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【Sky日記】 2020年6月

 TwitterでSky日記を書いていた。2020年9月から2022年3月まで、Skyというゲームのなかで起きたこと、経験したこと、感じたことを、書き留めていた。先日、ひとつ区切りをつけてそのアカウントを綴じることにした。表紙、裏つけ、その他装丁を整えるような気持ちで、Twitterには書き損ねていた日記をここに置いておく。Skyを始める前、そしてTwitterに日記を書き始めるまで、そしてTwitterに日記を投稿しなくなってからのこと。

2020/04/01 26:16

一番ふるい写真

 一番ふるい写真。ホームがスケートリンクで、奥にトンネルが見える。おそらくリズムの季節。4月になり何か新しいことを始めようと思い、そういえばダウンロードしたまま放置していたゲームがあったな、とログインしたような記憶がある。光の探求者の笠を祠で被った記憶があるから、その頃には生まれていたのだと思う。
 通学時間、満員の電車でどう過ごすか悩んでいた。本は重いし、取り出せないし開けない。音楽はイヤホンが絡まるし音楽を選ぶのがしんどい。何もしないと広告が煩くて、目と耳から流れ込む喧騒、いろんな人、いろんな匂いに泣きそうになり、そんな自分が意味わからなくて、耳と目を塞ぐようにぐったりしながら電車に乗っていた。
 淡々と作業に没頭できるような何かを探して、Starmanというパズルゲームを見つけた。静かで、美しい、モノクロの世界で謎を解きながら宇宙服を着たStarmanを導くゲーム。行きと帰りの電車の中で、ゆっくりゆっくり謎を解いた。全てのステージをクリアしたとき、ものすごく感動した。物語をひとつ読み終えたような感動。そして喪失感に襲われた。大好きな物語が終わってしまった喪失感。代わりを探して目を留めたのがSkyだった。ゲームの進め方もアバターのコントロールの仕方もさっぱりわからなくて、ずっと困惑しながら進んだ。孤島の神殿まで行って、わけもわからずボタンを押すうちに他の雀とキャンドルを交換して手を繋いでいた。それが他のプレイヤーだと気づくと怖くてたまらなくなりアプリを落とした。なにもわからないうちに、知らない人を不快にさせる恐怖にいつも怯えていた。自分が無知であることによって誰かを不快にさせてしまうことに、そして無知がゆえにそれに気づくことすらできないのを恐れていた。

2020/06/02

 カメラロールに、Yuに送ったフレンドコードが残っていた。YuがSkyをやっていて、外国のフレンドと遊んだというようなことを呟いているのを見かけて、Skyの遊び方を教えて欲しいと声をかけたのだったと思う。ゲームの進め方も、アバターの操作も、それからフレンドの作り方も何もかもがわからなくて怖いけれど、Skyやゲームに興味はあって、きっかけを探していた。それから、Yuと仲良くなるきっかけも探していた。最初のスクショが4月で、フレコのスクショが6月。多分ぼくはこの2ヶ月のラグの間、忙しさにかまけたりいろんな理由や意味を探して、SkyをやるのもYuに声をかけるのもためらい続けていたのだろう。
 興味があるものに手を出すこと、それから友達になりたいひとに声をかけることがすごくすごく怖い。やりたいのに、友達になりたいのに、そのままの自分だとどうにもいけないような気がしてしまう。やりたいことに手を出す理由や意味を無理やりこじつけたりする。単純にそれがやりたい!だけでいいのに。人と関わるのも、何かを介して、例えば共通の趣味とか興味とかをワンクッション間に置くと、どうにか安心できる。提供できるコンテンツがあるという安心感。でもそんなものなくても、ありのまま、きのみきのままの自分のまま、人と関わっていけるようになりたい。Skyをやり始めたのも、Yuに声をかけたのも、振り返ると本当に良かったことだ。今のぼくも、あの時と同じようにやりたいことに理由を探して、仲良くなりたいひとに声をかけるきっかけを探し続けている。そして動けなくなっている。でもそんなものはなくても本当は勇気を出してやってみなくてはならないんだろう。このままではどこにも行けない。でも本当はどこにだっていけるはずなのだ。

