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ヤワゲネズミの飼育書

はじめに

ヤワゲネズミは、ハムスターやファンシーラットのようにまだペットとしての人気が高くなく、主にボールパイソンや他のヘビの生き餌として知られています。

そのため、ペットショップでの取り扱いは多くありません。

しかし、一部の愛好家たちは、ヤワゲネズミが素晴らしいペットになる可能性に気づき始めています。


ヤワゲネズミは、通常のマウスやラットほど人間に慣れることはありません。彼らは人間に触られることをあまり好まず、抱き上げられるのを嫌がります。

短時間なら抱えられることを許容しますが、すぐに身をよじり、飛び降りようとします。(持ち上げる際には、尾の根元を持つのが良いでしょう。)

そのため、抱っこして愛でるペットを求めている場合、ヤワゲネズミは適していないかもしれません。

また、小さなお子様には、親や年長者が注意深く監督されていない限り、ヤワゲネズミの飼育は難しいかもしれません。ヤワゲネズミは驚きやすく、力が強いため逃げられやすく、場合によっては噛まれる可能性があるからです。


しかし、ヤワゲネズミが若いうちから定期的に辛抱強く交流を続けることで、徐々に触らせてくれるようになり、噛むこともなくなります。

また、ヤワゲネズミは非常に社交的で、野生では1匹のオスと複数のメスからなるハーレムで生活しています。

彼らは一緒に過ごすのが大好きで、お互いの毛づくろいをし、大きな塊になって眠ります。


ヤワゲネズミのアダルトをオスメス隔離して繁殖しないよう飼育する楽しみもあるでしょう。

一方で、ヤワゲネズミが妊娠して子供を産み、その子供が徐々に育っていく様子を見るのはとても興味深いものです。

ヤワゲネズミのメスは、別のメスが産んだ子供にも自分の乳を与え、一緒に育てます。また、人間が親の目の前で子供たちを持ち上げようとすると、果敢にも手に飛びかかって噛みついてきます。

親たちの愛情を受けて育つヤワゲネズミの子供たちはとても愛くるしく、あなたもすぐその虜になるでしょう。

加えて、ヤワゲネズミは他のマウスやラットと比べてほとんど無臭であり、家の中で快適に飼育できる点が大きな利点です。

臭いを抑えるために床材に気を遣ったり、掃除に時間をかける必要がないことは、その分の時間と労力を、彼らのお世話に費やすことができるということです。


このような愛情深く、かわいらしいヤワゲネズミたちを健やかに飼育できるよう、本書を記しました。

みなさんの良きヤワゲネズミライフの一助になることを願ってやみません。

著者

 



第1章: ヤワゲネズミとは

1-1. ヤワゲネズミの特徴

ヤワゲネズミは、小型の齧歯類です。

・齧歯目 ネズミ科 マストミス属 ヤワゲネズミ

・別名:プチラット、マストミス、サハラタチチマウス、African Soft Fur(ASF)


①.体の大きさと形状

・体長: 約8~15センチメートル

・体重: 60~130グラム

・マウスより大きく、ラットより小さい。ゴールデンハムスターよりは小さく、他の種類のハムスターより大きい

・メスの乳頭は8~12対で、他の小型げっ歯類が通常持っている5~6対よりもかなり多い


②.食性

・主に草食性: 種子、穀物、果実、葉、根などを食べる

・マウスやラットと比較して総摂取カロリーのうちタンパク質から摂取する割合が多い


③.生活習慣

・夜行性: 主に夜間に活動する

・社交的な性格で、仲間とコミュニケーションをとることが多い


④.寿命

・およそ2年程度


⑤.繁殖

・高温多湿の環境があれば年中可能。具体的には気温は日中28℃、夜間25℃で湿度は50~70%で良く繁殖する

・20~22℃の温度帯でも、落ち着く環境があればペースは落ちますが繁殖する

・妊娠期間は21日~25日、平均出産数は10匹


⑧.天敵

・天敵: 猫、猛禽類、ヘビなど


⑨.知能

・学習能力があり、簡単なトリックや迷路を覚えることができる

・社会的な行動を学び、仲間との協調性を持つ


⑩. 野生化での生息地:

・自然環境: ヤワゲネズミは西アフリカ地域の草原、森林、都市部など、多様な環境に生息しています。特に草地や農地でよく見られる

・巣穴: 地面に自分で掘った巣穴を作り、その中で生活する


第2章: 飼育の準備

2-1. 必要な器具と設備

ヤワゲネズミを健康で快適に飼育するためには、適切な器具と設備を用意することが重要です。以下は、飼育に必要な主な器具と設備の詳細です。

①. ケージ:

・サイズ: ヤワゲネズミは活発に動き回るため、十分な広さが必要です。最低でも60cm x 40cm x 30cmのケージが推奨されます。

・材質: 金属製のケージが一般的ですが、プラスチック製やガラス製のケージも使用できます。通気性が良く、逃げ出せない構造であることが重要です。


・ハムスター飼育用のケージを流用することができます。

・市販の衣装ケースを加工してケージとして利用することができます。


②. 床材:

・床材: 床材には、柔らかくて吸湿性のある素材を使用します。ウッドチップやペーパーベースの床材が適しています。

・ウッドチップの場合は、杉はアレルギーが出やすいため避けます。アレルギーのでにくい広葉樹のものが良いでしょう。


③. 隠れ家

・隠れ家: ヤワゲネズミは隠れ場所があると落ち着きます。また、子育ても隠れ場所で行います。ケージ内に小さな木製の家等の隠れ家を設置すると良いでしょう。


④. 遊び場と運動用具:

・ホイール: ヤワゲネズミは運動が好きなので、ケージ内にホイール(回し車)を設置します。適切なサイズ(小さすぎないこと。約20cm以上)で、静かに回るものが理想です。

・トンネルやおもちゃ: ケージ内にトンネルや噛んでも安全なおもちゃを配置し、ヤワゲネズミの好奇心を刺激します。


⑤. 給水器と給餌器:

・給水器: 給水ボトルや小さなボウルに新鮮な水を常に用意します。給水ボトルは衛生的で、こぼれる心配が少ないため便利です。

・給餌器: 固定式の給餌器を使用し、ペレットやフードを清潔に保ちます。食べ残しや汚れは定期的に取り除きます。


⑥. 温度と湿度管理:

・温度: ヤワゲネズミは27℃前後の室温が最適です。急激な温度変化を避け、直射日光が当たらない場所にケージを設置します。

・湿度: 適度な湿度(60%前後)を保つことが重要です。湿度が低すぎると乾燥し、高すぎるとカビや病気の原因になります。


⑦. 掃除用具:

・清掃用品: ケージの清掃には、専用のブラシや消毒剤を使用します。ヤワゲネズミに安全な製品を選びましょう。

・ゴミ袋や容器: 汚れた床材や糞を処理するためのゴミ袋や専用の容器を用意します。


⑧. その他の用品:

・毛布やタオル: ケージの下に敷いて、防寒対策を行います。

・運搬用キャリーケース: 病院へ行く時や一時的に移動させる際に使用します。


これらの器具と設備を適切に用意することで、ヤワゲネズミが健康で快適な生活を送ることができます。


※これ以降が有料記事になります。なお、本記事と同じタイトル・表紙の書籍がKindleにもありますが、同じ作者が記載したものであり、内容も同じになるよう努めています。


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