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タクシードライバーの給料は安くてパイロットの給料は何故高いのか

一見、本質的には同じなのに(同じように見えるのに)、何故差が生まれるんだろうと不思議に思う事が多々あります。その中で今回はお金(給与)に絡めた話題を考えてみたいと思います。

とあるサイト(*1)の2019年最新版では、航空機操縦士(パイロット)が1位の2048万円で、タクシー運転手(タクシードライバー)が101位の346万円だそうです。

[引用] *1:CLABEL(くらべる)職種別年収ランキング【2019年最新版】 https://clabel.me/occupations より

もちろんこのデータは、あくまでも業界における平均を表しており、経営状態が極めて厳しい航空会社のパイロットと、経営者を含めた各種エグゼクティブとダイレクトにコネクションを持てているようなタクシードライバーとでは、状況に応じて年収が逆転することも大いにあり得ると思います。

僕が何も調べない状態で単純に疑問に思ったのが「機械を操作(運転)して人と荷物を別の場所へ運ぶ役割は同じで、飛行機の方がむしろ発着陸時のみが人の操作で他の時間はオートパイロット(自動運転)らしく事前に行き先も明確(もし何らかの事故や状況の変化によって行き先が変わったとしても1,2回に収まるはず)だが、タクシードライバーは行き先も千差万別で客と直接のコミュニケーションも必要でカーナビや自動運転技術が発達してきたとは言え万能では無い状態なので実務は明らかに大変。こんなに(年収比で約6倍もの)差があるのは何故だろうということです。

まず第一に考えられるのは、1度に運べる人と物の数や量に差があることです。人の数だと、飛行機の場合は最大約520〜850人ぐらいまで運べるようで、タクシーの場合だと最大4〜9人のようです。運べる人数比で約100倍。物の量だと、飛行機の場合は平均30トン(30,000キログラム)ぐらい、タクシーの場合だと座席が人で埋まっている場合で10キロ〜埋まって無い場合でも250キログラムぐらいが限界でしょう。運べる物量比でも約100倍。

運べる数量はそのまま売上の差に現れてくるはずなので、給与の原資がそもそも100倍の差があると言っても過言では無いでしょう。そしてこの差は失敗した時(事故が起きた時)のリスク(パイロット本人が負う精神的負担や航空会社が負う責任)にも関わってくるので、その重圧に耐えられる事やその責務を任せるに足る人材か(信頼できるか)を見極める採用コストも合わせてかかってくることでしょう。

他に考えられる要素として、運転免許の取得難易度・仕事の範囲(ただ運ぶだけじゃ無い、他の人材の育成や緊急時の対応や運行計画の策定など)・高度な言語能力(管制塔との意思疎通。国際線における他言語を含む)が存在することを考えると、このくらいの差が生まれるのは当然かも知れません。

この記事で何が言いたかったかというと、物事を要素分解して考えていくと見えてくるものがあり、同じ粒度や指標で並べられるものを比較すると数量の差が分かりやすくなるということです。

もちろんパイロットとタクシードライバーの実情は、記載した内容よりも複雑だと思いますが、何か別のことを考える際の1つの参考になれば幸いです。

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