2020/06/03

 カメラロールに、あるイラストの写真があった。コマツシンヤさんの、『雲上国案内図絵』。YuにSkyを案内してもらって、この作品を思い出して、Yuに写真を送った。この作品は、夏休みにおじいちゃんの家に遊びに行った「ぼく」がボトルメッセージを拾い、その中には雲の上にある国の観光案内地図が入っていた、という作品。一枚の大きな紙に地図と短い漫画が描かれている作品で、子供向けの絵本「たくさんのふしぎ」の2008年9月号の付録として巻末に折りたたまれてついていた。開くと雲上国の地図が現れる。シンプルな線に、水彩で色が付けられていて、雲の上の住人の生活の説明書きがたくさん添えられてある。どれだけ見ても飽きない。今でも開くとわくわくする。ぼくもこんなものを描きたい。小さい頃も見るたびに同じことを思った。Skyの草原や雨林は、この雲上国の絵の中に飛び込んだような世界だった。美しくてわくわくする。

2020/06/05

初めての原罪

 初めて原罪へ行った。誰かと行くか少し悩んで、いや、1人で行ってみようと思い門をくぐった。ただあまりにもどきどきしたので攻略サイトを見て、暴風域の進むべきルートだけは頭に入れた。なんとか暴風域を抜け、原罪はもう訳がわからず、気づくと羽が全部散って魂だけになっていた。天空がすごく綺麗だったから、写真を撮った。

魔法の季節の案内人さんにデイリークエストをたずねている写真も残っていた。画面の端をタップすればデイリーの項目が表示されるということを知らなくて、いちいち別端末で撮っていた。ハープを背負っている。雀だなぁ。

2020/06/07

 iPhoneのメモ帳に、キャンマラのルートの詳しいメモが残っていた。Yuに何人かフレンドさんを紹介してもらってフレンドになったけれど、渡せるキャンドルもなければ遊べるアイテムを出せるわけでもなく、何も提供できるものがない!何も役に立てない!と引け目を感じて申し訳なくなってしまって、キャンマラのルートを覚えたらキャンマラ行きませんかと誘えるんじゃないかと思いYoutubeでルートの解説動画を見てみたのだった。なるほどえび天さんとアキパイセンの動画が参考になるなあとメモしながら見ていた。

2022/06/11

 雨林の神殿前のエリアで、三つ目の橋が上がらず、でも2枚の羽ではどう飛んでも光の子がいる最後のやぐらにたどり着けず、何回も池に落ちては羽を散らしていたところをある星の子に助けてもらった。三つ編みにイタチ面、エメラルドブルーのケープにピアノを背負った星の子。ピアノを上手に弾いていて、通りかかった時に拍手をしたら、そのあとぼくが羽を散らしているのを見つけて助けてくれたらしい。光の子や精霊がいる所へ案内してくれて、木に生えているきのこをたどりながら上へ上へ飛んで木の上のやぐらまで案内してくれた時にはそんな飛び方があるのかとびっくりした。おじぎのエモートを持っていなかったから、精霊を解放するたびに土下座エモートをしていた。上手く飛べなくてごめんなさい、ありがとう、チャットを開放したくてもキャンドルが足りなくて、エモートも足りなくて、あたふたしながら進んだ。どこをどう案内してもらったのか、その子は最後にぼくを草原の神殿の上にあるベンチに連れて行ってくれて、びゅうびゅう風が吹くなか初めてチャットをした。日本人の子で、ありがとうと伝えたらお役に立てて良かったと言ってくれた。こんな所にベンチがあるんですねと言ったら、あまり知られていない場所だからゆっくり話せるんだ、気を抜くと風が強いから雨林に飛ばされるけど、と言っていた。初めてネットの中で知らない人と話した。「自分以外にも人って生きているんだな」となぜか思った。自分を知らない人と、お互い知らないまま言葉を交わすということには、ある種の安心感のようなものがあると思った。

2020/06/08

なぜか峡谷で初リサイズ
割と大きくなった

 リサイズドリンクを飲めば身長が高くなるよと聞いて、初めて飲んだときの動画が残っていた。Yuが背の高い星の子(身長1)で、僕もお揃いにできたらいいなと思ったのだ。このときリサイズはランダムではなくどれくらいの身長がいいか選べると思っていたので、飲むといきなり身長が変わってびっくりした。どうやら割と高めの身長になったようで、その後フレンドになった方に”でか雀”と名前にメモされていたことが判明した。確かに雀にしてはでかい。 しかしYuよりは低め(おそらく2だった)だったので、この後僕は原罪へ通い詰めてはドリンク買うリサイズドランカーへと立派に成長したのだった。

