水彩/雨音/六月/永久花
笑った瞬間で止まった君の隣で、今日が始まった。
北上する一つ目の巨鳥は、平和な街に影を落とす。
小説から取り出した栞の花は机上で可憐に咲いた。
ずっと減ることのない君の分の朝食はインテリア。
窓の外の景色は、梅雨の雨によって霞んで消えた。
連弾しながら見た二人での未来は、闇に包まれた。
君と別れる決意は無く、形式的な言葉で嘘をつく。
私が捧げるはずだった花束は、帰路の水溜りの中。
傘の中の嗚咽は夕立の雨音によってかき消された。
触れた肌の温度を思い出す。温かな掌。冷たい頬。
納得しがたい事実を何度も何度も反芻して苦しい。
雨は止み、恋物語は完結せず、幻想として消える。
晴れた通りを、君の化身とした花束を抱いて歩く。
【元ネタ】
ツミキ「スイサイ/アンブレラ/ロクガツ/ドライフラワ」
このnoteは、曲の私なりの解釈になります。