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【介護】急がない


何事もタイミングがある。このタイミング、焦って引き寄せてもろくな結果にならない。

今日は数ヶ月待って、ようやく母がこれから通うデイケアセンターの空きが出たということで母と見学に行った。

デイケアとデイサービスにどんな違いがあるのか、在宅介護初心者のわたしとしては興味深々。

結果、残念ながら見送りとなった。

とはいえ、不都合があったわけではない。お迎えに来てくださった方々も、センターの先生方も実にお優しかった。

丁寧な説明のあと、母はボールを太ももに挟む運動など教えてもらって楽しそうにおしゃべりしていた。遠くからそれをみていたわたしは驚いた。母がとても社交的なのだ。あれ?あんなに話す人だった?と驚きながらながめていた。で、あぁそうなんだ、ここが気に入ったんだ、と思いながら見ていた。

ところが、家に戻ると母が倒れた。といっても座り込んだまま動けなくなったのだけれど。慌てて介抱して血圧を測ると測れない。200を軽く超えている。これほどの高血圧は久しぶりだ。

夜になってようやく母が体を起こした。

順調に回復している母を見ていると、どんなことでも軽く超えていけそうな気がしていたけれど、ここで気づけてよかった。考えてみると昨年倒れて以来、母はほとんど外に出ていない。そんな状態で知らないスタッフさんや先生方に一時間ほど取り囲まれていたのだ。皆さんの問いかけに、実に朗らかに答えていたけれど、母なりにきっと気を使っていたのだろう。

で、夜母に尋ねてみた。

「どう?今日のセンター、皆さん良い方だけど、もうすぐ契約するけど大丈夫?行かなくたっていいのよ」と。

すると母が驚いた。母の中では、あれほど親切にして頂いた皆様の手前、行かない選択肢はなかったのだ。そこへわたしが、

「行ける?やめとく?」

と質問したのだ。すると、箸を止めて母が、

「行かなくても良いの?悪くない?」

と驚いている。それから、

「あなたがそう言ってくれたから言うけどね、行かなくてもわたしは良いの」

とのたまう。

あゝやっぱりそうかと思った。

母は一人でも結構退屈しないし、かなりマイペースだ。朝だって、たとえ一人でも自分の都合のいい時間に食べたいし、夜はわたしの迷惑も気にせず、17時ぐらいには食べたいとはっきり物申す笑。そして、日中は本を読んだり植物を愛でたりと呑気なものだ。

「わたしはクヨクヨしないし、難しいことも考えないからボケないの」

とも日頃口にしている。まあ、確かにわたしより物覚えがいい。

母はとにかく縛られたくないのだ。けれど、あまりに段取り良く自分の周りが動き出すと、さすがの母でもNOが言えないのだろう。

まずは朝の散歩が出来るようになったらいいよね、それから家族で旅行にも行けたらいいね、デイケアセンターはそれから先の話しにしようね、ということで一件落着。

何事もタイミングが大切なのだ。そして、焦りは禁物を自分に言い聞かせた。


※最後までお読みいただきありがとうございました。


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