性格形成は家庭環境とは無関係? (4)  双生児法に対する疑問 

双生児法に対する疑問 
 性格のほとんどは遺伝+非共有環境で説明できるとしたこの手法に疑問を挟む余地はないのだろうか? 私は統計学には全くのシロウトなので、統計専門の方に尋ねてみた。
 私は当初、性格が質問紙法(アンケート)によって集計されることで、本来の性格(そんなものがあるとも思えないが)と比べてばらつきが生じることで、相関係数が低めに算出されてしまう可能性を考えた。しかし単に測定の精度が悪いだけなら、必ずしも「共有環境の影響が小さい」方向にバイアスがかかるとは限らないとのコメントを頂いた。
 その方が問題だと指摘したのは、質問紙法自身ではなく、集計の結果を相関係数を遺伝と環境因子との「貢献度」の単純な足し算として分解している点と、二卵性だと係数が0.5になるという二点で、以下のような趣旨のコメントを頂いた。
〔まず足し算であるべき根拠が乏しい上、貢献度を足し算したら相関係数になるというロジックにも無理がある。0.5倍して足し算をすればよいというのは、遺伝子と環境因子の独立性および線形性(足し算ができる)があるという強い仮定に基づいている。したがって、これに対する明確な根拠がない限りは「そういうモデルのもとでは寄与率がこうなるかもしれないが、現実を反映しているかどうかはわからない」という結論しか導けない。
 共有率が半分なら貢献度も半分というのも仮定に過ぎず、例えば「50%共有されていればかなり相関するが、それ以上共有されても特に相関は変わらない」といった可能性もあるわけで、かなり単純化された(ある意味根拠のない)定式化のように思える。〕
 つまり遺伝子共有率と環境要因が独立かつ線形関係にあると仮定する根拠が不明確なこと、そしてそもそも使用されている定式化が妥当なのか、という点に問題があるという指摘である。

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