奥田@有料版vol.295:契約者名義変更に関する興味深い論文【本記事は無料で読めます】
※本記事はまぐまぐの有料メルマガ「奥田雅也の『無料メルマガでは書けない法人保険営業ネタ』」の記事を個別に販売しております。
お気に入りの記事を個別に購入して頂いても結構ですし、まぐまぐにて購読申込を頂ければ1ケ月は無料で購読が可能です。
詳しくはこちらのページをご確認下さい。
なおこちらのオンラインサロンにご登録を頂ければ、バックナンバーを177号までプレゼントいたしますので、よろしければチェックしてみて下さい。
< 2021/03/10配信>
■━━━━━━━━━━━━━━━━■
奥田雅也の
「無料メルマガでは書けない法人保険営業ネタ」
■━━━━━━━━━━━━━━━━■
奥田@有料版vol.295:契約者名義変更に関する興味深い論文
■━━━━━━━━━━━━━━━━■
いつもお世話になります。
奥田です。
先日、少し興味深い論文を
教えて貰いました。
〇法人から従業員に譲渡された
生命保険契約に関する課税の在り方
https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/kenkyu/ronsou/99/02/02.pdf
税務大学校の教官が書いた論文で、
法人から個人へ契約者変更がされる
生命保険契約についての
課税についていろいろな確度から
検証されています。
お時間のある時にぜひ、
ご一読頂きたいのですが、
「時間がない」
「読むのが面倒」
という方のために簡単に
まとめてみますw
この論文で指摘している問題点は
大きく2つあります。
<問題点1>
低解約返戻金タイプの生命保険を
法人で契約し、
解約返戻金が増える前に
個人へ名義変更をすれば、
低額な解約返戻金で
経済的な利益供与がされる。
<問題点2>
個人で保険料を支払って
解約返戻金が増えた時点で
解約した場合には、
一時所得扱いとなるため、
2分の1しか課税所得の対象とならない。
この2点を踏まえて、
低解約返戻金タイプの保険を使った
租税負担の軽減を防止する
方策を検討しているのが、
この論文です。
そしてこの2つの問題点に対して
対応策として以下のことを
検討されています。
<生命保険契約の権利に関する
評価方法の変更>
ご存知の通り現在は、
所得税基本通達36ー37を適用して
契約者変更時点での解約返戻金を
時価としているが、
最も適切な時価評価は
「責任準備金」としています。
ただ責任準備金は、
一般的には開示されておらず、
責任準備金で評価するには
保険会社側の協力が必要であり、
責任準備金の開示については、
保険会社側の協力が得られにくいので
現実的ではないと言っています。
※営業保険料から付加保険料を
差し引いたものが責任準備金で
あるために、責任準備金の開示は
付加保険料の開示につながり、
保険会社の営業機密を公開するに
等しいので協力が得られないと
解説しています・・・・
では責任準備金で時価評価が
出来ないとなれば、
それ以外の方法として
以下の評価案を提示しています。
・保険料総額
・最高解約返戻率
・最高解約返戻金の現在価値
・同等の保険契約との比較
この論文内では、
納税者の納得感等を考慮して、
・終身保険や養老保険は
保険料総額
・定期保険等は最高解約返戻率
で評価するのが良いのでは?
と締めくくっています。
次に個人での課税についてですが、
解約等により保険利益が実現した時点で
現在は所得税等の課税が発生しますが、
この論文では、支払保険料と
契約者変更時点での時価評価の差額
が消滅している点を指摘しており、
ここの是正についても検討しています。
<個人課税の問題について>
いろいろと考察していますが、
最終的には特別措置によって、
・保険契約が譲渡された時点から
5年以内に保険給付等による
収入を得た場合は、
譲渡した年分の給与所得として申告
・5年以上経過後の場合は、
保険給付等の実現時点における
雑所得として申告
という案を提示しており、
これによって
「今後、行き過ぎた租税負担の
軽減を可能とする生命保険商品の
開発、販売に歯止めがかかるという
効果も得られるものと考える。」
と締めくくっています。
いかがでしょうか?
なかなか味わい深い論文ですよね・・・
実際に実務上、どうするか?
という点には触れておらず、
具体的に何かが進んでいる
訳ではないとも聞いています。
そのため、今すぐ何かを
対処する必要があるのかどうか?
はないとは思いますが、
課税当局として問題意識を
持っている事は間違いないという事は
覚えておくべき事実です。
そしてこれからこのプランを
提案する場合には、
この部分のリスクについても
キチンと説明をして契約者納得の上で、
進めるべきでしょうね・・・・
ただこの問題を解決する方法として、
・法人から個人への契約者変更についての
時価評価を、保険種目で決める
・個人で保険利益が実現した際には
一時所得以外の課税区分で課税する
という一案を示している点は
注目すべきことでなないでしょうか??
/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
編┃集┃後┃記┃
━┛━┛━┛━┛
先週号でお届けをした内容は
記事でも書きました様に
新日本保険新聞生保版の
3月1日号に掲載したコラムを
大幅に加筆修正しています。
その大元のコラムですが、
相当な反響を呼んでいるようですw
特に出版元が「保険税務のすべて」を
出している新日本保険新聞社さんだけに
その反響がかなり来ているとか・・・
そのため、3月22日号の紙面で
「保険税務のすべて」編集長の
榊原さんが記事を執筆して
掲載することになったそうです。
本紙面を読める方は
来週末に届くシンニチ生保版を
楽しみにしておいて下さい!
私もワクワクしていますw
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
配信責任者
株式会社サンライズコーポレーション
メールマガジン配信事務局 奥田
info@kigyouhoken.net
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
記事を読んで「良かった!」「参考になった!」「役に立った!」と思ったらお気持ちを頂けるとウレシイです!