性格形成は家庭環境とは無関係? (5)──非相加遺伝
○非相加遺伝
こうしたコメントを頂き、少なくとも双生児法で用いる統計処理の方法が完全なものではないことは理解できた。もっとも安藤氏もこうした問題点の存在は把握していて、その一つとして非相加遺伝を挙げている。
非相加遺伝の例としては血液型がある。一卵性双生児の血液型が同じになる確率は100%(1)だが、二卵性の場合、二人が同じになる確率はその半分の50%(0.5)にはならない。
たとえばAB型とA型(AO)の両親から生れる二卵性双生児を考えよう。子供がA型(AA)、A型(AO)、AB型(AB)、B型(BO)になる確率はそれぞれ0.25なので、二人の血液型が同じになる確率は0.375となる。一方、A型(AA)と0型の両親なら子供は全員A型になるので1となる。日本人の場合、同様の計算をすると、二卵性双生児が同じ血液型になる確率は約0.6となり、0.5より多くなる。
逆に二卵性の相関係数が一卵性の半分(0.5)よりも小さくなる例としては統合失調症があるようだ(P90)。さらに性格においても、安藤氏は、あるモデルを使う計算式だと「非相加的な意味がある(P94)」とも述べている。
もっとも、専門家の方に尋ねたところ、相加遺伝ではなく非相加遺伝だからといって、共有環境の寄与分が増える可能性が高くなるわけでもないとのこと。