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おぼんこぼんさんと舞台袖

不覚にも泣いてしまった。

番組の感想はきっとたくさんの人がいろいろなところで書いていると思うので、私がいちばん好きなシーンのことを書きたい。

最後に東洋館で漫才をするとき、舞台袖から2人が飛び出してゆくのを下の方から捉えた映像が、めちゃくちゃかっこ良かった。

私はこの瞬間を見るのが大好きだ。

賞レースのプロモーション映像や、べしゃり暮らしという芸人さんの世界を描いたドラマでもこのアングルがよく出てきた。

舞台袖から飛び出す芸人さんて、どうしてあんなにかっこいいんだろう。

お揃いの衣装でも違っても、スーツでもTシャツでも短パンでもいい。

上手と下手から飛び出す様子を見ていると、なんとも言えない高揚した気持ちになる。

あの一瞬で芸人さんのスイッチが入り、気迫が漲る。

おぼんこぼんの漫才を見たことはなかったけれど、あの瞬間に2人の積み重ねてきた歴史と漫才への想いがブワッと伝わってきた。あれだけで、すごい人たちなんだと分かった。

私は水曜日のダウンタウンもあの企画も好きだけれど、正直仲直りは難しいのではと思っていた。

あのコンビに限らず、仲違いというのはどちらかもしくは両者が自分の非を認めて謝れば成立するけれど、周りがしなさいと言っても歩みよれないものだと思うから。

周りの芸人さんたちやご家族のおっしゃることは理解できるけれど、きっと難しいのではないかと。

けれど、あの袖から飛び出す一瞬で周りが仲直りをさせたがっていた気持ちがとてもよく分かった。あの漫才が見れなくなってしまうのは、たしかに惜しい。

それくらい、カッコ良かった。

なにも知らない私ですら、仲直りができて本当に良かったと思う。

また、もしかしたら今後も、喧嘩をしたり長い仲違いのようなことがあるかもしれない。そのときは、もう仲直りしなくてもいいから、漫才だけはやってほしいと思う。そのくらい、見られなくなってしまうのが惜しい飛び出しだった。

年末が近づいてきて、またM-1の季節が始まる。あの舞台袖から、今年はどんな芸人さんが飛び出していくのだろう。

漫才ってやっぱり良いなあ。そう噛み締めた感動のシーンだった。