2020/06/08

 Yuが景色のいい場所へ連れて行ってくれた。

孤島の神殿の上

 孤島の神殿の上は地平線が見えた。

雨林の神殿の上

 雨林の神殿の上からは鳥が光の列になって編むようにこちらへ飛んでくるのが見えた。Yuの白ケープが輝いて景色に映えていた。綺麗な景色を眺めながら一緒にごはんを食べて、いつか僕が白ケープをもらえたらまた一緒に来ようと約束した。

雨林の大精霊様に会いに

 雨林の大精霊様に会える方法があるんだ、一緒に試そうと誘ってくれた。でも裏世界という、本当はあまり行っちゃいけないところだから内緒にねと言われた気がする。方法は全く覚えてないけれど、気がつくと雨林の大精霊様の目の前にいた。たくさん写真を撮った。

草原のフェアリーサークル

 草原の神殿の上にも行った。ベンチに座って話していると、下から吹いてくる風が草を揺らしていて、イヤホン越しに耳元で風が吹いていく音がして、本当に草原でふたりで話しているような感覚に陥った。おしゃべりしているうちに、Yuが「いいものが見れる時間になったよ」と言って草原の一角に連れて行ってくれた。しばらく待っていると足元にきのこのサークルが。フェアリーサークルだ!妖精が輪になって踊った跡だとか、妖精が輪になって座ってお話しした跡だという伝説がある。絵本や小説で見かけては、本物を見てみたいといつも願っていた。サークルの中に入ると妖精の世界に連れて行かれるだとか、どこかで読んだ時には、ぼくも連れて行って欲しいと思った。いつか本物に出会うことはあるだろうか。輪に入っておしゃべりをした。飛べる羽、不思議な格好。僕らも今は妖精みたいなものだと思った。

2022/06/14

ポプリさん

 Yuが紹介してくれて、何人かとフレンドになった。みんなすごく優しい人たちで、「始めたばかりで何もわからないんだ」と言うといろんなことを教えてくれたりキャンマラに連れて行ってくれたりした。 Yuがいないとき、星座盤でくるくる光っている星を見つけて、ものすごく緊張しながらワープしてみた。迷惑じゃないかなあ、何か都合が悪かったりしないかなあ、ワープしなきゃ良かったかなあと頭の中は大忙しだったけど、ポプリさんはいつも気さくに話してくれて、この日も雨林を逆走しながらキャンドル集めとデイリークエストを案内してくれた。ぼくにとって憧れのベテラン星の子さんだ。

2020/06/16

はじめてのブランコ魔法

 Yuが「ブランコの魔法があるから、孤島の虹の岩で使ってみよう」と誘ってくれた。孤島の神殿のさらに上の方を登っていくと、突然現れる虹色の岩がある。おそらくバグなのだけど、とても綺麗で眺めも良くて、星の子たちの間では特別な場所の一つらしかった。ぐるぐる登りながら飛んで探して、やっと見つけることができた。ブランコを出し、さあいざ乗ってみようというところで、他に遊びにきていた星の子がちょんと乗ってしまった。ちょっと焦るYuとぼく。「ふ、ふたりで乗りたいの、ごめんね、ごめんね、降りてくれる?」と健気にジェスチャーするYu。ぼくは思わず笑ってしまって、ゆうちゃんが魔法で出してくれたんだから乗ってよ、と言った。ひとまずYuに乗ってもらい、話してみると海外の星の子さんだった。角度によっては浮いているように見える。ぼくはたまにエモートでリアクションをしながら、3人で不思議な景色とブランコ魔法を楽しんだ。

天空のベンチ

 Yuに天空にベンチがあるの知ってる?と尋ねられ、驚きながら知らない、天空はまっすぐな道以外なにも見当たらなかったよと答えたら連れていってくれた。暴風域と原罪を超えて天空へ辿り着き、まっすぐな道を少しそれて進むと上へ伸びる光の螺旋が。Yuがぼくの手を引いてそれを登り始める。足元からキラキラ音がした。透明なのに確かに螺旋の階段だった。上まで登ると、光でできたベンチが。なんて素敵な仕掛けなんだと感動した。Yuはこのベンチを、自分が雀の頃に暴風域で助けてくれた先輩の星の子さんに連れてきてもらって知ったのだという。ぼくもいつか誰かを助けることができたら、ここへ案内しておしゃべりしてみたいと思った。

