東海道新幹線の運休でむしろ楽しい気持ちになって帰ってきた話
2024年7月22日。東海道新幹線で大規模な運転見合わせがありました。328本が運休し、およそ25万人に影響が出たとみられているそうです。
ちょうどそのとき、関東在住の私は家族3人で伊勢にいました。しかも、名古屋〜浜松間で運転を見合わせた、まさにその新幹線に乗る予定でした。
しっかり運休に引っかかり、今回の旅行最大のハプニングに見舞われた私たちですが、意外にも楽しい気持ちで旅行を終えることができました。
今回の家族旅行はハプニングまみれでした。まずはそんな旅行中の話から……
ハプニングまみれのお伊勢参り
わりと大事な忘れ物
今回私たち家族は、先月から計画していたお伊勢参りに行きました。一週間前は曇りで涼しい天気予報が出ていたのに、出発当日になってみると、それはもう暑さが憎らしいくらいのいいお天気でした。
事前に予約していた新幹線に、ちょうど間に合うように家を出ると、すでに外気温が高くなってしまって外を歩くのがつらい。そんな判断をした私たちは、早起きして、予定より2時間以上早く家を出ました。
それでも暑かったのでタクシーを呼んで、家の前から最寄り駅へ。地元の電車に乗り、十数分が経過し、なんとなく退屈になった頃。
母が突然、大きな声を出しました。
「スマホ忘れた!」
早起きに慣れていない母が寝ぼけて、家にスマホを置いてきたというのです。退屈になってスマホゲームをしようと思い立つまで、すっかり忘れていたようでした。
2時間早く家を出てからまだ30分くらいしか経っていないので、取りに戻ることはできます。
でも、今から反対方向の電車に乗って、家に戻るのかと思うと……。その頃には気温も上がっているだろうし……。
私たちは、全会一致で母のスマホを放置してそのまま進むことを選びました。デジタルデトックスだ!
思えば、これがハプニングまみれの珍道中の始まりでした。
キャリーケースの破損
今回、数泊ぶんの荷物を、両親はキャリーケース、私はリュックサックに、それぞれ詰めていきました。
乗り換えで、キャリーケースを転がしている親を見ながら、私は内心首をかしげていました。
キャリーケースって、こんなにガラガラゴロゴロうるさいものだっけ? まあ、私は普段あまり使わないし、こんなものかな……。
宿泊地の鳥羽駅に着き、レンタカーショップへ移動。日陰を選んでなんとなく縦一列になったとき。
母が突然、大きな声を出しました。
「タイヤのゴム、はがれてる!」
さっきからやたらうるさかった父のキャリーケース。ひとつのタイヤのゴムがはがれて、プラスチック製のタイヤの内側がむき出しになっていたのです。ゴムがないから弾力もないし、厚みも足りない。そりゃうるさいわけです。
しかも、ホテルに着いてよく見てみると、もうひとつのタイヤに割れているものもありました。ちょっと触ったらそれもゴムがぽろっと取れる始末。
4つのタイヤのうち半数の2つが、同じタイミングで大破してしまったのでした。
30年近く使った働き者のキャリーケースとはいえ、今ここで、しかもタイヤ2つ同時に壊れるなんてことある? もう使えない規模感で?? それが、本当にあったんだなあ……。
ホテルで涼むことにしていた昼の時間帯に、私たちは伊勢のイオンへ行き、新しいキャリーケースを購入。中身を詰め替え、ホテルの方で古いものを処分してもらうことで手を打ちました。
余談として、キャリーケース30%OFFのポスターに釣られて、ついでに私のぶんもキャリーケースを父におねだりしたのですが、割引は特定のブランドのみだったため、しっかり2個満額払うはめになったというおっちょこちょいミスもありました。
本来の目的、忘れてた!
そんなこんなで新品のキャリーケースを入手し、昼食に海鮮丼をいただき、伊勢から鳥羽へ戻ってきた私たち。道すがらに水族館やフェリーが見える道を、レンタカーで走りながら、「フェリー乗りたいな」と父が言い、「水族館行きたかった」と私が言った、そのとき。
母が突然、大きな声を出しました。
「お浄め塩スプレー買ってない!」
お浄め塩スプレーとは、伊勢神宮外宮近くに本店があるおいせさんで売っている、その名の通りお清めの効果があるスプレーです。
俗称としては、「死ねどすスプレー」という物騒なあだ名があり、そのくらい浄化の威力が強いと噂があります。
そもそも私たち家族がお伊勢参りに行こうと思い立った、その発端は、そのお浄め塩スプレーの威力をSNSで見た私が「どうせなら通販じゃなくて買いに行こう」と言ったこと。
本来の目的、すっぽ抜けてた――!!
気付いたのが15時すぎ。おいせさん本店の閉店時刻が16時。今いるところからお店まで車で30分。
慌てて引き返し、閉店直前にお店に突撃して、本店限定パッケージのお浄め塩スプレーを、人数分ちゃっかり購入しました。危なかった……。
そして、7月22日。
伊勢神宮への参拝は、ハプニングもなく無事終えられた私たち家族。帰宅予定の7月22日を迎えます。当初は、特急と新幹線でさっさと帰って家で寝よう、という計画をしていました。
朝食の開始時刻は9時30分。鳥羽駅から特急が発車する時刻は11時02分。
……間に合うのかこれ? ギリギリじゃない??
なんとなく暗雲の気配を感じた私たちは、朝食後すぐチェックアウトできるように荷物を作りました。そして、父が事前精算をしにフロントへ。私と母は部屋に残りました。
手持ち無沙汰になった母が、テレビをつけました。
母が突然、大きな声を出しました。
「東海道新幹線、運転見合わせ!?」
テレビには、「東海道新幹線 名古屋~浜松間運転見合わせ」のテロップが出ていたのです。私たちが新幹線に乗る区間は名古屋から東京方面。見事に引っかかってしまいました。
レンタカー延長派VS公共交通機関遠回り派
私と母は、事前精算を終えて部屋に帰ってきた父に事情を説明しました。さて、どうやったら帰れるだろう?
ここで、大きくふたつに意見が別れました。今借りているレンタカーを延長して帰り、地元に乗り捨てるか。公共交通機関でどうにか遠回りして帰るか。
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