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夢で久しぶりに会った人

思いがけず夢に出てきた人は夢の内容がどうであれ、その人が自分の事を想っているらしい。

そんな馬鹿な!平安時代かよ!自分の脳が記憶整理してるだけ!って声もあるだろう。私も思うには思う。だけど、想われてるって悪い気はしない。

そんな話を聞いてからは、知っている人が夢に出てくると、ちょっと意識してしまい、その人の事を思い出して、考えてしまう節がある。


昔、好きだった人ならば、尚更。


その人は大学時代に出会った年上の社会人で柔らかい雰囲気を持つスマートな人だった。

私は程よく女子大生を謳歌していたので、社会人との合コンをやる機会があった。思い返すと、あわよくばその日にお持ち帰りを狙ってくるような人にほぼ居なくて、ただ楽しい平和な飲み会をしていた。私は対人運がめちゃくちゃいい。

そんな中、気になる人に出会ってしまった。

ある日の飲み会で、私の向かいに座った人。飲み会の間は、ほぼずっとその人と話をしていた。普段ならば、上手く色んな人と話をして、全体の空気感を読んだりするのに、その人と話すのが楽しすぎて、夢中になっていた。約2時間があっという間に終わった。

多分この時にはもう好きになっていた気がする。

なんてチョロいのだろうと我ながら思うけど、私はいつも出会った瞬間に何か感じた人に好意を寄せる傾向にあって、私としてはよくある話。羨ましいと言われる事があるけれど、数年単位に1人いるかいないかの確率だから、良いんだか悪いんだかわからない。

今、思うと相手がかなり合わせてくれていた気もする。何を話したかはもう覚えていないけど、私の話を聞いて、笑ってくれたのをよく覚えている。この人とは2人でまた話したいと思った。

大学生にとっては、ただ社会人というだけで素敵に見えるマジックだったのかもしれない。失礼ながら、誰もが羨むイケメン系でもなかったから、大学の友達からは意味がわからないと言われた。

だけど、好きだった。

就活が終わり内定を貰ったら、お祝いをしてもらったり、社会人1年目になっても、関係は続いた。私が会社の愚痴を言ってしまった日から歯車が狂った。私も社会人1年目の無敵期で楽しい事がありすぎて、静かな終わりの音がしていたのに、気がつかないフリをして、感情に蓋をした。


それからだいぶ月日が流れて、キラキラでフレッシュな1年目だった私も、仕事に追い込まれて不眠不休に働く日々を送っていた。偶然、SNSを開いたら、懐かしいその人を見かけた。心にぽっかり穴が空いていて、魔が差したのかもしれない。思わず連絡してしまった。

久しぶりの連絡にお互い懐かしさからか、会う事になった。久しぶりだったのに、やっぱり楽しくて、蓋をしていたはずの大学生の私が蘇ってしまった。私も少しは大人になって、また歯車が回り始めた気がした。

私は、ずっと言えなかったことがあった。大人になったから、ちょっと近づいた気がしたからか、今度こそ言えると思った。


「好きです。」


相手から返ってきた言葉は


「なんで俺がいいのか、わからない。条件だけで見てるように感じる。」


だった。

歯車は回っていなかった。いや、元々回ってもいなかった。

ショックすぎて、私は何を返したかは全く覚えていない。辛辣な言葉だけど、本音だと思った。

大学生の私がポロポロと涙をこぼしていた。

なんで好きだったんだろう。

私は直感的に好きになるから、理由を求められると上手く言葉に出来ない。だけど、これだけは絶対言える。相手のスペック条件で好きになったわけじゃない。今度は大きくガラガラ音を立てて崩れてしまった。

なんで好きだったんだろう。

夢に出てきた人の事を久しぶりに思い出したら、またその問いが沸き上がってきた。

大学生の私はその人に笑ってもらいたいと思って、次はどんな楽しい話をしようか考えたり、話を上手く組み立てるように意識するようになった。多忙でも私もカッコよくバリバリ働く人になりたい、就活も良い報告がしたいと頑張った。

だけど、その人にとっては、きっと若くてちょっと面白い可愛い子止まりでしかなく、オンリーワンにはなれなかった。もっと早い段階で告白しても良かったのに、言えなかったのは、どこかで私もわかっていたからかもしれない。

もしその人と接する上で私が感じたり、考えていた事を素直に伝える事ができていたら、違う未来を掴んでいたのかもしれない。せめて、好きな気持ちだけは正しく真っ直ぐ届けることができたかもしれない。


ずっと頭の中で、タラレバを繰り返していたら、ひとつ気がついた事があった。


私は自分自身をわかっていなかった。

自分の心の声にちゃんと耳を傾ける事が出来てなかった。だから、私の事を相手に伝えて、理解してもらう事が出来なかった。私はそれが出来なかった事を凄く後悔した。当たり前なことにも思う。だけど、私は今まで全然気がついていなかった。

出来ていたからといっても、相手の気持ちが変わるわけでも、必ず恋が叶うわけではない。だけど、自分の心に耳を傾けて、自分を大切にしながら、ただ相手に知ってもらえていれば、結果がどうなったとしても、報われるのではないかと思った。

好きには理由なんてない。ずっとそう思っていた。確かに私は好きになるその瞬間は理由なんてない。何故だかわからないけど、もう好きになっている。でも、出会った日から、その人と関わりあい、深まっていく中で芽生える感情や新しい気づきがある。感じたことをちゃんと伝えていくためにも、しっかり自分と向き合って、自分を知ることが大事なのではないか。

今、私には特別に大事な人がいる。思わずちゃんと出来ているかと考えてしまった。この人には沢山伝えていきたい。ちょっと考えてみるだけでも、ポジティブな言葉がポンポン浮かんでくる。ほんの小さい事でもいいから、素直な気持ちで感じるままに伝えていきたい。

もちろん恋人だけじゃなくて、家族や友人に対しても伝えられたら、いいよね。これは恋愛とか関係なく、人間関係を築く全てにおいて、通ずるものに思うから。私がもし誰かに伝えてもらえたら、嬉しい。

昔の恋愛を思い出して、ちょっとセンチメンタルになっただけに終ってしまわずに、不思議とすごく考えさせられた。今、この気づきを得ることが出来たのはきっと私にとって大きなことに感じている。この記事の内容が必要な誰かに届いて、私のへっぽこ恋愛話が少しでも役に立ってたら、きっと大学生の私も報われる気がした。


夢で久しぶりに会った人へ。

今世ではたぶんこれっきりだと思う。来世があるとしたら、また会ってもいいな。とにかく夢に出てきてくれて、ありがとうございました。出会った意味がわかった気がします。

#恋愛   #フィクションと実話の間 #学び

#人間関係 #自分と向き合う  



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