲームボーイをぷちぷちと遊ぶ隣に、覗き込むように妹がいた。ゲームボーイは画面が暗いので、けっこう正面から見ないとよくわからなかったりする。だから、あまりに顔が近いと邪魔! と怒ることもあった。

 でも、64だったりス

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豪雨

豪雨



 各地で、川が氾濫したり土砂が崩れたり、たいへんなことになっている。

 災害大国のこの日本では、毎年、どこかの町が濁流に呑み込まれている気がしている。私の地元も、今報道でフォーカスされているほどのものではないにせよ、ちょっと強い雨が降ると簡単に増水して道路に溢れて、けっこう水害と隣り合わせなところがある。

 水は恵みだけれど、時に容赦がない。

 でも、先日、熊本の方で凄まじい豪雨が起こっ

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よく笑ったあとの谷

よく笑ったあとの谷



 たくさん笑うと、幸せな気分になる一方で、たくさん笑ったあと、沈むことがよくあります。

 高く跳べば跳ぶほど着地の衝撃が大きいかのように、明るい感情を発散した後は反動でブルーになる、浮き沈みの激しさに翻弄される、あの現象。後悔、ともすこし違うのです。楽しかったことは確かだから。あまり楽しくない現実に戻ってきて、その温度差にうんざりするからかな、とも思っていたりしたときもあったんですが、それば

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短冊のことば

短冊のことば



 職場に短冊のかけられた笹が飾られています。

 きっと、ここに限らずそうなのでしょうが、今年見かける短冊はコロナに関する願いごとが多い。

 早くしゅうそくしますように、と、こどもの字体。私がこどもだったとき、収束ということばが果たして思いついていたかな。

 完全な収束はまだまだ先で、終わることに希望を見出すばかりでなく、一緒に付き合っていく方法を、それぞれ模索している最中。

 コロナを

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冷たいだけで水がおいしく感じられる不思議

冷たいだけで水がおいしく感じられる不思議



水が好きです。

 積極的に飲み物をのむタイプの人間ではないんですが、暑くなってきたので冷たい水を欲するようになってきました。

 ぬるい水と冷たい水、氷を入れた水で、同じ水であっても、なんとなく氷を入れた水の方がおいしく感じられるのは、のどごしが爽やかだとか、味覚がすこし鈍るからだとか、思い当たる理由はあるのですが、結局水であることには変わらない。料理みたいに、冷めたらかたくなるわけでも、放

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雨と樹.

雨と樹.



 雨降る樹、というのを想像したり、樹木の写真を見たりしながら、新しい遊びを見つけたみたいに心が躍って筆を走らせていた一週間でした。

 青というのはいいもので、水彩独特の滲みもいいもので、はっきりとした境界線も、ふわりと浮かぶぼやけた広がりも、好きで、まだまだ自在にあやつるには至りませんが、このきれいで少しさびしげにどこかに広がっている世界の絵をもう少し描き重ねてみたいな、と思う金曜の夜でした

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