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長時間労働で失うもの、だから。
労働人口が減って働き手が少なくなって、年金を納める人口が減る。反対に高齢者が増えて、年金を受け取る人口は増え続ける。ならばと政府はマクロ経済スライドなるものを導入したけれど、現実の経済とマッチせず、年金の入りと出のバランスはかなり悪い。
高齢者の増加で、介護保険料が値上がりした。医療費だって増えている。ならばと国は企業の健康保険組合をその財源とみなすけれど、そのしわ寄せは巡り巡ってサラリーマンの給与から天引きされ、結局働く人にとっては増税となる。
だからこそ、子どもの数が増えてほしい。
そこで、国や地方自治体は、高校や大学の学費を無償化にしようとか、子どもに1世帯あたり6万円支給しようとか、パパも子どもが産まれたら休めるようにしようとか、幼稚園・保育園を無償化にしようとか、なんてアイディアを出す。
けれど、根本的なところを変えない限り人口構造は変わらない。男性が稼ぐ社会構造が残り続ける限り、この社会は変化しない。いや、さらに子どもの数は減り続けるだろう。
どうしてこの国だけ、先進諸国でメンバーシップ型なんて呼ばれるのか、そこのところを考えない政策なんて、応急措置にさえならない。
このままでは、子どもも増えなければ、そもそも結婚することに女性がリスクさえ覚える社会なのだ。
ギスギスした社会だ。
暖かさが足りない。
誰もが急いでいて、誰もが疲れている。
なぜって、体を休めることの大切さを知らない社会だから。
わたしは3ヶ月ほど休みなく働いて、ついにはよく眠れなくなり、やる気が失せた。そしてやっと今、その慢性疲労から抜け出せたところだ。
これは大問題だ。
長時間労働では、いい仕事なんてできない。生産性も見事に落ちる。プロジェクトを終えるまで突っ走るのは仕方がないとしても、それでも、その後は休息が必要だ。だいたいそんな暮らしは楽しくない。楽しくなければ意欲も出ない。人間はロボットではないのだ。
日本では、今でも男性が長時間労働をして、転勤が当たり前、という話を今朝stand.fmでした。
すると、大手自動車会社系に勤める人が多い地域の方から、残業代がないと家のローンが払えないという話を聞くとのコメントが届いた。某電力会社では、20時前に帰ることはないとも言われた。
さらには、朝早く来て、夜遅くまでいる上司がいい上司だという人がいて驚く、というコメントも頂いた。
企業が変わっていないということを都度感じる。本当に、この社会は40年前と変わっていない。
長時間労働が、あるいは、転勤を経験することが、出世に繋がるスタイルの働き方は、女性にとって大きな負担だ。幼い子どもがいればワンオペ育児が始まるだろうし、サポート体制が整わなければ、泣く泣く仕事を辞める女性もでてくる。
何より、夫は何のために働くのか、誰のために働くのか、考えてしまう。
毎年、世界経済フォーラムが発表するジェンダーギャップ指数が、この国の男尊女卑を世界に知らしめている。
とにかく、この国は、今でも男性が残業をする社会だ。だからこそ、高賃金で働く人の割合は男性が圧倒的に多く、役員に女性が少ない。
色々な特典をつけたってどうしようもない。
一番問題なのは長時間労働なのだ。
その長時間労働は、誰も幸せにしない。
たとえ育児に費用が掛からなくなったとしても、卵子凍結や不妊治療が無料になったとしても、家族で語り合う時間さえない社会では豊かとはいえない。
男性も自然に子どもと関われる社会でなければ、第4次産業革命と言われる今、家にいない男性は新しい世代の情報さえ受け取れない。産業構造が変化したこの世の中で、男性は古い服を着たまま走るのだろうか。そんな社会が豊かであるはずがない。
子どもがたくさん誕生する国にしたいのであれば、この社会の長時間労働を変えるのが一番いい。
女性の力を貸して欲しいのであれば、やはり平等な社会にしていくしかない。
人にはどうしても休憩が必要だ。
考える力は休息して初めて取り戻せる。
※最後までお読みくださりありがとうございます。
※スタエフでも話しています。