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希望と現実とこの言葉 、アシスタント時代5

またまた日々の忙殺が戻ってきました、とにかく料理関係の撮影が多く機材を準備、撮影、現像上がり、原稿を届ける、スケジュール管理、事務所の掃除、地下のスタジオの整理、などなど、すべて一人(アシスタントは僕一人)でこなしていました。

なかでも月一の撮影で胃が痛むようなロケがありました。ビールの雑誌広告の撮影です。ゴルフ場を訪ねて、そこの売りの料理とビールをワンショットで撮影するのですが、ビールのシズル感をだすのと泡がこぼれる瞬間を押さえるのがこの写真の大事なことです、ビールグラスには水滴が出てなければシズル感が出ません、あらかじめ防水スプレーを吹きかけておいて、霧吹きでうまく水滴をつけるんですが、なかなかむつかしい、それとビールを注ぐタイミングとスピードです、あまり早く注ぐと、泡が少なくて、旨そうには見えません、こぼれる瞬間を画面からビールを引くタイミングもむつかしい

先生は普段は冗談やしゃれが多いのですが、撮影に入ると、オニになりちょっとでもタイミングを外すと「おら~なにやってるんだ!!」と罵声がとんできます。うまくいかないと、ますます緊張して手がふるえてきます。なんとか気持ちを保って撮影を終了することが多々あります。こうゆう日は朝から重い気持ちでロケにでかけます。

でも料理撮影で楽しくて、うれしいロケの撮影もあります。婦人雑誌(いまは女性雑誌)の料理カードの撮影です。料理の先生の自宅にいって撮影するのですが、撮影終了後、みんなで食べることができました。料理の先生はまだ売り出し中の先生で気楽に話しかけてくれるし、そこの高校生の娘さんがよくアシスタントでいました。かなり自分とは年下なのにちゃん付けで呼んで「UMEちゃん、もっと食べて!!」と気遣ってくれました。帰りには皆に内緒で「明日の朝食だよ」とこっそり渡してくれました。ちょっと恋心が芽生えましたが、まずは自分の作品づくりを邁進することだと自分に言い聞かせて時間がある限り佃島へ写真を撮りにでかけていきました。別に励ましの言葉ではないのですが、ちょっとはにかみぽい「明日の朝食だよ」の言葉、おおいに元気になる言葉でした。

ps写真は立ちションするしぐさをする先生とのツーショット。普段はフランクですわ。

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