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<2021/09/13配信>
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奥田雅也の
「無料メルマガでは書けない法人保険営業ネタ」
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奥田@有料版号外:令和時代の法人保険販売
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いつもお世話になります。
奥田です。
保険情報の9月分連載コラムに
執筆した内容を
井上得四郎先生が発行されている
メルマガ用に修正をした分が、
よく書けていると自画自賛しております(笑)
今回はその内容をノーカット版で
お届けしますのでご一読下さいm(__)m
まぁ今まで本メルマガで書いてきたことを
寄せ集めただけではありますが^^;
2019年の法人税基本通達改訂により、
法人向け保険販売の外部環境は一変しました。
それまで横行していた損金メリットと
課税繰延による税メリットを訴求した
生命保険提案はほぼ封じ込められました。
ただ冷静に考えると、
法人における生命保険機能のうち、
支払保険料の損金割合が変わっただけで、
それ以外は何も変わっていないというのが実態です。
多くの中小零細法人経営者にとって
保障が必要なことと、
安定経営のための資金準備が必要なことは
何も変わっていません。
この事実を冷静に見つめて再認識することで、
今後の法人向け保険提案の道筋が見えてきます。
<経営者の保障>
法人に内部留保された資金が
しっかりとある場合や、
経営者に万が一のことがあっても
経営状況に変化がない場合には
法人において経営者への保障目的での
生命保険は不要かも知れません。
ですが、内部留保が乏しい場合や、
経営者に万が一のことがあった場合に
経営状況が変化して資金繰りに困る場合には
経営者保障としての生命保険が
必要になります。
このことは、生命保険について最初に学ぶ
「預金は三角・保険は四角」
という言葉に集約されます。
十分な内部留保ができるまでの間や、
経営者に万が一のことがあっても
影響がないような仕組みを作るまでの間の
「時間を買う」のが生命保険の機能です。
この時間を買うという概念を
「預金は三角・保険は四角」
という表現で表しています。
「預金は三角・保険は四角」は、
保険機能の根幹なす考え方であり、
個人・法人は関係ありません。
保険金受取人にとって
時間を買う必要性があれば
生命保険付保による保障確保は
必要です。
法人において、
経営者に万が一のことが発生した場合に
法人がどうなるのか?
法人が取るべき方法は
「継続」「売却」「清算」
の3つしかありません。
その法人の事情や状況によって
どの方法を取るかは異なりますが、
それぞれにおいて資金不足が
想定されるのであれば、
その資金手当てとしての
生命保険が必要になります。
同時に経営者は、法人において
生命保険が不要な状況(ゴール)を
イメージした上で、そのゴールに
近づけるために法人経営をどうするか?
を考えて実行していくことになります。
この
「預金は三角・保険は四角」=「時間を買う」
という概念を
リスクマネジメント的な表現をすると
「リスクファイナンシング対策における
リスク移転」になります。
リスク対策はリスクコントロールと
リスクファイナンシングに分類されます。
リスクコントロールは
リスクが顕在化しないようにしたり、
顕在化したときの被害を
少なくするようにするといった事前対策と、
顕在化した際に被害が
拡大しないようにする事後対策に分かれます。
そしてリスクが顕在化した際に生じる
経済的損失に備えるのが
リスクファイナンシングです。
このリスクファイナンシングも、
経済的損失に耐えうるだけの財務状況を
作りだすための保有対策と、
経済的損失を補てんするための
「調達・移転対策」に分かれます。
内部留保を確保して
保険が不要な財務状況を作りだすことが
「保有対策」で、
十分な内部留保ができていない状況においては、
経済的損失を補てんするための
「移転対策」として保険を
活用することが必要になります。
保有対策が出来上がるまでの間、
「移転対策を講じて時間を買う」ことが
保険の本来機能です。
このことは何も変わっていませんし、
この対策は保険という金融商品が
無くならない限りは
未来永劫変わることはないでしょう。
<法人における資金準備>
前述の通り、リスク対策における
リスクファイナンシングについては、
リスクが顕在化した際の経済的損失に
耐えうる財務状況にすることが
「保有対策」になりますが、
この保有対策の中には資金を
積立することも含まれています。
有事の際にすぐに使える資金を
少しでも多く準備しておくことで、
法人のリスク対応度を上げることに繋がります。
もうお気づきだと思いますが、
経営者に保障が必要な場合で、
資金繰りに余裕がある場合には、
生命保険を活用すれば保障を確保しつつ
資金の積立も可能になるため、
移転対策と保有対策が一発で行えるという
特長があります。
幾らの保障が必要で、
その保障を確保するための資金として
幾らまで拠出できるか?
