文學少女に出逢った日。
最近死ぬほどリピートで聴いているアーティストがいる。それがBURNOUT SYNDROMESだ。
青春を繊細に切り取った文學的な歌詞がもうとにかくどツボで堪らない。
その中でもわたしがズブズブにハマるきっかけになった曲が2ndアルバム表題曲の「文學少女」だ。今回はその「文學少女」についてイタいオタク全開で語っていこうと思うよ。
まずBURNOUT SYNDROMESの歌詞の最高なところは何と言ってもまるで文學小説を読んでいるかのような詩的な言葉選びとそれに付随する鮮明なイメージと映像力。文學少女だけではないがその曲を聴き終わったあとはまるで短編小説を読んだ後のような余韻と充実感を与えてくれる。
ここまで文學に振り切った歌詞を書くバンドは後にも先にも彼らだけのような気がする。言葉フェチと言っても過言ではないと自負する私、ハマらないわけがなかろう。
(言葉フェチとは、、、)
「文學少女」の話に戻そう。。
まずこの歌は空が白み出す午前4時の映像から始まる。小説を書き、小説と共に生きる「文學少女」の話だ。
締め切り前、午前四時、白み始める空。
そんな中、君と僕が主人公の小説を書いている。
そんな描写から始まるこの歌い出しは、文章を書く人間だけ感じたことがあるあの朝の匂いを纏っている。
たったワンフレーズでその情景を思い出させる描写力。しかもとてもシンプルに、小難しい表現を使わずに。なんて美しく澄んだ歌だろうか。
そんなの冒頭から心を掴まれてしまうに決まってるじゃないか。
そしてここで薄々気づき始めた。冒頭でこの文字数ってもしかしてやばいのでは。それくらい魅力的な歌なんですってことを伝えたいのです。続けます。
この歌には有名な小説の題名や一節がたくさん出てくる。「人間失格」や「羅生門」「蜘蛛の糸」「走れメロス」名作たちが大波の如く小気味良いリズムで怒涛なまでに押し寄せて来る。単純脳なのでそういう新鮮なことをされると一気に惹き込まれてしまう。それが自分が好きな文學小説の羅列ときた日にゃあ尚更だ。
そして怒涛の有名フレーズの大波を受けたと思ったら、場面は一気に夕方の教室に切り替わる。
夕暮れ チャイムが鳴り響いていた
沈んだ目で上履きを探す少女
授業も聞かずに 日が暮れるまで
窓際の席で小説を読んでいた
冒頭で小説を書いていた少女は、上履きを沈んだ目で探していた。燻んだ青春が、少女の葛藤が揺らぎが、一気に頭に情景として流れ込む。
ボーイ・ミーツ・ガール@校舎裏
籠球部の喧噪と 風に舞うカーテンと 通知表飛行機と
校舎裏で落ち合う男女、籠球部の喧騒、風に舞うカーテン…名詞で魅せられていく教室放課後の風景。ここまではわかる。ここまではわかるんだ。。
問題はその後の「通知表」と「飛行機」。
この2単語が個人的にとんでもない。初聞で度肝を抜かれた。
「通知表」という単語で少女が抱える現実と夢のギャップが浮かび、「飛行機」という単語でそんな葛藤を知らぬかの如く青く高い空が少女の頭上に広がっている。そんな青春を焼き付けたような情景が浮かぶ。
たった2単語にここまでの情景が詰め込めるのか、、
紛れもない文學、圧倒的な言葉選びのセンス。感服。。
何遍も何遍も書き直したこの世界を君は笑うだろう
嘘ばかりのストーリーと
そんな報われない言葉たちから始まるサビ。この言葉に共感できることが私は嬉しくて少しだけ哀しい。どの創作にも大なり小なり付き纏う、虚しさや寂しさを見事なまでに言語化してくれている。
ただ、ラストシーンのこの台詞が君以外に伝わりませんように
その手首の痣 とても綺麗でした
まず、とりあえず、君以外に伝わりませんようにっていう言い回しだよ。凡人ならせめて君にだけは伝わりますようにって書いちゃうところを。いやはや文學。
そして、、、
『 その手首の痣 とても綺麗でした 』
…いや、まじでこんな歌詞全人類が何百万回生まれ変わっても思いつかないだろ。。
最高に刹那的で叙情的。。熊谷さん天才。。
もはやこの一文を書きたいがためにこの記事書いたまである。
青春の青い傷を、こんなに美しく言い表すことが他にできるだろうか。
こんなもに切なくて瞬間的で眩暈がするくらい綺麗なフレーズがあっただろうか。
羅列した文字の全てが眩く燦爛に見える。聞こえる。
2サビの言葉たちもとことん素晴らしい。
何遍も何遍も書き直した その未来で君は笑うだろう
誇り高きストーリーと
今 あの孤独と自殺願望が君のための文學になるんだ
跳ねる水飛沫 とても綺麗でした
いつだって創作の原動力になるのは孤独と希死念慮と何かを変えたいという衝動だと思っているタイプの人間なので、この歌詞への共感とそれを言語化できる言葉力にただただ脱帽でしかない。
何かを創ることは哀しくて虚しいことだ。だけど、キラキラと蒼く反射する水飛沫みたいに綺麗であるはずなんだ。漠然とした迷いも不安もこの曲が拭い去ってくれる気がした。
私はこの「文學少女」のサビの歌詞を、きっと死ぬまで好きでいると思う。
ザザザッと好きなフレーズについて散文塗れで語ってみたけど、相変わらず纏まりがなさすぎて永遠に書き続けしまいそうなので一旦この辺にしておく。。
とりあえず、文學少女を聴いてくれ。
BURNOUT SYNDROMESを聴いてくれ。
頼むぜ全人類。言いたいことはそれだけだ。
「文學少女」という曲出逢った日、言葉を劔に、沈黙を盾に戦う彼女に出逢った日、私はBURNOUT SYNDROMESという一つの長編小説に出逢ったのかもしれない。
文學と青春の温度を纏った、最高の長編小説に出逢えたのかもしれない。
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