🌙お日様を手放した愛と友情のちっぽけな童話⭐️

むかしむかし　ある宇宙に

日と月と星がありました

それぞれが中心をもち
それぞれが円をえがき
ときどき円は重なって

仲良くやっていました

季節が変わり
日が長くなってくると

日は月と近いと思い込み
月の時を奪いました

日は星を照らしすぎて
星を見えにくくしました

月と星がお話する
夜は短くなりました

しだいに月と星は
毎日ケンカをするように
なりました

ある静かな優しい夜

ふたりがお互いに
打ち明けてみると

日のことを
それぞれがかばって
それぞれがせつなくて

本当の気持ちを
言えなかったのだと
気がつきました

ある穏やかでない夜

日は月に
秘密を教えてくれなかった
と訴え

日は星に
自分を1番に見てくれない
と訴えました

それは
天の法則でないと

日は陰をすべて照らし出し
向日葵のようにいつも
向き合われる存在

日は誰からも
否定されない存在

ふたりは
毎晩のように

流れ星みたいに
意見を言い合ったり

月食みたいに
静かに話し合ったり

日がそこに迫る時まで
悩み過ごしました

そうして　もう

月と星は
日を待たないことにしました

いまは夜
もう日には照らされません

月明かりと星明かり
しかありません

月と星の
ほんのり明るくて暗い夜

でも いつか
きっと朝は来るでしょう

微かな光でも
丁寧に集めて

それを　ほんとうに
必要とする人や町を

照らし続けるなら

おはよう