保育園を設計していたときに考えていたこと 01
設計をはじめる前に
大学を卒業して入社した設計事務所は、女性が多い設計事務所で私の入社する少し前から保育園や幼稚園などの設計の仕事が増えていました。社員も実際に子育てしているママさんたちが多く、設計事務所に通勤するママに連れられて、赤ちゃんも一緒に出勤してくる、そんな自由な環境でした。
入社していくつかの保育園の設計に関わりましたが、保育園って本当にたくさんの種類があるのです。
建物の面積の違い
企業主導型のテナントサイズから、まちに古くからあるその地域のメインの園、街中の敷地が限られた中だったり、郊外の田んぼの中の広い敷地だったり。
保育方針の違い
一斉保育なのか、コーナー保育なのか。モンテッソーリ、シュタイナー、レッジョエミリア、さくらさくらんぼなどなど、たくさんの保育の手法の違い。
経営方法の違い
企業主導型、宗教法人運営、地域組合運営などなど。園長や理事長の経歴も多種多様でした。
保育園の視察で感じたこと
保育園の設計をするにあたり、いろいろな園を見学させていただきました。
地域に開かれたカフェや、活動ごとの棟が緩やかなスロープでつながった
しぜんの国保育園(東京)
レッジョ・エミリアのアトリエのある
オルト保育園(東京)
福岡で本場のモンテッソーリ教育環境を作っている
エミールこども園(福岡)
などなど。
これらの保育園の空間の作り方は、私が幼少期に体験してきた「一斉保育」とは一線を画すものでした。
場所を作ること・環境を整えることが、こどもたちのみならず働いている先生方にも影響していると感じました。
うちの園、気になる子が多いんです
私がちょうど設計をはじめた10年ほど前、「気になる子」という言葉をよく聞くようになりました。いわゆる発達障害グレーゾーンの子どもたち。
保育園の設計のヒアリングに行くと、「気になる子」たちへ関わり方に苦労されているような話をきいたり、彼らのために落ち着けるスペースをつくってほしいという要望もあがってきたりしました。
いろいろな園を視察した実感として、どうしても気になる子が目立ってしまう環境もまたあるのだろうなと感じることもありました。
均質的な空間での一斉保育では、どうしても外れてしまう子が目立ってしまう。
そういうこどもたちが落ち着いてすごせる状況ってどんな場所なのだろうか?
困った個性として扱われなくて済むような関係性はどんな状況だったら築けるのだろうか?
保育園の在り方・園舎の在り方を丁寧に再構築していくべきだと感じました。
(つづく)
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