ということが分かれば、
保険商品の選択が決まってきます。
ある程度、資金が拠出できるのであれば
終身保険や養老保険の活用になでしょうし、
さらに変動リスクが取れるのであれば
外貨や変額の終身・養老(有期)の活用も
視野に入ってくるでしょう。
あまり拠出できる資金が多くないのであれば
平準定期保険の活用になるでしょう。
必要保障額・拠出可能額と積立金(解約返戻金)
の推移がポイントになります。
この保障を確保しつつ資金を積立するために
法人で生命保険を活用することも
何も変わっていませんし、
今後もこの活用法は変わらないでしょう。
ただ2019年の法人税基本通達改訂により、
保障を確保しつつ資金積立をする際に
法人が支払う保険料の経理処理が
一部変わっただけです。
この資金準備を行う際に
もう一つ考えておきたいのが、
法人における含み益が必要かどうか?
という点です。
次はこれを詳細に考察します。
<法人における含み益>
冒頭に2019年の
法人税基本通達改訂において
「損金メリットと課税繰延による税メリットを
訴求した生命保険提案はほぼ封じ込めらた」
「それ以外は何も変わっていない」
と書きました。
ポイントは「損金メリットによる課税繰延」は
効果がなくなりましたが、課税繰延効果自体は
無くなっていないという事実です。
法人税基本通達の改訂により、
最高解約返戻率を用いて判定された
損金割合に応じて資産計上は発生しますが、
資産計上額以上の解約返戻金があれば
その差額部分は益金として計上しますので、
含み益は縮減しましたが
相変わらず存在しています。
さらに言えば、通達改定後も
支払保険料の全部または一部を
損金に計上できますので、
課税の繰延効果は変わらずに存在してます。
ただ、通達改訂にともなって
「支払保険料の損金計上による税軽減効果が減っただけ」
だということがお分かりいただけるのではないでしょうか?
この「含み益」はリスクファイナンシングにおける
保有対策の一部に活用することもできます。
例えば、今回の新型コロナウィルス感染症の
拡大により売上が激減したようなケースや、
自然災害等で事業停止してしまったような場合で、
赤字に転落する際に含み益を
実現化することで法人決算書を
整えることも可能です。
さらには役員退職金支給時に
役員退職慰労金引当金を計上していない場合には、
含み益を実現化することで
役員退職金支給時に発生する損金に
補充することも可能です。
法人の状況・実態によっては
含み益を形成する必要があるケースもありますので、
このことは法人契約の生命保険において
支払保険料の全部または一部の損金計上が
認めらている場合には変わりなく得られる機能です。
ただ、ここで注意しなければいけないのは、
この含み益を実現させた際に
保障を継続できるかどうか?
保障を継続させる必要がある場合には、
解約による含み益の実現ではなくて
保険期間の短縮や
変換権の行使(コンバージョン)によって
実現させる必要があるという点です。
このことを踏まえて提案時には
保険会社・保険商品を選んでおく必要があります。
この辺りのハンドリングこそが
保険募集人の腕の見せ所であり、
こうしたハンドリングの効く商品が
法人マーケットにおいて売れ筋となるでしょう。
以上、考察してきました通り、
生命保険の機能は何も変わっておらず、
税務ルールといった外部環境だけが
変化してきているのが実態で、
この外部環境変化にあまりにも多くの
保険営業パーソンが踊らされているように思います。
違う表現をすれば、
「生命保険の機能に着目した保険提案を
してこなかったが故に、外部環境変化に
慌てふためいている」
というのが実態なのではないでしょうか?