2020/06/20

見たことないケープ、髪型、エモートの星の子さん

 歌舞伎役者のようなもこもこのケープに逆立った髪、鳥面をつけたYuのフレさんに出会った。とにかく手持ちのアイテムがなくて、魔法の季節で初めて手に入れたオレンジのケープばかり着ていたぼくにはすごくかっこよく映った。早くいろんなアイテムを着て遊べるようになりたい。フレンドとケープを合わせたり着まわしているみんなに早く混ざりたい。

2020/06/22

ポプリさんときこさん

 いつもじじいの格好をしているポプリさんがおばあの格好をしていた。おばあにもなれるんかーい。ポプリさんがよく一緒にいるきこさんともフレンドになった。ふたりともみたことのないアイテムをつけていて、背中には10枚羽で、ベテランの雰囲気。

生まれたての星の子に羽が生えるところをみた

 ホームの星座盤にうずくまる星の子がいた。原罪から帰って来たのかと思って見ていたら、羽もないし挙動がおかしい。もしかして生まれたての星の子だろうかと思い当たり、孤島の門をくぐるその子を思わず追いかけた。背中を追いかけながらゲームを始めた頃の自分もこんなだったろうかと思った。

2020/06/23

方舟の三日月

 捨て地の方舟で三日月が見えるんだよと聞いてみんなで見に行った。Yuと、確かSide dishとSnowと一緒に行ったと思う。空中にチャットテーブルを出しながら登っていく。どんどん雲まで近づいていく。触れそうなくらい雲に近づくと、雲間の穴から確かに三日月が見えた。

2020/06/23

公式から楽園の季節のアナウンスがあった

 公式のツイートで、新しい季節がやってくるという発表があったよと聞いて、早速トレーラーを見に行った。見たことのない景色、見たことのない生物、マンタの形の首飾り、マンタのケープ、サルエルのようなパンツ、そしてマッシュヘア。見た瞬間、ぼくのための季節だ!!!と思った笑。
 中性的な髪型がずっと欲しかった。いろんな髪型があるけれど、女の子でも男の子でもないものがなくて、ずっと初期の髪型にしていた。どの髪型もかっこいいけれど自分にはカッコ良すぎたり、ツンツン攻撃的だったり、個性的すぎると感じていた。自然で、できたら少し目元が隠れるような髪があればいいのに、と思っていた。そこにどうやらマッシュヘアが次のシーズンでやってくると知って、もう待ちきれなくなった。パンツもきっとかっこいい。ああ、やっと自分らしい星の子になれるかもしれない。わくわくして何回もトレーラーを見た。早く次の季節、やってこい……!!!


白ケープをもらってYuと雨林の神殿上に行った

 夜、ホームであとハート1個で白ケープをもらえるんだとおしゃべり好きな中国のフレンドに話したら、なんとぼくにハートを送ってくれた。そんなつもりなかったのに、貴重なキャンドルを使って送ってくれた。おしゃべりが大好きで、いつもチャットテーブルを背負っていて、会うといつもチャッテを出してくれる子だった。あなたのおかげで白いケープをもらえたよ!と言ったらすごく似合ってるよと言ってくれた。ハートは自分ひとりでは集められないようになっていて、早くアイテムが欲しいぼくはなんでだよと思っていたけれど、フレンドみんなにもらった光やハートの結晶が自分の大事なアイテムになるんだと実感して、それはなんて嬉しいことなのだろうと思った。自分のものは、自分の力だけで手に入れるべきだと思っていた。人に頼らず、自分一人で頑張って手に入れなくちゃだめだと思っていた。でも、たくさんの人に頼って、たくさんの人に恵んでもらったものの方が、大事なものになるし、そいういうものを持っている自分のことも大事にできるんだと気がついた。

