2018年夏

夏の入口
夕陽に染まる空
川の上を無数の小さな光が泳いでいく
眩しくて目を細めた

掌にすっぽりとおさまる温もりを感じながら
どこに向かうでもなく歩いた

小石を拾う小さくて何でもお見通しの背中に
頼もしさを感じた

飛行機が一機飛んで行った
あれに乗ってどこか遠くに行ってしまいたかった

途方に暮れるとはこういうことを言うのだなと
その状況からしては冷静に思ったものだった

***

自分に失望した
自分には愛も優しさも無く
見る目も聞く耳も無く
あるのは
驚くほどの無情の言葉と強い憎悪の念

少しはいい人間だと思っていたのが
たぶん間違ってた


親失格だとも責めていたし
過去を消し去りたいと何度も思った
後悔しかなかった
なんでこうなってしまったのだろう
そればかりだった

でも
子どもの前では笑うしかなかった

どうしたらいいのかわからなくて
何かに縋りたかったんだと思う
どうしようもなかったんだと思う

そんなときに
闇雲にピアノの鍵盤を叩いた
(今思えば、私の表現の仕方なんだけど、有り余る感情を外に出さないと保てなかった)


***

あの夏の記憶を
いつもは忘れているけれど
ふとしたときに呼び起こされると
まだ手を止めてしまう。

私はあのとき紡いだ曲をずっと聞けなかった。
曲を作ったことも録音したことも
その録音をどこに保存したかも憶えているのに
録音後、聞くことができなかった。

でもやっと
それを再生した。数日前に。

誰かに聞いてもらいたいなんて
あのときは微塵も思わなかった。

同じ曲をもう一度自分のピアノで弾いたら
今の音で塗り替えられたら
いいのかもしれない。
けれど敢えて、あの日の音をそのまま載せることにした。

間違えすぎて
本当に拙くって
何かの曲の一部を知らぬうちに拝借して奏でてるみたいで(実際そうだと思う)
迷い迷って
でも捕まっていたくて
ものすごくどうしようもない音だけれど。
完結させたいともいうのかな。

過去と向き合う時間を過ごすのは
本心を言うと怖くて
でも
客観的に見ればそんなのは大したことないはずで
ただ先が見えないから不安がっているだけにも思える。

重く考える癖があることも知ってるし
次の瞬間には笑ってたりするし
シーソーゲームみたいな自分を嫌になるけど
まぁそれも人間ですからみたいなところもあり
そんなのかすりキズ程度な出来事なのだと思うから
もしもこれを読んで少し心に重いものをのせてしまっていたら下ろしてください。
ほんと大したことではないので。

むしろ、あの夏からだいぶ私も成長して、
変化してきたし、
そうやってここまで来れたのはひとえに周りの人のおかげなので。
心から感謝してる。

ただ、こうして掲載するのは
保険みたいなもの。
大丈夫って
少しだけ
勇気を出したかった。

言いたくて
言えなくて
言ってもどこまで言ったらいいかわからなくて
言わない選択をしたり
言おうとしてみたり
やっぱり削ったりして
面倒くさくて笑っちゃう。
自分のことでいっぱいでほんとどうしようもない。

そんな私に付き合ってくれる人へ
いつも本当にありがとう。

#心がほんのり涙するとき #34日目