このように考えますと、
外部環境が変化したとしても
生命保険の機能は何も変わらないのですから、
この変わらない機能をフル活用することこそが、
今後の法人向け生命保険販売における
要点であると考えています。
<ハーフタックスプランの注意点>
これらを踏まえまして、
昨今の「ハーフタックスプランブーム?」を
考えますと面白い側面が見えてきます。
2019年のバレンタインショック・
2021年のホワイトデーショックを踏まえて、
法人向けに税効果が得られる提案は
養老保険を活用した
ハーフタックスプランしかありません。
ただ、ここまで読んで頂いた皆さまは
もう気付いておられると思いますが、
税効果に着目をしたハーフタックスプランは
本末転倒でしかありません。
あくまでも法基通9─3─4(3)は
全従業員向けの福利厚生として
導入をした場合に1/2損金を
認めるという主旨です。
さらに取締役・理事等の役員は
法人との委任契約であり
雇用契約ではありませんから、
役員に対する福利厚生という概念は
存在していません。
ですから、あくまでも従業員に対して
死亡保障を提供しつつ、
資金の積立を行うことで、
退職慰労金の一部に充当するために
養老保険を活用するのが本来主旨です。
この本来の主旨に則って
養老保険ハーフタックスプランを活用した
福利厚生制度は、
従業員に対する保障を確保しつつ
資金の積立を行い、
しかも保険料の1/2が損金になるために
含み益も形成できるという
法人生命保険が持つ本来機能を
フルに活用したプランです。
ただ、この含み益はあくまでも
法人福利厚生に活用するための含み益であり、
リスク対策全般に使える含み益ではない点は
注意が必要です。
<終わりに>
2019年の改訂により
法人向け生命保険に関する支払保険料の税務は
一定の決着をみたと私は考えています。
ただ2019年の改訂内容は
税の専門家である税理士の理解を
越える仕組みであるため、
将来的には変更の可能性があるという
意見もあります。
当面は支払保険料に関する
経理処理ルールの変更は考えにくいものの、
2021年の所基通改定のように
枝葉の部分の細かな取り扱いは
変わる可能性は大いにあると考えます。
2019年の法基通、
2021年の所基通改定を経た今、
私が考えていることは
「税効果に着目した生命保険提案は
完全にオワコンだ」
ということです。
私は保険業界に入って26年になります。
ほどなく生損保子会社による相互参入が始まり、
生命保険を取り扱い始めてから25年目に入りました。
この25年間における生命保険営業の経験は、
大半が「税効果に着目した保険提案」でした。
この長年慣れ親しんできた
生命保険活用術をすべて捨て去るには
心理的抵抗感は強くありますが、
何度も書いてきました通り、
外部環境が強制的に変化したため、
法人生命保険業界で仕事を続けるには
すべてを捨て去る必要がるのでは?
と考えております。
実際に現場では
支払保険料に関する経理処理や
出口での経理処理など、
必要な税務処理は説明しますが、
保険提案の中に税効果を訴求することは
すでに止めました。
当たり前の機能を
当たり前に説明をして訴求をしているだけなので、
偉そうに言うことではないのですが。
ご存知の方も多いと思いますが、
某社より変額定期保険が
新発売されるとの情報が入ってきました。
その案内を見ていると、
低コストで比較的大きな保障を得られる
レバレッジ機能や、
運用によっては含み益形成も期待できるなど、
面白いと思える機能があります。
この変額定期保険を保障が必要で、
かつ比較的資金に余裕があり、
「運用リスクを取っても構わない」
という法人経営者に
正しく届けることができれば、
非常に良い商品だと思いました。
間違っても運用実績頼みの
課税繰延に着目した30万円特例目的では
活用して欲しくないですね・・・
(個人の意見です)
新型コロナウィルス感染症の拡大を経験した
日本は、絶対にコロナ禍前の状態には戻りません。
あらゆるものが「新しい様式」に変わり
今まで体験したことのない社会になると
私は思っています。
そのような状況下で経営をする経営者は、
非常に難しい意思決定を迫られていると思います。
ただ我々は、保険のプロとして
そのような経営者にお役立ちできる
生命保険活用法を知っていますので、
一人でも多くの経営者に
お役立ちしていきたいと私は考えていますし、
本稿を読まれて何かの参考にして頂ければ
本当に幸甚です。
奥田雅也
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編┃集┃後┃記┃
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2013年4月から保険情報さんでは
コラムを連載させて貰ってきました。
毎月1本、約3,000字を
ケーススタディとして
事例をもとに書いて来ましたが
これがなかなか大変でした(汗)
あまりに大変でしたので
私から連載を終らせて欲しいと
お願いしたのが実情です・・・
ご愛読を頂いた皆さまには
感謝申し上げます。
ありがとうございました。
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配信責任者
株式会社サンライズコーポレーション
メールマガジン配信事務局 奥田
info@kigyouhoken.net
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