2020/06/24

YuとSnowとSide dish。アフロヘアの良さに気がついた瞬間。

 YuとSnowとSide dish。Snowが長身でアフロヘアをつけていて、それがすごく良くて、次にもらう髪型はアフロにしようと決めた。


傘を持ったポプリさん

 ポプリさんが雨林のキャンマラに行こうと誘ってくれて、いつも背負っている焚き火をしまって代わりに傘を出してきてくれた。ああ、いいなあ。行く場所によってアイテムを変えるの、かっこいい。傘があれば濡れない。かっこいい。雨林で羽を散らしながら途方にくれた経験があっただけに、傘のアイテムがあると知った時の衝撃はすごいものだった。過去のアイテムと聞いてがっかりして、再訪というシステムを知って狂喜乱舞した。この頃からいつも、再訪精霊の情報が出るたびに傘精霊さんであれ……!と願っていた。
 傘よりもっと憧れたのが焚き火のアイテムだった。雀のぼくがキャンドルがなくてもひととおしゃべりができたのは、いつもポプリさんが背負っている焚き火を出してくれたからだ。火を囲んで話すのは、チャットテーブルに座って話すのとは違う良さがあって、今でもずっと、焚き火を持っている星の子さんに憧れている。


再訪していた狐面精霊さんに報告した

 ポプリさんと話していたら、思わず自分のことを僕と言ってしまった。焦ったのだけど、ポプリさんはギャップがあっていいよと言ってくれた。いつからか忘れたけど、もうずっと、いつも僕と言いかけては私に直す、みたいなことをしていた。少し苦しかったから、これからはSkyでは僕でやっていこうと決めた。ゲームだし、深く考える必要もないだろうと思って。
 ふと、いつから自分は一人称が私になったんだろうと考えた。母に聞くと、「あなた小さな頃、一人称が僕だったのよ?忘れたの?」と言われてびっくりした。すっかり忘れていた。「あなたが普通に僕っていうもんだから、みんな、あなたはそういう子なんだと思ってなんとも思ってなかった。たまに、久しぶりに父方のおばあちゃんちに行ったときなんかにはなんで?って聞かれたりもしたけど……外では男の子だと思われてたんじゃない?」などと言われた。やはり少し嫌そうな顔をしていたけど。母曰く、小学校低学年くらいまでは自分のことを僕と言っていたらしい。いつからか私を使うようになって、でも家ではたまに僕と言っていたり、幼馴染や親友といるときは僕と言っていたらしい。ぼくはひとつも覚えていなくて、親友にラインしてみると、「ずっと僕って言ってたよ」と言われ、証拠に当時僕が彼女に送った誕生日の手紙を見せてくれた。しっかり僕と書いてあった。日付を見ると小学五年生の頃だった。もうすっっかり、綺麗さっぱりそんなこと忘れていた。
 いつから私というようになったんだろう。何かきっかけがあったんだろうけど、それもさっぱり忘れてしまった。幼い頃、ぼくは自分のことをどう思っていたのだろうか。会いに行けるなら、聞きに行きたい。ねえ自分のことどう思ってた?ぼくに教えてくれよ。今、いい歳になって、そのことで動けなくなってる。
 なんとなく思い出したのは、自分の体が女だということは理解していて、そのことをなんとも思っていなかったから、たまに周りがそれで騒ぐことが少し気持ち悪くて、そしてよくあることだったから「またか」と思っていたこと。一緒にサッカーをしていて、「こいつ女だよ」と誰かが言って、好奇の目と、異質なものを見るような排他的な目が向けられる感覚。慣れていた。そして別に傷つくこともなかった。僕は僕だろ、大騒ぎするな馬鹿どもが、と思っていた(生意気)。いつからかそれではうまく生活が回らなくなって、とりあえず私と言うことにして、いろんなものを封印して、違和感だけが残った。
 星の子は子どもの姿をしている。その姿で人と関わるうちに、自分の中で眠っているインナーチャイルドが目を覚ますのかもしれない。ぼくはまだここにいる、君はぼくのことを無視するけど。ぼくのインナーチャイルドはたぶんそういうふうに言っていて、とても怒っていた。ごめんよ、仕方なかったんだよ、それ以外に方法がわからなかった。
 大人になるにつれて、自分は自分だから、ではやっていけない場面が出てくる。自分と、世界と、他者との折り合いをつけながら自分らしく生きようとしたとき、ぼくは僕をやめた。男なのになんでかわいい絵を描くの。女なのになんで男の格好してるの。女なのになんで僕なの。男なのになんで女と仲良いの。女なのに男みたいで気持ち悪い。どっちなの。男みたいにして男と仲良くしてる男好き。知ってる、ボクっ娘ってやつでしょ。イタいよ。思春期の気の迷いだよ。お年頃ってやつだね。好きになったのに女だったの、なんで嘘ついたの。最近流行ってるジェンダーレスでしょ。実際に言われたことと、僕に似た人に投げつけられた言葉と、自分で自分に投げつけた言葉。鬱陶しいなあ、うるさいなあ、ほっといてくれよ。もういいや、そんな雑音が邪魔になってやりたいことができないくらいなら、ぼくは僕をやめるよ。家族含め、他者に違和感を与えてまで押し通したい自我もない。そう思っていたけれど、単純にありのままの自分を受け入れてもらう勇気がなかっただけだ。そしてその自信は今もない。向き合ってこなかったからだ。もう一度向き合ったら、前に進めるだろうか。

