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小萩うみ / 海
2021年2月20日 21:18
鱗太郎が外出する際にいつも鞄代わりにバケツを使うのは、釣り好きだった父親の影響だ。 父親は釣りのために生きているような男で、日中はサラリーマンとしてスーツを暇ができればすぐに水辺へと向かった。大抵は少し歩けば辿り着く湖に足を向けるが、車を走らせて山奥の川で鮎釣りに勤しむこともあれば、船を借りて沖に出ることもある。しかし仕事として漁業を営んでいるわけではなく、あくまで趣味として楽しみ、喜びを覚え
2021年1月16日 19:41
あらすじ 2011年3月11日、春香は親友であるあーちゃんを喪った。以来強い喪失感を抱き続けたまま生きていたが、津波の夢を見た六年後のとある日、同棲している夏希に宮城に行きたいと話を持ちかけた。あーちゃんの故郷である女川へと向かう旅で、爪痕と復興を同時に見つめながら、春香はあーちゃんの生きていた断片を探すように海へと近づいていく。その先で、彼女が見つけるものとは。いつか声は波を渡る
あらすじ 河野の耳の裏に秘密がある。生まれつき、その暗がりにはエラがあった。幼少期の経験からその存在をひた隠すようになった河野は、しかし世界のどこかには同じエラを持つ人間がいると信じている。どこか息のしづらさを感じながら、密かに周囲の人間の耳の裏に視線をやるが、仲間を見つけることは叶わずにいた。そんな中、高校で同じクラスになった一青の耳の裏は、どうしても見ることができないでいた。 魚たち
2021年1月16日 19:40
あらすじ 毎年お盆におばあちゃんちを訪れるひなこは、お母さんにもお父さんにもおばあちゃんにも言っていない秘密の場所を訪れる。夏の陽光のもと、河川敷では、村に住む少年昴に会える。金星の大接近を待ちわびているひなこは、天体に詳しい昴に教えてもらいながら、星の世界に思いを馳せる。夏の大三角形、カシオペヤ座、北極星ポラリス、そして少年と同じ名を持つ冬の星、昴。星を巡る会話を重ねるごとに、ひなこは昴の
2020年11月30日 22:01
2020年7月27日 22:27
雲はゆたかに揺れる 光に揺らめく 絶えまなく あちらこちら ひそやかに虫は鳴いている 湿った空気に吸い込まれ どこか遠くへ 遠くへ 心をつれていく 夕陽は雲を照らし 空にゆれる筋をえがく 雲の向こうは青い夜がたたずんで あれは 夜の入り口 人工物のむこうがわ 決して届かないむこうがわ やわらかな淡さは ひとしく夏を照らす あがったばかりの雨の香りと 涼やかな風
2020年7月22日 21:13
2020年7月21日 23:06
2020年7月20日 18:41
2020年7月17日 23:25
と、思いながらやっていた去年なのだけれど、今年はその気持ちを失っている。優しくいたい、というのは、先輩からびしばし強い言葉で教育される日々も他部署の人から厳しい言葉を突き付けられるのも地味にしんどかったからである。 その志が無いわけではないし、思い出したら意識するのだけれど。もともと言動が皮肉っぽくなりやすかったり、ふとしたときに強い言葉を使ってしまう。恐がりなのである。気にしいなのだけれど
2020年7月16日 22:59
おちこんでしかたのない日も、ある。 明日もそうかもしれない。うまくいかなくて、足の裏に力を入れてこらえて、自分のわがままな甘さに嫌になってしまうこと。余裕がなくなってしまうこと。周りが見えなくなって、帰り道に反芻して、動けなくなること。なんだか、いっぱいいっぱいです、とお手上げ状態になって、なかなか何も手につかない。 それでも、過去を変えられるわけではない。過ぎたことは、戻らない。明日が
2020年7月15日 20:54
これは昨日の話のことなのだけれど。 体調がさほど良くなく自宅で療養気分を味わいながら、少し模様替えをしつつ、本を読んでいた。多少疲れた頃、まだ少し明るかったので、少しだけ外に出ることにした。コンビニで支払いをしなければならないのだった。今どき、契約更新のために口座自動引き落としもできず絶対外に出なければならないなんてなんなの、と思わずにはいられないのだが、仕方がない。未だにはんこが必要と
2020年7月14日 22:06
生活スペースを寝室とその他に分けているのだけれど、寝室の横に、居間のローテーブルを移動させた。 前々から、ベッド横にサイドテーブルがほしかった。以前はそこにおりたたみ式の机を置いていて、ベッドを椅子代わりにして作業ができるようにしていたが、高さが絶妙に悪いこともありすぐに腰が痛くなった。 休日はベランダでほとんど過ごすようになったのは、この折りたたみの机をベランダに移動させたゆえだ。
2020年7月13日 21:46
昔からひとり遊びが好きだった。ゲームもまた然り。 でも、ゲームに関する実家での思い出は、たいてい隣に妹がいる。 初めてプレイしたゲームは、ポケモン赤。幼稚園の頃のこと。ゲームボーイをぷちぷちと遊ぶ隣に、覗き込むように妹がいた。ゲームボーイは画面が暗いので、けっこう正面から見ないとよくわからなかったりする。だから、あまりに顔が近いと邪魔! と怒ることもあった。 でも、64だったりス