2020/06/26

峡谷の裏世界

 YuとMyraと、Side dishかな。峡谷の裏世界へ行った。確かMyraが「パープルの峡谷の神殿を見たことある?」と聞いてきたのだったと思う。魔法の季節のケープを着て、アラビアンナイトの世界だねと話した。


Yuに僕を使うことを話した

 Yuに、僕を使おうと思うんだと話した。元々Yuは友達で、知り合ってしばらく経ったころに自分が絵を描くこととか、セクシャリティがどうちゃらとか、そういう話をしたことがあった。だから、Yuなら受け入れてくれるだろう、不快にさせてしまうこともないだろう、深刻な話でもないしと思っていた。けれどいざ話すときはものすごく緊張した。話し終えて、Yuがいいね、そんなあなたがいいと思う、いろんな話ができて嬉しいと言ってくれたとき、僕は泣いていた。自分のなかの何か、たぶん押し込めて隠した何か大事なものが、優しく拾われて手のひらで包まれたような気がした。自分が本当は大きな傷を負っていたことに気づく。傷が癒えるとき、傷を負う時とはまた違った痛みがある。そこに大きな傷があるということに向き合うからだろう。そういうとき、あたたかい涙が流れるのだと知った。
 自分自身が無視した自分は、陽の当たらない寒い場所で、ずっと凍えている。助けも来ない、何を言ったって無駄だと自分に言い聞かせてじっと怒りを抱えたままうずくまっている。でも陽が差すこと、扉が開くことをずっと待っている。自分自身だけで救えないなら、頼れる人を見つけて、頼るべきなのだ。Yuに出会えたことと、Sky、そして勇気を出した自分にも感謝した。

2020/06/28

初めてのお面

 初めてお面をゲットした。狐面!少しずつアイテムが増えてきた。

2020/06/29

おんぶタワー

 Sidedishと、Yuと、Skylerかな?みんなでおんぶを解放した。こうやったらエモートもできるし、キャンマラもしやすいよって言って。おんぶタワーになったねと話しながら雨林を回った。Side dishが拍手のエモートをしていたら、Yuがそのエモートから出てくる模様、花が咲いているみたいと言った。通り道に花を残しながら走った。

後ろに残っていく花
カニをお供え


オフィスの一角にいるわんちゃん

Yuがフレさんに頼んでくれて、オフィスへつれていってもらった。確かキャンドルがほんの少し足りず、狐面精霊さんからエモートをもらえなさそうだったからだと思う。オフィスにある火種でなんとか間に合うかもということでつれていってもらった。結局キャンドルが足りたのか覚えてないけれど、Yuとオフィスを探検した写真が残っていた。

この子は何なのだろう?


可愛い双子

 めちゃくちゃ可愛い格好をした双子がいた。リトル面をつけた雀の格好で、後ろに狐面精霊さんのベルを背負っていた。可愛い。自分がずっとでかい雀だったから、小さな雀の可愛さを知らなかった笑

2020/06/30

虹だ、と思ったけど、虹が出てるよと言いに行く気になれなかった。
悲しいときに撮ると悲しい写真になるんだな。

 Myraと喧嘩した。夜9時に原罪へいこうと約束して、僕とYuは9時ごろにホームで待っていた。なかなかMyraがやってこなくて、そうこうしているとYuのフレンドがたくさんやってきて、喋ったり遊んだりして待っていた。結局20分ほど経ってやっとMyraがやってきて、僕とYuがそれまで遊んでくれていたフレンドたちにこれから原罪へ行くからまたね、と挨拶していると、しびれを切らしたMyraが「あんたたちがその人たちと遊ぶつもりなら別に行かなくてもいいけど、」と言い出した。心臓がぎゅっと止まって手足が冷える。いやいや、僕らは20分も待ってたんだけど。3分も待たずにキレるなよ。そう思いつつ、もともと少しわがままなところがあったからいつものことだしなと思い、いやいや〜僕らは君と原罪に行きたくてずっと待ってたんだぜベイビ〜?(僕の英語がだいぶ砕けているのでたぶんこんなニュアンスになる)と言ってみた。ブチキレられるか、機嫌がなおるかのどっちかだろうなあと思ったら、僕のほうに向き直り、「オーケー、あんたと私は考えが随分と違うみたいだわ」とブチ切れられてしまった。オウ、どうやら待たせた上に僕のフレンドをないがしろにしている自覚が全くないらしい。Yuも少し言葉を失っていたけど、「ごめんねMyra、これから行きましょう」と言い手を取り暴風域の門をくぐった。Yuはもろもろのことをひとまず置いておくことにしたらしかった。大人だなあ。血の気の多い僕は暴風域はとりあえず押し黙ったまま抜けて、原罪では終始ふざけ倒して、とりあえず羽を散らした。運よく(?)僕とYuが原罪でループするバグに巻き込まれMyraとはぐれ、30分ほど原罪から抜け出せず、やっと転生を終えるとMyraはオフラインになっていた。手足が冷えたまま、脳みそが冷たいのにカッカしていた。このままでは寝られないだろうな、というかこれから先Myraと遊ぶ気になれねえな、でもそうなるとYuが悲しむかな、とつらつら考えが通り過ぎる。できたらYuと少し話したいな、と思った瞬間、Yuが「ねえさっきのこと、少し話したいんだけど…」と言った。そうしよう、心臓が冷えた感じが治らないよと言ったら、同じだと言って笑った。
 孤島の洞窟で、夜通し話した。YuはこのままじゃMyraと遊ぶ気になれない、でも面と向かって何か言おうとも思えないと言っていた。最悪ブロックするよと極論が持ち出される。僕も自分の考えを話した。たぶんMyraは何も気づいていない。僕らを待たせたことも、自分が放った言葉で僕らが傷ついていることも。僕らが何も言わないままMyraをブロックすれば、Myraは意味がわからず傷つくかもしれないな。彼女は気が強いけど、そのぶんまっすぐなひとだから、きっとちゃんと言葉にしたら聞いてくれるんじゃないか。そもそも国が違うから、時間に対する考えが違って、何かすれ違っているかもしれない。
 相手に傷つけられた時、どう動くか。その人に見切りをつけるならば、そのまま離れてもいいだろう。でも関係を続けるなら、関係が壊れたり嫌われたりその人が怒るかもしれなくても、思いを伝えることは、誠実だとか優しさとかと呼ばれるものなんじゃないか。人との関係で摩擦が起きると、自分の輪郭やあり方を問い直される。
 でもな。Yuと話しながら、僕は気が強いなと思った。正義感を振りかざしていないか。自分を抑えて平和を選択することも大事だ。細かなことを気にしないおおらかさとか、鈍感さも大事だ。僕のこの性格は、常に誰よりも自分に跳ね返って、自分で自分を傷つけている。
 後日、Myraとちゃんと話し合おうということにひとまず結論を落ち着けて、つらつら話したいことを話した。優しさのこととか、人との関係のこととか。Yuとの会話やつながりは、今はとても丁寧で深いものだけど、それもきっと変化していくわけで、それでも大事にしたいというようなことを話した。
 誰かと丁寧に話すとき、ちょっとした綱渡りのような緊張感の中で、相手の心の深度に触れることがある。そういうとき、砂の城を作っているような感覚がする。ふたりで丁寧に丁寧に城を作る。でもいつか突然波が来るかもしれないし、放っておけば風に吹かれて風化していく。でもそれでいいと思う。砂浜が残る。またふたりで来ることがあれば、また城を作ってもいい。そこに城あったという事実は変わらない。僕はそういう世界で生きている。

2020/6/30

 Myraと仲直りした。Yuとふたりで話したことをMyraに話した。ちゃんと聞いてくれて、気が付かなかった、ごめんなさい、許して、とまっすぐMyraは言った。わかってもらえてよかった。また3人で遊ぼうと話した。

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